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FTP(1) FreeBSD 一般コマンドマニュアル FTP(1)

名称

ftp − インターネットファイル転送プログラム

書式

ftp [−46AadefginpRtvV] [−N netrc] [−o output] [−P port] [−q quittime] [−r retry] [

                       −T                            dir,max[,inc]] [                                              [                                                 user@]host [port]] [         [user@]host:[path][/]] [                                   file:///path] [                                                    ftp://[         user[:password]@]host[                                 :port]/path[/][;type=X]] [                                                             http://[         user[:password]@]host[                                 :port]/path] [...]

ftp −u URL file [...]

解説

ftp は、インターネット標準の File Transfer Protocol (ファイル転送プロトコ ル)を用いてファイル転送を実現するためのコマンドです。本コマンドは、リモー トネットワークにあるサイトとの間でファイルを転送する手段をユーザに提供し ます。

書式の後ろから 5 個の引数では、 HTTP または FTP プロトコルを使うか、直接 コピーするかにより、ファイルをカレントディレクトリに取得します。この機能 はスクリプト用に最適です。詳細な情報は、以下の ファイルの自動取得を参照し て下さい。

オプションは、コマンドライン上で指定するか、コマンドインタプリタに対し指 定できます。

       −4

ftp に IPv4 アドレスのみを使用するよう強制します。

−6
ftp
に IPv6 アドレスのみを使用するよう強制します。

−A
アクティブモード ftp の使用を強制します。デフォルトでは、 ftp は パッシブモード ftp を試みたあとで、サーバがパッシブモードをサ ポートしない場合、アクティブモードになります。このオプションによ り、 ftp は常にアクティブコネクションを使用するようになります。 これが有用なのは、パッシブモードを適切に実装していない非常に古い サーバに接続するときだけです。

−a
ftp
は通常のログイン手続きを飛ばして、かわりに anonymous ログイ ンを使います。

−d
デバッグを有効にします。

−e
コマンドラインでの編集を無効にします。 Emacs の ange-ftp モード で使うと有用です。

−f
FTP プロキシまたは、 HTTP プロキシ経由で転送する際に、キャッシュ の再ロードを強制します。

−g
ファイル名展開を無効にします。

−i
複数ファイル転送を行っている間の対話的プロンプトモードをオフにし ます。

−n
自動取得でない転送において、最初に接続する際に ftp に ‘‘自動ログ イン’’ を行なわせないようにします。自動ログインが有効な場合は、 ftp はユーザのホームディレクトリの .netrc (下記参照) ファイル に、リモートマシンのアカウントを記述しているエントリがあるかどう かを調べます。エントリが存在しない場合には、 ftp はリモートマシ ン上のログイン名 (デフォルトはローカルマシンでのユーザ ID) を要 求します。そして、もし必要があればログイン用のパスワードとアカウ ントの入力も促します。自動取得の転送において自動ログインを上書き するためには、ユーザ名 (と、場合によりパスワードと) を適切に指定 してください。

−N netrc
~/.netrc
ではなく、 netrc を使います。これ以上の詳しい情報につい ては、 .netrc ファイルのセクションを参照してください。

−o output
ファイルを自動取得する際、ファイル内容を output に格納します。 output は、以下の、 ファイル名前付け規則に従い解釈されます。 output が ‘-’ でもなく、また、 ‘|’ から始まらない場合は、指定さ れたファイルのうち最初のものだけを取り込み、 output に格納しま す。他のファイル全てはリモート名のベースネームに格納します。

−p
ファイアウォールを越える接続のためのパッシブモード操作を有効にし ます。現在、 ftp はパッシブモードをまず試み、その後サーバがパッ シブ接続をサポートしていない場合にアクティブモードに移る動作がデ フォルトであるため、このオプションは推奨されていません。

