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IPNAT

名称
解説
コマンド
照合処理
コマンド修飾語
変換処理
カーネルプロキシ
透過型プロキシ
負荷分散
使用例
関連ファイル
関連項目

名称

ipnat, ipnat.conf − IP NAT ファイルの形式

解説

ipnat が受け付けるファイルの形式は、以下の文法で記述されるものです。

ipmap :: = mapblock | redir | map .

map ::= mapit ifname ipmask "->" dstipmask [ mapport ] mapoptions.
map ::= mapit ifname fromto "->" dstipmask [ mapport ] mapoptions.
mapblock ::= "map-block" ifname ipmask "->" ipmask [ ports ] mapoptions.
redir ::= "rdr" ifname ipmask dport "->" ip [ "," ip ] rdrport rdroptions .

dport ::= "port" number [ "-" number ] .
ports ::= "ports" number | "auto" .
rdrport ::= "port" number .
mapit ::= "map" | "bimap" .
fromto ::= "from" object "to" object .
ipmask ::= ip "/" bits | ip "/" mask | ip "netmask" mask .
dstipmask ::= ipmask | "range" ip "-" ip .
mapport ::= "portmap" tcpudp portspec .
mapoptions ::= [ tcpudp ] [ "frag" ] [ age ] [ clamp ] .
rdroptions ::= [ tcpudp | protocol ] [ rr ] [ "frag" ] [ age ] [ clamp ] .

object  = addr [ port-comp | port-range ] .
addr    = "any" | nummask | host-name [ "mask" ipaddr | "mask" hexnumber ] .
port-comp = "port" compare port-num .
port-range = "port" port-num range port-num .

rr ::= "round-robin" .
age ::= "age" decnumber [ "/" decnumber ] .
clamp ::= "mssclamp" decnumber .
tcpudp ::= "tcp/udp" | "tcp" | "udp" .

protocol ::= protocol-name | decnumber .
nummask ::= host-name [ "/" number ] .
portspec ::= "auto" | number ":" number .
ifname ::= ’A’ - ’Z’ { ’A’ - ’Z’ } numbers .

number ::= numbers [ number ] .
numbers ::= ’0’ | ’1’ | ’2’ | ’3’ | ’4’ | ’5’ | ’6’ | ’7’ | ’8’ | ’9’ .

これに加え、# はコメントの開始として使用され、 NAT ルールと共に行末に登 場する (前述) か、それだけの行に登場します。空行は無視されます。

標準的な NAT 機能では、ひとつのルールは map で始まり、その後に イ ン タ フェー スの指定が続きます。そのインタフェースからパケットが出て行く際に ソースアドレスが書き換えられます。

書き換えられるパケットの選択は、もとのソースアドレスとの照合のみで行 な われます。IP アドレスの指定にはネットマスクを指定する必要があります。

もとのアドレスと置き換えられるアドレスは、IP番号/ネットマスクの組から選 ばれます。すべて 1 のネットマスクは、ホスト名が正しいことを表します。 1 が 31 個からなるネットマスク (255.255.255.254) は、ブロードキャストアド レスとネットワークアドレスを取ったあとでホスト IP 番号を割り当てる余 裕 がないため、正しくないと見なされます。

TCP パケットと UDP パケットの再マップの際には、ソースポート番号の変更も 可能です。TCP, UDP パケットともども、それぞれの規則で選択が可能です。こ れ ら は、 規 則 の う し ろ に 再 マッ プ 先 の ポー ト 番号の範囲を、 port-number:port-number の形式で指定します。

コマンド

IP フィルタの NAT コードが認識するコマンドが 4 個あります:

map

アドレスもしくはネットワークひとつを、統制なしのラウンドロ ビン法で他のアドレスに写像するときに用います。

rdr

ある IP アドレスとポートの組から別の組に、パケットをリダイ レクトするときに用います。

bimap

外部 IP アドレスと内部 IP アドレスとの間で双方向 NAT を 設定するときに用います。

map-block

IP アドレスに基づく静的な変換を設定します。アドレスを絞り込み、 目的の範囲に収まるように変換するアルゴリズムに基づくものです。

照合処理

基本的な NAT 機能とパケットのリダイレクトにおいては、プロトコルとともに 変 更可能性のあるアドレスを用いて、あるパケットを変更せねばならないかど うかをチェックします。それぞれの規則の "->" の左辺は、その規則のパ ケッ ト照合処理部分です。

