なぜマイナス金利でも国債を買うのか?
国債の価格をみていると、たまに、金利がマイナスの国債があったりします。マイナスの金利の国債なんか買ったら、損してしまうのに、なぜ、それでも買う人達がいるのでしょうか?
読み方
- マイナス金利
- まいなす きんり
目次
概要
マイナス金利の国債でも、買う理由のある人達には、買う意味があるのです。
マイナス金利とはどういうことか?
通常であれば、お金を預けた場合に、預けた側は利子を貰えます。 マイナス金利という場合では、お金を預けたときに、預けた側はさらに利子を払わないといけなくなります。
個人の場合の発想
個人の場合は、マイナス金利なら、タンス預金すればいいじゃない、という発想になるかもしれません。少なくとも家においておけば、金利はかかってきませんよね。
私の個人的な考えでは、家は、重要な資産を置いておくには、安全とは言えない場所だと定義しています。 家に、全資産を置いておくわけにはいかない理由は以下の通りです。
- 強盗・泥棒が侵入するリスク
- 火災によって消失するリスク
- 地震などにより物理的に壊れ、物理防御が崩壊され盗難されるリスク
そこにお金があると思ったら、悪い人たちが狙ってきますよね。だから、家には資産はおけません、というのが私の考えです。家に何もなければ、そこに侵入する動機がなくなるので、わざわざ危険を冒してまで、敵はやってきません。
キャッシュで持つことができない理由 お金がない
みんながキャッシュでタンス預金するのは、事実上不可能です。 それは、物理的な紙幣のキャッシュが存在しないからです。
日本の預貯金は、1400兆円などと言われています。 実際に日本で流通している お札は、2015年時点で 合計 98.4兆円です。枚数にして 155.6億枚です。 つまり、お札は、全体のお金の10% 程度しか発行されていません。
そのため、物理的に、全員が貯金をおろすことが不可能です。
キャッシュで持つことができない理由 セキュリティコスト
お金を現金で持っていられない理由のもう1つは、セキュリティです。
ちょっとのお金であれば、家においておくのでも良いでしょう。 しかし、その金額が大きい場合、そうはいきません。 大企業の内部留保のような金額になってくると、ポンとおいておくわけにはいきません。 管理コスト、セキュリティコストがかかってきます。
自分で管理しようにも、維持管理コストがかかるため、その手数料と考えて、国債を買うということも考えられるでしょう。
銀行に預けられない理由
銀行が安全か、という議論があります。銀行が破綻してしまった場合、ペイオフで守られる資産もありますが、守られない資産の部分もあります。個人の場合、たった1000万円しか、預金を保護してくれません。
なぜ損失が出る国債を購入するのか?
- 短期国債は信用力があり、換金性が優れています。
- 金融機関同士の取引で、国債は担保にできます。
- 金融機関は、一定量の国債を手元においておく必要があり、マイナスでも購入します。
国債以外を買えない動機の例を以下に挙げます。
- 不動産売買は、売買に時間がかかります。
- 金は、変動リスクが大きいです。
- ドルなどのお金は、変動リスクが大きいです。
損をしてでも国債を買う理由は?
日銀がマイナス金利でも国債を買う姿勢でいるため、金融機関は、日銀に高く売却できることを神輿、飼っているという背景があります。必ずしも、損をすると言い切れるわけではありません。
損をしてでも中央銀行が国債を買う理由は?
金融機関にお金を貸し出すことを促すために、 中央銀行は、国債を買います。 金融機関がお金を貸し出す、ということは、企業の投資を促すことを意味します。
生活への影響は?
- 預金金利が下がる可能性があります
- 長期金利が上がりにくくなる可能性があります。
- 住宅ローナなどは、金利が低いため、借りやすい状況が続くと考えられます。
まとめ
- 多少の費用が掛かっても、信用があり、換金性が高く、リスクの低い国債を買う意味があります。
- 銀行には、ある程度の、国債が必要です。
- マイナス金利は、預けた側が手数料を払う、ということになります。
関連項目
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