−P port
ポート番号を port に設定します。

−r wait
接続に失敗した場合、 wait 秒待って、接続を再度試みます。

−q quittime
接続が quittime 秒以上止まると、終了します。

−R
プロキシを介さない自動取得の全てを再度開始します。

−t
パケットのトレースを有効にします。

−T direction,maximum[,increment]
direction
に対する最大転送速度を maximum バイト毎秒に設定しま す。 increment が設定されていれば、増加幅を increment バイト毎秒 に設定します。詳細は、 rate を参照下さい。

−u URL file [...]
コマンド行で指定したファイルを、 URL にアップロードします。ここ で、 URL は、自動取得でサポートされる ftp URL タイプのいずれか 1 個です (但し、ファイル 1 個だけアップロードする場合、ターゲット ファイル名を付けても構いません)。 file は、アップロードするロー カルファイル 1 個以上です。

−v
verbose
progress を有効にします。出力が端末である場合 ( progress については、さらに ftp がフォアグラウンドプロセスの場 合)、これがデフォルトです。 ftp はデータ転送状況と、リモートサー バからのすべてのレスポンスを表示します。

−V
入力が端末からの場合に、デフォルトの有効設定を上書きして、 verboseprogress をともに無効にします。

ftp は、通信相手をコマンドラインで指定することが出来ます。通信相手をコマ ンドラインで指定した場合、 ftp は即座に指定したリモートマシンの FTP サー バプログラムとの接続を試みます。それ以外の場合、 ftp は内部のコマンドイン タプリタに入り、ユーザからのコマンド入力を待ちます。 ftp がユーザからのコ マンド入力待ち状態にあるときは、 ‘ftp>’ というプロンプトを出力します。本 状態の時には、 ftp は以下のコマンドを受け付けます。

! [command [args]]
ローカルマシン上でシェルを起動します。引数が指定された場合、 最初の引数をコマンドとして実行し、それ以降の引数はそのコマン ドに対する引数として処理されます。

$ macro-name [args]
macdef
コマンドで定義されたマクロ macro-name を実行します。引 数は展開されずにマクロに対して引き渡されます。

account [passwd]
一旦ログインに成功したあとで、資源にアクセスするためにリモー トマシンから要求される追加のパスワードを入力します。引数が指 定されない場合、ユーザに対してアカウントパスワード入力を促す プロンプト表示がされます。この場合の入力モードはエコーバック 無しです。

append local-file [remote-file]
ローカルファイルをリモートマシン上のファイルに追加書き込みし ます。もし、 remote-file が指定されていなければ、ローカルファ イルの名前を ntransnmap の設定により修正した名前をリモー トファイル名として使います。ファイル転送では type, format, mode, structure の現在の設定が使われます。

ascii
転送ファイルの type をネットワーク ASCII 形式にします。これは デフォルト時の設定です。

bell
各ファイル転送コマンド終了時にベルを鳴らすように設定します。

binary
ファイル転送 type をバイナリイメージ転送をサポートするように します。

bye
リモートサーバとの FTP セッションを終了し、 ftp を終了しま す。 EOF を入力した場合も同様に終了します。

case
get
, mget, mput コマンドの際に行なわれる、リモートマシン上で のファイル名前付けの大文字小文字の対応を切り替えます。デフォ ルトでは case はオフですが、オンの場合にはリモートマシンファ イル名のすべての大文字が小文字に変換されて、ローカル マシンの ディレクトリに書き込まれます。

cd remote-directory
リモートマシン上での作業ディレクトリを remote-directory へ変 更します。

cdup
リモートマシン上での作業ディレクトリを親ディレクトリに変更し ます。

chmod mode remote-file
リモートマシン上のファイル remote-file の属性を、 mode で指定 したものに変更します。

close
リモートサーバとの FTP セッションを終了します。そしてコマンド インタプリタに戻ります。定義されたマクロはすべて無効になりま す。

cr
ASCII タイプでファイルの転送を行なう場合に、復帰文字の除去を 行なうかどうかを変更します。 ASCII 形式のファイル転送時には、 復帰/改行の文字列によってレコードを表します。 cr がオン (デ フォルト) の時には、改行コードのみでレコードを区切る UNIX に 適合するように、復帰コードが転送データ列から除去されます。 UNIX 以外のリモートのシステムのレコードは単独の改行文字を含む 可能性があります。 ASCII タイプで転送を行った時には、そういっ た改行文字は cr がオフの場合にだけレコード区切り記号と区別し て扱うことができます。

