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TIP(1) FreeBSD 一般コマンドマニュアル TIP(1)

名称

tip, cu − リモートシステムとの接続を行なう

書式

tip [−nv] [speed] [system-name]

cu [−ehot] [−a acu] [−l line] [−s speed] [#] [phone-number]

解説

tip および cu のユーティリティは、他のマシンとの間に全二重のコネクション を確立し、リモートマシンへ直接ログインしてみせます。言うまでもないことで すが、コネクションを張りたいマシンに対しては、ログインアカウント (かそれ に相当するもの) がなければなりません。好まれるインタフェースは tip です。 cu インタフェースは、 Version 7 AT&T UNIX の ‘‘call UNIX’’ コマンドから離 れられない方々のために含まれています。本マニュアルページは tip のみを記述 します。

以下のオプションが使用可能です:

       −a acu

acu を設定します。

−l line
cu
では、使用する回線を指定します。 tty00/dev/tty00 のどち らの形式も許されます。

−n
エスケープ無し (チルダの無効化)。

−s speed
cu
では、接続速度を設定します。デフォルトは 9600 です。

−v
冗長モードを設定します。

speed が指定された場合、使用されるシステム記述で指定されたボーレートに優 先します。

speedsystem-name も指定されない場合、 system-name は HOST 環境変数の 値に設定されます。

speed が指定されたものの system-name が指定されない場合、 ‘‘tip’’ に speed を追加した値に system-name を設定します。例えば tip −1200system-name を ‘‘tip1200’’ に設定します。

入力された文字は通常は直接リモートマシンに転送されます (それは同様にエ コーされます)。行頭にチルダ文字 (‘~’) が入力された場合には、これはエス ケープ文字として働きます; 以下の組み合わせが認識されます:

~^D または ~.
コネクションを切断し、プログラムを終了します (リモートマシンには ログインしたままでいることもできます)。

~c [name]
ローカルのカレントディレクトリを name で指定したものに変更します (引数が指定されない場合には、ホームディレクトリに移動します)。

~!
シェルを起動します (シェルを終了すると、 tip に戻ります)。

~>
ローカルマシンのファイルをリモートマシンにコピーします。 tip ユー ティリティは、ローカルファイル名の入力プロンプトを出します。

~<
リモートシステムのファイルをローカルマシンに転送します。 tip ユー ティリティは、まず転送されるファイル名の入力プロンプトを出し、そ れからリモートマシンで実行するコマンドのプロンプトを出します。

~p from [to]
リモートの UNIX ホストにファイルを送ります。put コマンドは tip が ‘‘from’’ ファイルを送っている間、リモートの UNIX システム上で ‘‘cat > to’’ コマンドを実行します。 ‘‘to’’ ファイル名が指定されな い場合には、このファイル名には ‘‘from’’ ファイル名を使用します。 このコマンドは、実際には ~> コマンドを UNIX システムに特定して実 装したバージョンです。

~t from [to]
リモートの UNIX ホストからファイルを受信します。put コマンドと同 じく、 to ファイル名が指定されない場合には、このファイル名は from ファイル名と同じになります。リモートホストでは tip にファイル転送 を行なうために ‘‘cat from; echo ^A’’ を実行します。

~|
リモートコマンドからの出力を、ローカル UNIX プロセスへパイプを用 いてリダイレクトします。ローカル UNIX システムに送られるコマンド 文字列は、シェルで処理されます。

~$
ローカル UNIX プロセスからパイプを介してリモートホストへ出力しま す。ローカル UNIX システムに送られるコマンド文字列は、シェルで処 理されます。

~C
ローカルシステム上で XMODEM などの特別なプロトコルを扱うための子 プロセスを起動します。この子プロセスは特別に用意された、次のよう なファイル記述子を用いて動作します。

0 <-> 自側 tty 入力
1 <-> 自側 tty 出力
2 <-> 自側 tty 出力
3 <-> 相手側 tty 入力
4 <-> 相手側 tty 出力

       ~#

BREAK 信号をリモートホストに送信します。必要な ioctl() システム コールをサポートしていないシステムの場合には、回線速度の変更と DEL 文字の組み合わせでブレークをシミュレートします。

~s
変数をセットします (以下の記述を参照してください)。

~v
すべての変数とその値 (設定されてる場合) を表示します。

~^Z
tip
を停止します (システムがジョブコントロールをサポートしている 場合にのみ使用可能です)。

~^Y
‘‘ローカル側の’’ tip のみ停止します (システムがジョブコントロール をサポートしている場合にのみ使用可能です); tip の ‘‘リモート側’’ すなわちリモートホストの表示出力については引続き走行します。

