「アメリカが利上げをすると株価どうなるのか?」の版間の差分
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* アメリカでは、金利が上がり、ドル高になり、株が売られ、債権が買われる。 | * アメリカでは、金利が上がり、ドル高になり、株が売られ、債権が買われる。 | ||
* 日本は、円安が進み、海外投資家がポジションをクローズし、輸出企業の業績が伸びる。 | * 日本は、円安が進み、海外投資家がポジションをクローズし、輸出企業の業績が伸びる。 | ||
+ | == 利上げが決定した == | ||
+ | * 短期金利の指標となる「フェデラルファンド(FF)金利」の誘導目標を、「0~0.25%」から「0.25~0.5%」に引き上げ、<u>実質的なゼロ金利政策を解除します</u>。 | ||
+ | * 失業率の改善などから、米国の経済は着実に回復していると判断しました。 | ||
== 利上げとは? == | == 利上げとは? == | ||
アメリカの利上げとは、アメリカの主要政策金利フェデラル・ファンド金利の目標をFOMC(連邦公開市場委員会)が引き上げることです。 | アメリカの利上げとは、アメリカの主要政策金利フェデラル・ファンド金利の目標をFOMC(連邦公開市場委員会)が引き上げることです。 | ||
− | ;アメリカの景気が冷え込んだとき: | + | ;アメリカの景気が冷え込んだとき:金融緩和(利下げ), 金利を引き下げます。お金を出回るにします。銀行や企業にお金をどんどん貸したい状況です。 |
− | ;アメリカの景気が過熱気味のとき:金利を引き上げます | + | ;アメリカの景気が過熱気味のとき:金融引き締め(利上げ), 金利を引き上げます |
− | + | サブプライムショック、'''リーマンショック'''の金融危機の発生により、FOMCは、フェデラル・ファンド金利の目標を下限の0.25%として、実質的なゼロ金利政策をとってきました。 | |
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+ | '''リーマン・ショック'''では、<u>景気が悪化し、市場にお金が出まわらなくなりました</u>。そこで、お金を回して景気を刺激するために、'''金利'''を引き下げました。金利の引き下げを継続した結果、'''ゼロ金利政策'''になりました。'''ゼロ金利政策'''は、「金利なしでお金を貸す」であるため、異常な状態と言えます。金利上げることにより、異常な状態は正常化されます。 | ||
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+ | アメリカの景気が回復してきたことにより、FOMCは、金利の引き上げを検討しています。景気上昇局面で、利上げはブレーキを踏むことになるため、慎重になる必要がありました。一歩間違えば、'''インフレ'''か、不景気になってしまいます。 | ||
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== アメリカが利上げを行うと? == | == アメリカが利上げを行うと? == | ||
+ | 政策金利の'''FF金利'''([[フェデラル・ファンド金利]])の引き上げは、理屈上は以下のとおりです。 | ||
+ | * 米国長期金利を押し上げる | ||
+ | * ドル相場を上昇させる(ドル高) | ||
+ | * 株価を下落させる | ||
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* 世界のマネーがアメリカに向かい、米ドルが買われます。 | * 世界のマネーがアメリカに向かい、米ドルが買われます。 | ||
* 銀行が企業に貸すお金の金利や預金の金利が上がります。 | * 銀行が企業に貸すお金の金利や預金の金利が上がります。 | ||
** 企業は資金調達コストが増えます。 | ** 企業は資金調達コストが増えます。 | ||
** 金利が上がることにより、お金の動きが抑制されます。 | ** 金利が上がることにより、お金の動きが抑制されます。 | ||
+ | * 企業の業績が悪化します。 | ||
+ | ** 金融機関からお金を借りている場合、利息の支払いが増加します。利息の支払いが増加すると企業の利益は、その分減少します。 | ||
+ | ** 金利が高くてお金が借りられず、設備投資ができなくなります。 | ||
+ | *** 設備投資が行われないと、設備が売れなくなります。 | ||
* 車が好調だったが、利上げによりローン金利が上がり、自動車が売れなくなる。つまり、自動車株に影響の恐れがある。 | * 車が好調だったが、利上げによりローン金利が上がり、自動車が売れなくなる。つまり、自動車株に影響の恐れがある。 | ||
* 海外の株を売る | * 海外の株を売る | ||
* アメリカの金利が上がると、お金は、ノーリスクでリターンの得られる債権に向かいます。 | * アメリカの金利が上がると、お金は、ノーリスクでリターンの得られる債権に向かいます。 | ||
* 金価格は、下落します。 | * 金価格は、下落します。 | ||
+ | * 原油価格は、下落します(原油安)。なぜなら、原油は、金利がつきません。 | ||