debug [debug-value]
デバッグモードを切り替えます。 debug-value が指定されるとデ バッグレベルとして設定されます。デバッグモードが有効になる と、 ftp はリモートマシンに送信されたコマンドを ‘−−>’ に続け て表示します。

delete remote-file
リモートマシンのファイル remote-file を削除します。

dir [remote-path [local-file]]
リモートマシン上のディレクトリの内容を表示します。表示内容に はサーバが選択したシステム依存の情報を含みます。例えば大部分 の UNIX システムは ‘ls −l’ コマンドから得られる出力を表示しま す。もし remote-path が指定されなければ、リモートマシン上のカ レントディレクトリの内容が表示されます。もしプロンプトがオン だったら、 ftp は、最後の引数が本当に dir の出力を書き込む ローカルファイルかどうか問い合わせます。ローカルファイルの指 定が無い場合、または local-file の指定が ‘’ だった場合は出力 は画面に表示されます。

disconnect
close
と同じです。

edit
コマンドラインの編集機能、そして文脈に応じたコマンドとファイ ルの補完機能を切り替えます。これは入力が端末の場合は自動的に 有効になり、そしてそうでなければ無効になります。

epsv4
IPv4 コネクションで拡張コマンドである EPSV, EPRT コマンドを使 用するかどうかを切り替えます。まず、 EPSV / EPRT を試み、その 後で、 PASV / PORT を行ないます。デフォルトで有効になっていま す。拡張コマンドに失敗すると、現在の接続の間だけ、もしくは、 epsv4 を再度実行するまで、本オプションは一時的に無効とされま す。

exit
bye
と同じです。

features
リモートサーバがどの機能をサポートしているかを (コマンド FEAT を使い) 表示します。

fget localfile
localfile
中で一覧が指定されたファイルを取得します。 localfile では、1 行 1 ファイル名です。

form format
ファイル転送形式を format と指定します。デフォルトの (かつ唯 一サポートされている) 形式は、 ‘‘non-print’’ です。

ftp host [port]
open
と同じです。

gate [host [port]]
gate-ftp モードのオンオフを切替えます。このモードは、TIS FWTK や、Gauntlet ftp プロキシ経由の接続の際に使用します。 (ユーザ が明示的に指定するか、環境変数 FTPSERVER で指定するかにより) gate-ftp サーバが設定されていない場合、このモードの使用は許さ れません。 host が与えられた場合、gate-ftp モードが有効にな り、gate-ftp サーバとして host が設定されます。これに加え、 port も与えられた場合、gate-ftp サーバに接続するポートとして 使用します。

get remote-file [local-file]
リモートマシン上のファイル remote-file を取得してローカルマシ ン上に格納します。ローカルファイル名 local-file が指定されな い場合、ローカルファイル名は取得したファイルのリモートマシン 上の名前と同じになります。ただし、その名前は case, ntrans, nmap の設定により変更される事があります。ファイル転送の時には 現在の type, form, mode, structure の設定が使用されます。

glob
mdelete
, mget, mput, mreget を行なう場合のファイル名の展開の オン/オフを切り替えます。 glob がオフの場合には、ファイル名は 展開されずにそのままになります。 mput でのファイル名展開の規 則は csh(1) のファイル名展開規則と同様です。 mdelete, mget, mreget の場合には、各々のリモートファイル名はリモートマシン上 で別々に展開され、リストはマージされません。ディレクトリ名の 展開は普通のファイル名の展開と異なる事があります。つまり、展 開の結果はリモートの OS と FTP サーバに依存しています。これは ‘mls remote-files −’ を実行する事によってあらかじめ知ることが できます。注: mget, mput, mreget はファイルのディレクトリサブ ツリーを全て転送するものではありません。そのようにしたい時は サブツリーの tar(1) のアーカイブを作成してバイナリモードで転 送します。