~?
チルダエスケープで使用できるコマンド一覧を表示します。

システム記述、すなわち system-name の動作特性を見付けるために、 tip は名 前が system-name と合致するシステム記述を検索します。検索順序は次の通りで す:

1. 環境変数 REMOTE が ‘/’ で開始しない場合、これはシステム記述と 仮定され、最初に検討されます。

2. 環境変数 REMOTE が ‘/’ で開始する場合、これは remote(5) データ ベースのパスと仮定され、指定されたデータベースが検索されます。

3. デフォルトの remote(5) データベース /etc/remote が検索されま す。

システム記述に関する文書は remote(5) を参照してください。

システム記述中で br ケーパビリティを使用することで、コネクションを確立す るボーレートを指定可能です。指定された値が適当でない場合には、使用される ボーレートはコマンドラインで指定されたものになり得ます。例えば ‘‘tip -300 mds’’ です。

tip がコネクションを確立すると、使用されるシステム記述の cm ケーパビリ ティで指定されているコネクションメッセージを、リモートホストに送信しま す。

tip に引数の入力を促されている場合 (例えば、ファイル転送の設定の間) に は、入力された行は標準の erase や kill 文字で編集することが許されていま す。入力を促されている時に空行を入力したり操作を中断した場合には、入力を 促す画面から抜け出し、リモートマシンとの対話に戻ります。

tip ユーティリティは、モデムや回線の排他制御や uucico(8) で採用されている ロックプロトコルを用いることで、複数のユーザがリモートシステムへ接続する ことを制限しています。

ファイル転送時には tip は転送した行数を表示します。 ~>~< コマンドを使 用した場合には、 eofread 変数や eofwrite 変数は、ファイル読み込時の end-of-file 文字の認識や、ファイル書き込み時の end-of-file 文字の指定に用 いられます (後述)。ファイル転送時のフロー制御は、通常は tandem モードで行 なわれます。リモートシステムが tandem モードをサポートしない場合には、 echocheck が設定され、 tip が相手に転送した文字のエコーを用いてリモートシ ステムと同期します。

tip が他システムとの接続のために電話をかける場合には、動作を示すさまざま な表示を行ないます。 tip ユーティリティは、システム記述中の at ケーパビリ ティにおいて、様々な自動呼び出し機器やモデムをサポートします。

Ventel 212+ (ventel), Hayes AT-style (hayes), USRobotics Courier (courier), Telebit T3000 (t3000), Racal-Vadic 831 (vadic) のサポートは、 デフォルトで有効です。

Bizcomp 1031[fw] (biz31[fw]), Bizcomp 1022[fw] (biz22[fw]), DEC DF0[23]-AC (df0[23]), DEC DN-11 (dn11), Racal-Vadic 3451 (v3451) のサポー トは、 tip を適切な定義付きで再コンパイルすることで追加可能です。

Racal-Vadic 831 および 3451 のサポートを両方有効にすると、それぞれ v831 および v3451 と参照されます。どちらか一方のみサポートすると、それは vadic と参照されます。

変数
tip
ユーティリティは、自己を制御するために、変数を取り扱います。いくつか の変数は、一般ユーザの権限では参照のみで変更することはできません (スーパ ユーザのみ、これらの変数の変更が許可されています)。変数は、 ~s エスケープ にて、参照および変更が可能です。変数設定の書式は、 vi(1)Mail(1) での 変数設定の書式と同様です。コマンドの引数に ‘‘all’’ を指定することで、ユー ザが読み出し可能なすべての変数を表示することができます。また、ユーザは特 定の変数について、変数名の最後に ‘?’ を付加することにより、その値を表示す ることができます。例えば ‘‘escape?’’ とすることで、現在のエスケープ文字を 表示します。

変数値として採用されるものは、数値、文字列、文字、もしくは論理値です。論 理変数の設定については、単に変数名を設定するだけで設定されます; これら は、変数名の前に ‘!’ 文字をつけることにより偽に設定されます。他の変数型に ついては、変数と値の間を ‘=’ でつなぐことで設定できます。すべての設定につ いて、その指定中に空白を入れてはいけません。単独の set コマンドは、変数の 値を設定するだけでなく、変数の値を知るためにも用いられます。変数は実行時 に set コマンドを実行することで初期化されます ( ホームディレクトリの .tiprc ファイル中で、 ~s プレフィックスがない場合です)。 −v オプションを 指定することで、 tip が初期化時に行なった設定を表示します。確実に共通変数 と思われるものについては、略号表記されます。以下に共通変数およびその略号 と、デフォルトの値の一覧を示します。