+ | == 国債利回りへの影響 == | ||
+ | * 米国10年国債利回りは、利上げの数カ月前から上昇をはじめます。利上げ当月まで上昇した後、頭打ちになる傾向です。 | ||
+ | * 2004年6月から前回の利上げ局面では、利回りは、逆に低下しました。 | ||
== アメリカの利上げによる、日本への影響 == | == アメリカの利上げによる、日本への影響 == | ||
* <u>世界が米ドルを買う</u>ため、<u>ドル高円安が進む</u> | * <u>世界が米ドルを買う</u>ため、<u>ドル高円安が進む</u> | ||
+ | ** 125-130円の円安 | ||
* 円安によって、輸出企業の利益が増え、<u>輸出銘柄の株価が上昇する</u> | * 円安によって、輸出企業の利益が増え、<u>輸出銘柄の株価が上昇する</u> | ||
** 輸出企業の株価の値上がりにより、日経平均株価が上昇する | ** 輸出企業の株価の値上がりにより、日経平均株価が上昇する | ||
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* アメリカの金利が上がり、ローン金利が上がるため、今まで好調だった自動車販売に影響の恐れがある。米国市場において、自動車販売が落ち込むため、自動車株に影響の恐れがありそう。 | * アメリカの金利が上がり、ローン金利が上がるため、今まで好調だった自動車販売に影響の恐れがある。米国市場において、自動車販売が落ち込むため、自動車株に影響の恐れがありそう。 | ||
+ | == 株価への影響 == | ||
+ | * すでに株価には、織り込まれていると考えられる。 | ||
+ | * 最初の利上げでは、ほとんど影響しない | ||
+ | * 2回目、3回目の利上げでは、市場は金融引き締めを意識し始めて下落する | ||
+ | * 米国株は、利上げの翌月までは、若干軟化し、その後、上向くトレンドになる。 | ||
== 利上げのやり方 == | == 利上げのやり方 == | ||
+ | 利上げについては、ゆっくりやると考えられます。物価を見ながら上げていきます。 | ||
* 2015年には、1回の0.25%利上げ | * 2015年には、1回の0.25%利上げ | ||
* 2016年には、4回の0.25%利上げ | * 2016年には、4回の0.25%利上げ | ||
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<u>中国株バブル崩壊</u>の影響により、世界的に<u>株価が暴落</u>しました。このタイミングでの利上げは、市場が荒れる懸念があります。 | <u>中国株バブル崩壊</u>の影響により、世界的に<u>株価が暴落</u>しました。このタイミングでの利上げは、市場が荒れる懸念があります。 | ||
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+ | <u>アメリカ現地時間 12/16(日本時間12/17)に決定されました</u>。 | ||
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米国雇用統計の結果、12月の利上げはほぼ確定と言われています。 | 米国雇用統計の結果、12月の利上げはほぼ確定と言われています。 | ||
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* 市場参加者は、すでに12月の利上げを織り込んでいます | * 市場参加者は、すでに12月の利上げを織り込んでいます | ||
* 利上げは、好景気を長続きさせるためのもの | * 利上げは、好景気を長続きさせるためのもの | ||
+ | == 2016年の話 次(2回目)の利上げはいつか? == | ||
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+ | 利上げのペースは、年4回と予想する市場関係者が多く、FOMCが年に8回あるため、FOMC2回毎に利上げする予想がありました。 | ||
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+ | 一方で、2016年は、世界的な株価の暴落があり、今後の利上げの見通しが変化してきました。年4回の利上げは、なくなったと考えられます。2016年中に1回の利上げがあるか、もしくは、状況次第では、利下げも考えられる状況になりました。 | ||
+ | === 3月の利上げは? === | ||
+ | 次回のFOMCは、3月15日 - 16日に開催されます。3月の利上げの可能性は低いと予想されます。 | ||
+ | === 6月の利上げは? === | ||
+ | '''雇用統計''' が悪かったこともあり、6月の利上げはほぼないと予想されています。 | ||
+ | == 2017年の話 の利上げの回数は? == | ||
+ | <s>2017年の利上げ回数は、2回に下方修正されました</s>。 | ||
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+ | 2017年の'''利上げ回数'''は、3回に上方修正されました。 | ||