hash [size]
1 データブロック転送するごとにハッシュサイン (‘‘#’’) を出力す るかどうかを切り替えます。デフォルトでは 1 データブロックは 1024byte です。これは size でバイト単位で指定する事で変更でき ます。 hash を有効にすると、 progress が無効になります。

help [command]
引数 command の意味に関するヘルプメッセージを出力します。引数 が与えられない場合、 ftp は使用可能なコマンドの一覧を出力しま す。

idle [seconds]
リモートサーバ上のアイドルタイマを seconds 秒に設定します。 seconds が与えられない場合は現在のアイドルタイマ値を表示しま す。

image
binary
と同じです。

lcd [directory]
ローカルマシン上の作業ディレクトリを変更します。 directory 名 が与えられない場合はユーザのホームディレクトリに移動します。

less file
page
と同じです。

lpage local-file
set pager
オプションで指定したプログラムで local-file を表示 します。

lpwd
ローカルマシン上の作業ディレクトリを表示します。

ls [remote-path [local-file]]
dir
と同じです。

macdef macro-name
マクロ定義を行ないます。後続の行がマクロ macro-name として格 納されます。空行 (1 つのファイル内での連続した改行文字や端末 からの連続した復帰文字) はマクロの入力モードを終了させます。 マクロの数の制限は 16 個で、定義されたマクロ全部で 4096 文字 までがゆるされています。マクロは close コマンドが実行されるま で定義された状態を持続します。マクロプロセッサは ‘$’ と ‘\’ を特別な文字として解釈します。 1つ以上の数字が続く ‘$’ は、コ マンドラインで呼び出したマクロの対応する引数によって置き換え られます。後ろに ‘i’ が続く ‘$’ は、マクロプロセッサに対して 実行しているマクロのループを指示します。最初のパスで ‘$i’ は マクロを呼び出したコマンドラインの最初の引数に置き換えられ、2 回目のパスで 2 つ目の引数に置き換えられ、それ以降も同様に置き 換えられます。後ろに任意の文字が続いている ‘\’ はその文字に置 き換えられます。 ‘\’ は ‘$’ の特別な扱いを避けるために使用し ます。

mdelete [remote-files]
リモートマシンの remote-files を削除します。

mdir remote-files local-file
複数のリモートファイルを指定出来る点を除くと dir と同様です。 プロンプトがオンの時には、 ftp は最後の引数が mdir の出力を受 け取るローカルファイルであるかをユーザに問い合わせます。

mget remote-files
リモートマシンで remote-files で指定されたファイルを展開し、 展開により生成された各ファイル名のファイルに対して get を実行 します。ファイル名の展開の詳細は glob を参照してください。生 成されたファイル名は case, ntrans, nmap の設定に従い処理され ます。ファイルはローカルの作業ディレクトリに転送されます。そ のディレクトリは ‘lcd directory’ で変更できます。ローカルの新 しいディレクトリは ‘! mkdir directory’ で作成できます。

mkdir directory-name
リモートマシンにディレクトリを作ります。

mls remote-files local-file
複数のリモートファイル名を指定できる点と local-file を必ず指 定しなければならない点を除くと ls と同様です。プロンプトがオ ンの時には、 ftp は最後の引数が mls の出力を受け取る目標の ローカルファイルであるかをユーザに確認します。

mlsd [remote-path]
remote-path
(指定のない場合はカレントディレクトリがデフォルト になります) の内容を、 MLSD を使い機械可読の形式で表示しま す。表示形式は、 ‘remopts mlst ...’ により変更できます。