beautify
(論理値) セッション確立時に受けとった表示不可の文字については無視 します; be と略号表記されます。

baudrate
(数値) コネクション確立時の通信速度を指定します; ba と略号表記さ れます。

dialtimeout
(数値) 相手先に電話をかける際に、コネクション確立までの待ち時間 ( 秒単位) を指定します; dial と略号表記されます。

echocheck
(論理値) ファイル転送時のリモートホストとの同期を、送信された最後 の文字のエコーを待つことで取ります; 本変数のデフォルト値は off で す。

eofread
(文字列) ~< コマンドを用いてファイル転送した場合に、転送終了を示 す文字群です; eofr と略号表記されます。

eofwrite
(文字列) ~> コマンドを用いてファイル転送した場合に、転送終了を示 すために送る文字列です; eofw と略号表記されます。

eol
(文字列) 行末を示す文字群です。 tip ユーティリティは、行末文字の 直後に現れたエスケープ文字のみ、エスケープ文字として認識します。

escape
(文字) コマンドプレフィックス (エスケープ) 文字です; es と略号表 記されます; 本変数のデフォルト値は ‘~’ です。

exceptions
(文字列) beautification の指定で無視されない文字群を指定します; ex と略号表記されます; 本変数のデフォルト値 ‘‘\t\n\f\b’’ です。

force
(文字) リテラルデータ送信を強制する文字です; fo と略号表記されま す; 本変数のデフォルト値は ‘^P’ です。

framesize
(数値) ファイルを受信した場合に、ファイルシステムとの間にあるバッ ファにバッファリングするデータ量 (バイト単位) です; fr と略号表記 されます。

host
(文字列) 接続しているホスト名です; ho と略号表記されます。

prompt
(文字) リモートホストの行末文字です; pr と略号表記されます; 本変 数のデフォルト値は ‘\n’ です。本変数は、データ転送時の同期を取る のに用いられます。ファイル転送時に行なう転送行のカウントは、この 文字をいくつ受けとったかということに基づきます。

raise
(論理値) 大文字に変換するモードです; ra と略号表記されます; 本変 数のデフォルト値は off です。本モードが有効になると、すべての小文 字の文字列は、リモートホストへの転送時に tip によって大文字に変更 されます。

raisechar
(文字) 大文字へ変換するモードの切り替えを行なう入力文字です; rc と略号表記されます; 本変数のデフォルト値は ‘^A’ です。

record
(文字列) セッションの記録を取るファイル名です; rec と略号表記され ます; 本変数のデフォルト値は tip.record です。

script
(論理値) セッションの記録を取るモードです; sc と略号表記されます; 本変数のデフォルト値は off です。 scripttrue の場合には、 tip はリモートホストから転送されたすべてのデータを record に指定され たファイルに記録します。 beautify スイッチが有効になっている場合 には、表示可能な ASCII 文字 (文字コードに換算して 040 から 0177 までの間) についてのみ記録されます。 beautification 規則の例外を 指定する exceptions 変数による設定も有効となります。

tabexpand
(論理値) ファイル転送時にタブ文字を空白文字に展開するモードです; tab と略号表記されます。本変数のデフォルト値は false です。本モー ドが有効になっている場合には、タブ文字は空白文字 8 つに展開されま す。

verbose
(論理値) 冗長モードです; verb と略号表記されます; 本変数のデフォ ルト値は true です。冗長モードが有効になっている場合には、 tip は ダイヤル時にメッセージを出力したり、ファイル転送を行なっている際 の現在の転送行数を指定したりします。

環境変数

       SHELL

~! コマンド実行時に使用するシェルの名前です; デフォルト値は /bin/sh です。

HOME
~c
コマンド実行時に用いるホームディレクトリです。

HOST
コマンドラインで指定が無い場合の、デフォルトの system-name 値で す。

REMOTE
システム記述であるか、 remote(5) システム記述データベースへの絶対 パスです。

PHONES
phones(5) データベースへのパスです。

関連ファイル

       /etc/remote

グローバル remote(5) データベース。
/etc/phones
デフォルト phones(5) ファイル。
~/.tiprc
初期化ファイル。
tip.record
記録ファイル。
/var/log/aculog
回線アクセス記録。
/var/spool/lock/LCK..*
uucp(1) との回線競合を避けるための回線排他制御 ファイル。

関連項目

remote(5), phones(5)

歴史

tip コマンドは 4.2BSD から登場しました。

バグ

すべての変数が文書化されているわけではありません。文書化されていないもの はおそらく削除されるでしょう。

FreeBSD 10.0 September 9, 2001 FreeBSD 10.0

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