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+ | 2017年3月では、「利上げ」の可能性が非常に高まってきました。 | ||
+ | '''非農業部門雇用者数'''が良い意味で予想を裏切りました。 | ||
+ | '''利上げ回数'''も3回は行えるのではないでしょうか。 | ||
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+ | == アメリカのゼロ金利政策 == | ||
+ | アメリカのゼロ金利政策は、2008年12月からはじまりました。 | ||
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+ | FOMC(えふおーえむしー、連邦公開市場委員会)は、年8回の会合が開催されます。 | ||
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+ | 3月、6月、9月、12月の会合では、経済、物価、金利の見通しが発表されます。 | ||
+ | == 2015年12月16日と17日のFOMC == | ||
+ | FRBがFOMCを12月16日17日に開きます。 | ||
+ | * 日本の株式市場は、すでに折り込み済みという見方が強いです。 | ||
+ | * 新興国市場には、不安があり、特に中国があおりを受けそうです。 | ||
+ | == アメリカの利上げと中国の関係 == | ||
+ | * 中国は、人民元の国際通貨基金(IMF)特別引出権(SDR)構成通貨入りを実現しました。 | ||
+ | ** 元の変動幅拡大 | ||
+ | ** 金融市場の自由化 | ||
+ | ** 外国為替制度は、当面、元をドルに連動させる管理変動相場制を継続します。 | ||
+ | * アメリカの利上げで'''ドル高'''に向かいます。<u>ドル高は、元高</u>となり、中国にはデフレの圧力が加わります。それを避けるためには、元を切り下げる必要があります。元を切り下げると、ワシントンから制裁を受ける恐れが高まります。 | ||
+ | * 北京は、元の切り下げがやりたくない事情も抱えています。 | ||
+ | * 元安になると、巨額の資本逃避が発生する恐れがあるからです。 | ||
+ | ** 8月の中国人民銀行の人民元切り下げにより、大量の資金が流出しました。 | ||
+ | == 韓国への影響 == | ||
+ | アメリカの利上げに伴って、韓国の金利も一緒にあがると考えられます。 | ||
+ | 韓国の輸出企業にとっては不利な状況です。 | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
+ | * [[人民元切り下げの意味]] | ||
+ | * [[2016年3月末までに日経平均株価はどうなるのか?]] | ||
+ | * [[原油安になると株価はどうなるのか?]] | ||
+ | * [[フェデラル・ファンド金利]] | ||
* [[株式投資]] | * [[株式投資]] | ||
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2017年3月12日 (日) 11:35時点における最新版
アメリカの利上げをするのは、夏時点では2015年の9月頃ではないか、という話が出てきています。アメリカの利上げによって、株価は、どうなるのでしょうか。その後、利上げの時期は、10月か12月、もしくは来年という予測がありました。9/24のイエレンFRB議長の年内利上げを示唆しました。11月に入り、年内の利上げのチャンスは12月のみになりました。そして、12月に入り、マーケットは12月利上げを完全に織り込んでいます。12月の利上げの確率は、76%(12/4時点)に上昇し,利上げはほぼ確定な情勢です。状況が好感され、株価上昇につながると予想されています。FOMCは、アメリカ現地時間の12月15日から16日の2日間にわたって開催されます。日本時間で12月17日の早朝4時ごろに、FOMCの声明文が発表されます。声明文には、景気、物価に関する判断と政策決定が含まれます。そして日本時間の12月17日に利上げが決定されました。2016年では、世界的な株価の暴落もあり、利下げのペースが鈍化することが予想されます。2016年中に利上げがありうるか、もしくは、利下げもありうる状況となっています。3月のFOMCでは利上げがないと予想されます。6月4日時点で、雇用統計がかなり悪かったため、6月の利上げがほぼ無いと予想されています。2017年の利下げは、2回に引き下げられましたが、2016年12月に3回に上方修正されました。
読み方
- 利上げ
- りあげ
- FOMC
- えふおーえむしー
目次
- 1 概要
- 2 利上げが決定した
- 3 利上げとは?
- 4 アメリカが利上げを行うと?
- 5 国債利回りへの影響
- 6 アメリカの利上げによる、日本への影響
- 7 株価への影響
- 8 利上げのやり方
- 9 利上げの時期はいつなのか?
- 10 なぜアメリカは利上げ時期を悩むのか?
- 11 2015年の話 1回目の利上げはいつ実施されるのか
- 12 2016年の話 次(2回目)の利上げはいつか?