パ ケットの照合処理は、より複雑な比較が可能なように拡張されました。変換 されるアドレス部分においては、 IP アドレスとポート番号の比較は、ipf で 使用可能な式を使用可能です。単純な NAT ルールは次のように記述可能です:

map de0 10.1.0.0/16 -> 201.2.3.4/32

または

map de0 from 10.1.0.0/16 to any -> 201.2.3.4/32

"from" 節または "to" 節の前に感嘆符 ("!") を付けることで、その節の否定 を表すことができます。但し、map ルール中の "from" の否定や、rdr ルー ル 中 の "to" の否定は使えない可能性があることに注意して下さい。このような ルールは次のようになります:

+map de0 from 10.1.0.0/16 ! to 10.1.0.0/16 -> 201.2.3.4/32

IP アドレスとポート番号のみ、比較対象にできます。これは、すべて の NAT ルールで使用可能です。

コマンド修飾語

各 ルールの最後に、修飾語を使用してルールの動作を変更可能です。修飾語は 次の通りです:

protocol

特定のプロトコルを、名前 (/etc/protocols にあるもの) か数値で指 定 可能です。 TCP および UDP の両方をサポートするための特殊ケー スとして、名前 tcp/udp が許されています。

round-robin

この項を持つルールが成功裏に使用されると、このルールは使用可 能 な ルールの底に置かれます。これにより、適合する左辺を持つ各ルー ルが順番に一度ずつ使用されるようになります。

frag

この修飾語は、現在のところ NAT 動作に影響ありません。

age

NAT 設定全体に対して大域的に使用可能なタイムアウトよりも厳 密なものが使用したい場合、 TCP においてはこれを使用してタイム アウトを設定可能です。

変換処理

"->" の右辺は、それ以前の制約条件との照合が既に成功している場合に、その パ ケットに書き込まれるアドレスとポートを指定する部分です。リダイレクト の場合 (rdr) が最も単純です。新しいデスティネーションアドレスをその中で 指定します。 map 規則に対しては、デスティネーションアドレスは、新しいア ドレスの組 (ソースとデスティネーション) が一意的であると知られている ア ド レ ス になります。パケットが TCP か UDP パケットの場合、デスティネー ションポートとソースポートもこの等式に含めます。アドレスの組が既に存 在 す る場合、IP フィルタは、まず portmap で指定した有効範囲内でポート番号 を 1 つ増やします。そうしても一意的なアドレスの組が得られない場合、指定 されたネットマスクの範囲内でソースアドレスを 1 つ増やします。一意的なア ドレスの組が決して得られない場合、パケットは変換されま せ ん。map-block で は、新規アドレスの組、フリーなアドレスの組、一意的なアドレスの組を検 索するやりかたがより限定されます。ここでは、ポートの有効範囲に加え て、 新 しいソースアドレスを何にするかを決定するアルゴリズムを使用します。IP アドレスは決して変更されませんし、ポート番号も割り当てられた範囲を越 え るものは変更されません。

カーネルプロキシ

IP フィルタには、カーネルにロードされるコードの中に組み込まれた単純なプ ロキシがいくつか付いてきます。これにより、パケットをユーザプログラム を 通させずに 2 番目のチャネルを開けておくことが可能となります。

透過型プロキシ

真 の透過型プロキシ処理 (transparent proxying) は、実際の発信元とコネク ションのアドレスを決定するため、/dev/ipnat 経由で検索を行なうプロキシプ ロ グラムを用いて、localhost (127.0.0.1) のポートに対応付けるリダイレク ト (rdr) 規則を用いて行なう必要があります。

