暗号アルゴリズムの危殆化

概要

暗号アルゴリズムの危殆化 とは、暗号アルゴリズムが当初想定したよりも低いコストで、そのセキュリティ上の性質を危うくすることが可能な状況をいいます。

以下に、暗号アルゴリズムとそのセキュリティ上の性質を示します。

暗号アルゴリズムのセキュリティ上の性質
暗号アルゴリズム	セキュリティ上の性質
共通鍵暗号	秘密鍵を持つ場合のみ暗号化と復号が可能である性質平文と暗号文のペアが与えられた場合に、秘密鍵の推定が困難である性質
公開鍵暗号	秘密鍵を持つ場合のみ復号が可能である性質平文と暗号文および/また公開鍵が与えられた場合に、秘密鍵の推定が困難である性質
ハッシュ関数	一方向性衝突困難性
擬似乱数	統計的性質（統計的一様性、無相関性、長周期性等）予測不可能性（非線形性）

暗号は、コンピュータ技術の発展や科学者達の暗号解読手法の進歩に伴い、セキュリティ技術の安全性が失われていきます。そうやって、既存の暗号は、危殆化していきます。

公開鍵暗号では、秘密鍵が重要な要素ですが、秘密鍵が漏えいした場合には、容易に暗号が解読できてしまうため、秘密鍵の漏えいも危殆化に含まれます。

PKI では、秘密鍵が漏洩などにより、機密性を失った場合、「鍵の危殆化」と呼ばれます。