mlst [remote-path]
remote-path
(指定のない場合はカレントディレクトリがデフォルト になります) の詳細な情報を、 MLST を使い機械可読の形式で表示 します。表示形式は、 ‘remopts mlst ...’ により変更できます。

mode mode-name
ファイル転送モード modemode-name で指定したものに設定しま す。デフォルトの (かつ唯一サポートされる) モードは、 ‘‘stream’’ です。

modtime remote-file
リモートマシン上の指定ファイルの最終更新日時を参照します。

more file
page
と同じです。

mput local-files
引数として与えられたローカルファイルのリスト中のワイルドカー ドを展開し、展開後の各ファイル名のファイルに対して put を実行 します。ファイル名の展開の詳細については glob を参照してくだ さい。生成されたファイル名は ntransnmap の設定に従って処 理されます。

mreget remote-files
mget
と同様ですが、 get ではなく、 reget を実行するところが異 なります。

msend local-files
mput
と同じです。

newer remote-file [local-file]
リモートマシンのファイルの最終更新日時の方がローカルマシンの ファイルより新しい場合にのみファイルを取得します。現在のシス テムにファイルが無いときには、リモートファイルの方が 新しいも のとして扱われます。その他については get と同じです。

nlist [remote-path [local-file]]
ls
と同じです。

nmap [inpattern outpattern]
ファイル名のマッピング機能を設定したり解除したりします。引数 が無い場合にはマッピング機能が解除されます。引数がある場合に は、出力先のリモートファイル名の指定されていない mput コマン ドと put コマンドの実行時に、リモートファイル名がマップされま す。同様な事が mget コマンドと get コマンドのローカルファイル 名についても行われます。このコマンドはファイルの命名規則、命 名習慣が異なる非 UNIX リモートマシンとの接続時に便利です。 マッピングは inpatternoutpattern によって設定されたパター ンに従って行われます。 [inpattern] は (すでに ntranscase によって処理済の) 入力ファイル名のためのテンプレートです。 inpattern に ‘$1’, ‘$2’, ..., ‘$9’ の文字列を含むことによっ て、変数を使用したテンプレートも使えます。 ‘$’ を特別扱いした くない時には ‘\’ を使ってください。他の文字はそのままその文字 として扱われ、 nmap の [inpattern] 変数の値を決めるのに用いら れます。例えば、 inpattern として $1.$2 が、リモートファイル の名前として "mydata.data" が与えられた時に、$1 は "mydata" という値となり、 $2 は "data" という値になります。 outpattern は生成されるマッピング後のファイル名を決定します。文字列の ‘$1’, ‘$2’, ...., ‘$9’ は inpattern のテンプレートから生成さ れる値に置き換えられます。文字列の ‘$0’ は元のファイル名で置 き換えられます。さらに、文字列の ‘[seq1, seq2]’ は [seq1] が 空文字列でない時には seq1 に、空文字列の時には seq2 に置き換 えられます。例えばコマンド

nmap $1.$2.$3 [$1,$2].[$2,file]

は、入力ファイル名 "myfile.data" と "myfile.data.old" に対し て出力ファイル名が "myfile.data" になり、入力ファイル名 "myfile" に対して出力ファイル名が "myfile.file" になり、入力 ファイル名 ".myfile" に対して出力ファイル名が "myfile.myfile" になります。例えば、‘nmap $1 sed "s/ *$//" > $1’ のように、 outpattern にはスペースが入っていても構いません。文字 ‘$’, ‘[’, ‘]’, ‘,’ を特別扱いしたくない時には ‘\’ を使ってくださ い。

       ntrans [inchars [outchars]]