負荷分散

rdr と組み合わせて 2 個のオプションを使用可能です。これにより、原始的な ラウンドロビンベースの負荷分散をサポートします。最初のオプションは、rdr 用に 2 番目の終点を、次のように指定します:

rdr le0 203.1.2.3/32 port 80 -> 203.1.2.3,203.1.2.4 port 80 tcp

これにより、203.1.2.3 と 203.1.2.4 へ交互に接続を送ります。より多 く の サーバに負荷を分散したい場合には、次のようにします:

rdr le0 203.1.2.3/32 port 80 -> 203.1.2.3,203.1.2.4 port 80 tcp round-robin
rdr le0 203.1.2.3/32 port 80 -> 203.1.2.5 port 80 tcp round-robin

こ の場合、接続は 203.1.2.3 にまず向けられ、次に 203.1.2.4 に向けられ、 そして 203.1.2.5 に向けられ、最後に 203.1.2.3 に戻ります。これを実現 す る 際、必要に応じて自動的に、ルールがリストの先頭から取り除かれて最後に 追加されます。これは、"ipnat -l" を使用したルール表示には影響せず、内部 的な適用順序にのみ影響します。

使用例

本セクションでは、map コマンドとその変形を扱います。

ppp0 インタフェース経由で、内部で使用する IP 番号がネットワーク 10 のパ ケットを、ISP (インターネットサービスプロバイダ) が提 供 し て く れ た 209.1.2.0 (8 ビットサブネット) に変更する場合、以下の規則を使います。

map ppp0 10.0.0.0/8 -> 209.1.2.0/24

こ こで、16,000,000 個以上の IP アドレスを 254 個に絞り込もうとすること が問題なのは明らかでしょう。スコープを広げるために、TCP と UDP について はポート再マップを使うこともできます。

map ppp0 10.0.0.0/8 -> 209.1.2.0/24 portmap tcp/udp 1025:65000

こ れ で、ネットワーク 10 で利用可能な空間のうち、不足分は ‘‘アドレス’’ 527,566 個分だけになります。これらの規則を結合させるとすると、次のよ う な指定が必要となります。

map ppp0 10.0.0.0/8 -> 209.1.2.0/24 portmap tcp/udp 1025:65000
map ppp0 10.0.0.0/8 -> 209.1.2.0/24

そ の結果、TCP/UDP パケットの全てはポート変換され、ICMPなど、それ以外の プロトコルだけ、IP 番号だけが変換されます。場合によっては、与えられた範 囲 内の全てへの同時アクセスを保証したいことがあり、その場合には、実際の ポート番号範囲の代わりにキーワード auto を使用したほうが適切なことも あ り ま す。しかし、この場合は 24 ビットのアドレス空間を 8 個に絞り込むの で、 IP アドレスごとにポート 1 つがデフォルトです。どのようにこれを使用 するかについての良い例は次のようになります。

map ppp0 172.192.0.0/16 -> 209.1.2.0/24 portmap tcp/udp auto

この例では、IP アドレスのそれぞれにつき、わずかな範囲 (252 個) のポート が与えられる結果になります。ここでの問題は、map ディレクティブは外向 き の コ ネクションに対し利用可能な次のアドレス/ポートの組を使用することを NAT コードに指示するので、その結果、外部アドレス/ポートの組と内部アドレ ス/ポートの組の間の関係の識別が容易でなくなることです。この問題は次のよ うに、map-block を使用することで克服できます。

map-block ppp0 172.192.0.0/16 -> 209.1.2.0/24 ports auto

例えば、この結 果、172.192.0.0/24 は、209.1.2.0/32 に 変 換 さ れ、 172.192.0.0 から 172.192.0.255 の範囲の各アドレスは、それぞれ自分用の 252 ポートを持つことになります。先の map の用法と逆に、何らかの理由によ り (例えば) 172.192.0.2 のユーザが 260 個の連続した外向きコネクションを 必要とする場合、map-block ならば 252 の範囲に限定されますが、map コマン ドの場合、次の IP アドレスに移行することになります。

関連ファイル

/dev/ipnat
/etc/services
/etc/hosts

関連項目

ipnat(4), hosts(5), ipf(5), services(5), ipf(8), ipnat(8)

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