CKSUM(1) FreeBSD 一般コマンドマニュアル CKSUM(1)
名称
cksum, sum − ファイルのチェックサムとブロックカウントを表示する |
書式
cksum [−o 1 | 2 | 3] [file ...] |
sum [file ...] |
解説 |
cksum ユーティリティは、各入力ファイルに対して、空白で区切られた 3 つの フィールドを標準出力に出力します。これら 3 フィールドはそれぞれ、チェック サム CRC 、ファイル中のオクテット数、そしてファイル名です。ファイルが一つ も指定されない場合は標準入力が用いられ、ファイル名は表示されません。 sum ユーティリティは cksum ユーティリティと同じですが、以降で解説するデ フォルトで歴史的アルゴリズム 1 を使用する点が異なります。互換性のためだけ に提供されています。 オプションは以下の通りです: |
−o
デフォルトの(より優れた)アルゴリズムに代えて、歴史的なアルゴリズ ムを用います。 アルゴリズム 1 は sum(1) のアルゴリズムとして歴史的な BSD システ ムにおいて、また、 −r オプション付きで用いる場合の sum(1) アルゴ リズムとして歴史的な AT&T System V UNIX システムにおいて用いられ てきたものです。これは加算のたびに右ローテーションを行う 16 ビッ トチェックサムであり、算出あふれは無視されます。 アルゴリズム 2 はデフォルトの sum(1) アルゴリズムとして歴史的な AT&T System V UNIX システムで用いられてきたものです。これは 32 ビットのチェックサムであり、以下のように定義されます: s = sum of all bytes; アルゴリズム 3 は一般に ‘32bit CRC’ アルゴリズムと呼ばれているも のです。これは 32-bit チェックサムです。 アルゴリズム 1, 2 のいずれも、デフォルトアルゴリズムと同じフィー ルドを標準出力に書き出します。ただし、ファイルサイズはバイト単位 ではなくブロック単位となります。歴史的理由から、アルゴリズム 1 で はブロックサイズは 1024、アルゴリズム 2 では 512 となっています。 ブロックに満たない部分は切り上げられます。 デフォルトで用いられる CRC は、ネットワークの規格 ISO/IEC 8802-3:1989 に おける CRC エラーチェックに用いられる多項式に基づいています。 CRC チェッ クサムエンコーディングは、次の生成多項式で定義されます: G(x) = x^32 + x^26 + x^23 + x^22 + x^16 + x^12 + x^11 + x^10 + x^8 + x^7 + x^5 + x^4 + x^2 + x + 1 数学的には、与えられたファイルに対応する CRC 値は次の手順で定義されます。 評価される n ビットは、2 を法とする n−1 次多項式 M(x) の係数とみな されます。これらの n ビットはファイルから得られますが、ファイルの最 初のオクテットの最上位ビットを最上位、最後のオクテットの最下位ビッ トを最下位とします。 (必要なら) 0 ビットを埋めてオクテット単位に取 りまとめ、ファイルの長さをバイナリ値で表現した 1 個あるいはそれ以上 のオクテット(最下位オクテットが先)がそれに続きます。この整数を表現 可能な最小個数のオクテットが用いられます。 M(x) は x^32 倍(すなわち 32 ビットの左シフト)し、 2 を法として G(x) で割ります。その結果 31 次以下の剰余 R(x) が得られます。 R(x) の係数は 32 ビットのビット列と見なされます。 そのビット列を反転した結果が CRC です。 |
診断
ユーティリティ cksum および sum は、成功すると 0 で、エラーがあった場合は >0 で終了します。 |
関連項目
デフォルトの計算方法は、次の ACM 論文で疑似コードを用いて記述されているも のと等価です。 |
Dilip V. Sarwate, " Computation of Cyclic Redundancy Checks Via TableLookup", Communications of the ACM, August 1988.
規格
cksum ユーティリティは IEEE Std 1003.2-1992 (‘‘POSIX.2’’) を満していると 考えられています。 |
歴史
cksum ユーティリティは 4.4BSD から登場しました。 FreeBSD 10.0 April 28, 1995 FreeBSD 10.0 |