- 13 2017年の話 の利上げの回数は?
- 14 2017年の利上げは?
- 15 アメリカのゼロ金利政策
- 16 FOMCの定期会合
- 17 2015年12月16日と17日のFOMC
- 18 アメリカの利上げと中国の関係
- 19 韓国への影響
- 20 関連項目
概要
アメリカが利上げを行うことによって、為替や株価に影響が出ます。アメリカと日本の両方に影響が起こります。
- アメリカでは、金利が上がり、ドル高になり、株が売られ、債権が買われる。
- 日本は、円安が進み、海外投資家がポジションをクローズし、輸出企業の業績が伸びる。
利上げが決定した
- 短期金利の指標となる「フェデラルファンド(FF)金利」の誘導目標を、「0~0.25%」から「0.25~0.5%」に引き上げ、実質的なゼロ金利政策を解除します。
- 失業率の改善などから、米国の経済は着実に回復していると判断しました。
利上げとは?
アメリカの利上げとは、アメリカの主要政策金利フェデラル・ファンド金利の目標をFOMC(連邦公開市場委員会)が引き上げることです。
- アメリカの景気が冷え込んだとき
- 金融緩和(利下げ), 金利を引き下げます。お金を出回るにします。銀行や企業にお金をどんどん貸したい状況です。
- アメリカの景気が過熱気味のとき
- 金融引き締め(利上げ), 金利を引き上げます
サブプライムショック、リーマンショックの金融危機の発生により、FOMCは、フェデラル・ファンド金利の目標を下限の0.25%として、実質的なゼロ金利政策をとってきました。
リーマン・ショックでは、景気が悪化し、市場にお金が出まわらなくなりました。そこで、お金を回して景気を刺激するために、金利を引き下げました。金利の引き下げを継続した結果、ゼロ金利政策になりました。ゼロ金利政策は、「金利なしでお金を貸す」であるため、異常な状態と言えます。金利上げることにより、異常な状態は正常化されます。
アメリカの景気が回復してきたことにより、FOMCは、金利の引き上げを検討しています。景気上昇局面で、利上げはブレーキを踏むことになるため、慎重になる必要がありました。一歩間違えば、インフレか、不景気になってしまいます。
アメリカが利上げを行うと?
政策金利のFF金利(フェデラル・ファンド金利)の引き上げは、理屈上は以下のとおりです。
- 米国長期金利を押し上げる
- ドル相場を上昇させる(ドル高)
- 株価を下落させる
- 世界のマネーがアメリカに向かい、米ドルが買われます。
- 銀行が企業に貸すお金の金利や預金の金利が上がります。
- 企業は資金調達コストが増えます。
- 金利が上がることにより、お金の動きが抑制されます。
- 企業の業績が悪化します。
- 金融機関からお金を借りている場合、利息の支払いが増加します。利息の支払いが増加すると企業の利益は、その分減少します。
- 金利が高くてお金が借りられず、設備投資ができなくなります。
- 設備投資が行われないと、設備が売れなくなります。
- 車が好調だったが、利上げによりローン金利が上がり、自動車が売れなくなる。つまり、自動車株に影響の恐れがある。
- 海外の株を売る
- アメリカの金利が上がると、お金は、ノーリスクでリターンの得られる債権に向かいます。
- 金価格は、下落します。
- 原油価格は、下落します(原油安)。なぜなら、原油は、金利がつきません。
国債利回りへの影響
- 米国10年国債利回りは、利上げの数カ月前から上昇をはじめます。利上げ当月まで上昇した後、頭打ちになる傾向です。
- 2004年6月から前回の利上げ局面では、利回りは、逆に低下しました。
アメリカの利上げによる、日本への影響
- 世界が米ドルを買うため、ドル高円安が進む
- 125-130円の円安
- 円安によって、輸出企業の利益が増え、輸出銘柄の株価が上昇する
- 輸出企業の株価の値上がりにより、日経平均株価が上昇する
- 円安が進むことによって、輸入コストが上がるため、輸入品の価格が上がる
- 日本の国債を売られ、アメリカ国債を買い、日本の長期金利が上昇し、住宅ローン金利が上がる
- アメリカの金利が上がり、ローン金利が上がるため、今まで好調だった自動車販売に影響の恐れがある。米国市場において、自動車販売が落ち込むため、自動車株に影響の恐れがありそう。
株価への影響
- すでに株価には、織り込まれていると考えられる。
- 最初の利上げでは、ほとんど影響しない
- 2回目、3回目の利上げでは、市場は金融引き締めを意識し始めて下落する
- 米国株は、利上げの翌月までは、若干軟化し、その後、上向くトレンドになる。
利上げのやり方
利上げについては、ゆっくりやると考えられます。物価を見ながら上げていきます。
- 2015年には、1回の0.25%利上げ
- 2016年には、4回の0.25%利上げ
FOMCのFF金利水準の予測
- 2015年 0.25%
- 2016年 1.25%
- 2017年 2.25%
- 長期 3%
利上げの時期はいつなのか?