ファイル名の文字変換機能を設定したり解除したりします。引数が 無い場合には文字変換機能が解除されます。引数がある場合には、 出力先のリモートファイル名の指定されていない mput コマンドと put コマンドの実行時にリモートファイル名が変換されます。同様 な事が mget コマンドと get コマンドでもローカルファイルに対し て行われます。このコマンドは、異なるファイル命名規則、命名習 慣を持つ非 UNIX リモートマシンとの接続時に有効です。ファイル 名中の文字で、 inchars の中の文字に一致するものが outchars の 対応する文字に置き換えられます。 inchars の中での文字の位置が outchars の長さを越えている時には、その文字はファイル名から削 除されます。

open host [port]
指定した host の FTP サーバとのコネクションを確立します。ポー ト番号 port を指定した場合、 ftp は指定したポート番号を用いて FTP サーバとのコネクションの確立を試みます。 set auto-login オプションがオン (デフォルト時) の場合には、 ftp は自動的に FTP サーバに対してログインを行ないます (以下を参照)。

page file
file
を取得して、 set pager オプションで指定されたプログラム を使って表示します。

passive [auto]
パッシブモードを切り替えます (引数を指定しない場合)。 auto が 与えられた場合、 FTPMODE が ‘auto’ に設定されたかのように動作 します。パッシブモードがオン (デフォルトの状態です) なら、 ftp は、全てのデータコネクションのためのコマンドとして、 PORT コマンドの代わりに PASV コマンドを送ります。 PASV コマンドは リモートのサーバにデータコネクションのためのポートを開いて、 そのポートのアドレスを返すよう要求します。リモートサーバはそ のポートで待ち (listen し)、クライアントはそこに接続します。 より伝統的な PORT コマンドを使う場合は、クライアントがポート で待ち (listen し)、そしてそのアドレスをリモートサーバに送 り、リモートサーバはそこに接続して来ます。パッシブモードはト ラフィックの方向を制御するゲートウェイルータやホストを経由し て ftp を使う場合に有用です。 (注意: FTP サーバが RFC 1123 の PASV コマンドをサポートしている必要がありますが、サポートして いないものもあります)

pdir [remote-path]
dir
[remote-path] を実行し、その結果を set pager オプションで 指定したプログラムを使い表示します。

pls [remote-path]
ls
[remote-path] を実行し、その結果を set pager オプションで 指定したプログラムを使い表示します。

pmlsd [remote-path]
mlsd
[remote-path] を実行し、その結果を set pager オプション で指定したプログラムを使い表示します。

preserve
受け取ったファイルの更新日時を保存するかどうかを切り替えま す。

progress
転送の進行状況を表す棒グラフ表示を切り替えます。この棒グラフ は、 ローカルファイルとして ‘’ か ‘|’ で始まるコマンドが指定 された転送では表示されません。詳しくは ファイル名の規則を参照 して下さい。 progress を有効にすると、 hash が無効になりま す。

prompt
対話的プロンプトモードを切り替えます。対話的プロンプトモード をオンにすることで、複数ファイル転送時に転送ファイルの選択を 行なえます。対話的プロンプトモードをオフにすると (デフォルト はオン)、 mgetmput で指定したファイルはすべて転送され、 mdelete で指定したファイルはすべて削除されます。

