エシュロン
エシュロン (Echelon) とは、アメリカ合衆国を中心に構築された軍事目的の通信傍受(シギント)システムです。アメリカ国家安全保障局 (NSA) が主体で運営されています。
読み方
- エシュロン
- えしゅろん
- Echelon
- えしゅろん、えしぇろん
概要
国家による情報活動に属するシステムです。 収集・分析・分類・蓄積・提供の各機能で構成されると考えられています。
人工衛星やレーダー通信網を使用し、地球上のあらゆる電話、無線通信、電子情報を検知しています。 核爆弾、テロ、殺害などのテロや麻薬に関連するキーワードを検知することが目的です。
運営組織
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージランドの英語圏5カ国で構成されています。 協力国として、ギリシャ、スペイン、ドイツ、日本があります。
エシュロンは、NSA が中心になって運営されています。 NSA は、メリーランド州のフォートミードにあります。職員数は、 7-8万人程度といわれています。
エシュロンの性能
通信衛星 インテルサットの高速大容量通信に対応できるようです。 1日辺り、30億回分の通信を扱っているようです。 世界中で行われている通信の 90% を傍受可能とされています。
光ファイバー通信は、傍受できません。海底ケーブルからの情報の分析・収集には、NSAがCyberSweepを利用しています。
分析
収集したデータが膨大であるため、データを分析して、保存すべきデータと破棄すべきデータに分類する必要があります。 データは、暗号化されている場合、暗号解読を先にやらなければなりません。 復号、内容の重要度を自動的に行います。
分類
人とコンピュータによって、分類作業を行い、不要な情報を破棄します。
蓄積
エシュロン のデータベースに蓄積されます。
提供
暗号化されたネットワークを通じて、世界中のエシュロンターミナルからエシュロンデータベースにアクセスできます。 情報は、閲覧者の保安レベル、国別、部署別にカテゴリ分類されています。 アメリカの不利益になる可能性のある情報は、他国の閲覧者には提供されません。
メールシステムの監視
エシュロン は、監視のための辞書を持っています。
- 辞書に登録された文字列を含むメールを盗聴します。
- 辞書にメールアドレスが登録されている場合、すべてのメールが盗聴されます。
- 盗聴されたメールには、登録済のメールアドレスだけではなく、未登録メールアドレスが含まれます。
- 未登録のメールアドレスは、辞書に登録でき、頭頂範囲は拡大していきます。
- メールアドレスを変更しても、監視対象のメールアドレスと通信をする限り、追跡され、盗聴されます。
日本のエシュロン
青森県の三沢基地にエシュロン傍受施設が設置されています。 日本政府、日本企業も監視の対象で、無線、短波無線、携帯電話、インターネット回線など、日本国内の通信が常に傍受され、データがニュージランドのワイホパイ基地の通信所に送られ、エシュロンに蓄積されています。
日本に関する情報収集の主な対象は、経済分野で、経済活動をアメリカ政財界に有利にするためのトップの意思決定の情報収集を重点的に行っています。
三沢基地のエシュロンは、日本以外の極東ロシア、東アジアも担当しています。
人権とプライバシーの侵害
- 犯罪に無関係な国民の盗聴を行う場合、プライバシーの侵害になる。
- 通信を傍受することは、違法ではない。
- 通信内容を漏えいした場合は、 通信の秘密 を漏らしたことになり、違法となる。
- アメリカ国内の盗聴は、イギリスの辞書で行い、イギリス国内の盗聴は、アメリカの辞書で行う、日本の盗聴は、ニュージランドの辞書で行う、ことを逃げ道としているようだ。
関連項目
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