- 12/4にFRBが12/15,12/16の会合で、政策金利を0.25%に引き上げることになりました。
- 9/24のイエレンFRB議長の年内利上げを示唆しました。
- 2015年の10月、もしくは、12月
- 10月と12月に金制作を決めるFOMCが開催されます。
なぜアメリカは利上げ時期を悩むのか?
利上げは、一般的に経済を冷やす効果があります。 アメリカは、今まで、景気回復を進めてきました。ゼロ金利を維持した場合、景気が過熱してしまうため、利上げを検討していました。
中国株バブル崩壊の影響により、世界的に株価が暴落しました。このタイミングでの利上げは、市場が荒れる懸念があります。
2015年の話 1回目の利上げはいつ実施されるのか
アメリカ現地時間 12/16(日本時間12/17)に決定されました。
米国雇用統計の結果、12月の利上げはほぼ確定と言われています。
- 10月の米国雇用統計が良かった
- 市場参加者は、すでに12月の利上げを織り込んでいます
- 利上げは、好景気を長続きさせるためのもの
2016年の話 次(2回目)の利上げはいつか?
FRBは2015年12月に、7年のゼロ金利政策を解除し、政策金利を0.25%に引き上げました。 次に問題になるのは、利上げのペースです。
利上げのペースは、年4回と予想する市場関係者が多く、FOMCが年に8回あるため、FOMC2回毎に利上げする予想がありました。
一方で、2016年は、世界的な株価の暴落があり、今後の利上げの見通しが変化してきました。年4回の利上げは、なくなったと考えられます。2016年中に1回の利上げがあるか、もしくは、状況次第では、利下げも考えられる状況になりました。
3月の利上げは?
次回のFOMCは、3月15日 - 16日に開催されます。3月の利上げの可能性は低いと予想されます。
6月の利上げは?
雇用統計 が悪かったこともあり、6月の利上げはほぼないと予想されています。
2017年の話 の利上げの回数は?
2017年の利上げ回数は、2回に下方修正されました。
2016-12-16追記 2017年の利上げ回数は、3回に上方修正されました。
2017年の利上げは?
2017年3月のFOMC
2017年3月では、「利上げ」の可能性が非常に高まってきました。 非農業部門雇用者数が良い意味で予想を裏切りました。 利上げ回数も3回は行えるのではないでしょうか。
アメリカのゼロ金利政策
アメリカのゼロ金利政策は、2008年12月からはじまりました。
FOMCの定期会合
FOMC(えふおーえむしー、連邦公開市場委員会)は、年8回の会合が開催されます。
3月、6月、9月、12月の会合では、経済、物価、金利の見通しが発表されます。
2015年12月16日と17日のFOMC
FRBがFOMCを12月16日17日に開きます。
- 日本の株式市場は、すでに折り込み済みという見方が強いです。
- 新興国市場には、不安があり、特に中国があおりを受けそうです。
アメリカの利上げと中国の関係
- 中国は、人民元の国際通貨基金(IMF)特別引出権(SDR)構成通貨入りを実現しました。
- 元の変動幅拡大
- 金融市場の自由化
- 外国為替制度は、当面、元をドルに連動させる管理変動相場制を継続します。
- アメリカの利上げでドル高に向かいます。ドル高は、元高となり、中国にはデフレの圧力が加わります。それを避けるためには、元を切り下げる必要があります。元を切り下げると、ワシントンから制裁を受ける恐れが高まります。
- 北京は、元の切り下げがやりたくない事情も抱えています。
- 元安になると、巨額の資本逃避が発生する恐れがあるからです。
- 8月の中国人民銀行の人民元切り下げにより、大量の資金が流出しました。
韓国への影響
アメリカの利上げに伴って、韓国の金利も一緒にあがると考えられます。 韓国の輸出企業にとっては不利な状況です。