プロンプトモードがオンの時には、プロンプトにおいて以下のコマ ンドが使用できます。

a
現在のファイルについて ‘yes’ とし、自動的に現在のコ マンドに対する残りのすべてのファイルに対しても ‘yes’ とします。

n
‘no’ とし、ファイルを転送しません。

p
現在のファイルについて ‘yes’ とし、( ‘‘prompt off’’ が指定された場合と同様に) プロンプトモードをオフに します。

q
現在の操作を終了します。

y
‘yes’ とし、ファイルを転送します。

?
ヘルプメッセージを表示します。

これ以外の応答は現在のファイルに対する ‘yes’ として扱われま す。

proxy ftp-command
ftp コマンドを 2 本目の制御コネクション上で実行します。本コマ ンドを用いることで、同時に 2 つのリモート FTP サーバとコネク ションを確立し、 2 つのサーバ間でファイル転送を行なうようにす ることができるようになります。最初の proxy コマンドは open コ マンドである必要があります。これは、2 本目の制御コネクション を確立するために必要な操作です。 "proxy ?" とコマンドを実行す ることで、 2 本目のコネクションで使用可能な FTP コマンド一覧 が表示されます。以下のコマンドは proxy の後におかれた時には異 なった働きをします。 open は自動ログイン処理中には新しいマク ロの定義を行いません。 close はマクロの削除を行いません。 getmget は 1 本目の制御コネクションのホストから 2 本目の制御 コネクションのホストにファイルの転送を行います。 putmputappend は 2 本目の制御コネクションのホストから 1 本目の制 御コネクションのホストにファイルの転送を行います。第三者によ るファイル転送は、2 本目の制御コネクションのサーバが FTP プロ トコルの PASV コマンドをサポートしているかどうかに依存しま す。

put local-file [remote-file]
ローカルファイルをリモートマシンに転送します。 remote-file が 指定されない場合には、転送先でのファイル名は、 ntransnmap の設定に基づく処理を行ったローカルファイルの名前が用いられま す。ファイル転送には type, format, mode, structure の現在の設 定が用いられます。

pwd
現在のリモートマシン上での作業ディレクトリを表示します。

quit
bye
と同じです。

quote arg1 arg2 ...
引数で指定した文字列を、そのままリモート FTP サーバに送信しま す。

rate direction [maximum [increment]]
最大転送速度を maximum バイト毎秒に速度制限します。 maximum が 0 の場合、速度制限は解除されます。

direction は、次のうちの 1 つです。
all

双方向とも。
get

入り方向の転送。
put

出方向の転送。

転送実行中に以下のシグナルを受けるたびに、最大転送速度 maximumincrement バイト毎秒 (デフォルトは 1024) だけ増減 されます。シグナルは次の通りです。

SIGUSR1
maximum
increment バイトだけ増加させます。

SIGUSR2
maximum
increment バイトだけ減少させます。 結果は必ず正の値になります。

maximum が与えられない場合、現在の制限速度値が表示されます。

注意: ascii モード転送については、 rate はまだ実装されていま せん。

rcvbuf size
ソケット受信バッファの大きさを size に設定します。

recv remote-file [local-file]
get
と同じです。

reget remote-file [local-file]
reget
は、 get と似た動作を行ないますが、 local-file が存在し ており remote-file よりサイズが小さい場合には、 local-fileremote-file が部分的にコピーされたものとみなして続きをコピー する点が異なります。本コマンドは、コネクションが切断されがち なネットワーク経由で大きいファイルを転送する際に有用です。

remopts command [command-options]
リモート FTP サーバのオプションを設定します。その際に、 commandcommand-options を与えます (command-options の有無 はコマンドにより扱われます)。オプションをサポートすることが知 られているリモート FTP コマンドには次のものがあります。 ‘MLST’ (これは MLSD, MLST に用いられます)。

rename [from [to]]
リモートマシン上のファイル from が、 to というファイル名にリ ネームされます。

reset
リプライキューをクリアします。本コマンドはリモート FTP サーバ との間でコマンド/リプライのシーケンスの再同期をとるのに使われ ます。リモートサーバにより FTP プロトコル違反が生じると、その 後で、再同期が必要になることがあります。

restart marker
このコマンドの直後の getput を指定した marker 位置から再 開します。 UNIX システムにおいては、通常 marker はファイルの バイトオフセットで指定します。

rhelp [command-name]
リモート FTP サーバからのヘルプを要求します。 command-name を 指定した場合、それも同様にサーバに渡されます。

rmdir directory-name
リモートマシン上のディレクトリを消去します。

rstatus [remote-file]
引数なしの場合、リモートマシンの状態を表示します。 remote-file を指定した場合、リモートマシンの remote-file の状 態を表示します。

runique
ローカルマシンに保存されるファイルに対してユニークな名前を付 加するかどうかを切り替えます。 getmget コマンドで目的の ローカルファイルと同じ名前のファイルが既に存在する時には、 ".1" が名前に付加されます。その名前も既に存在する時には ".2" が付加されます。このように順番に処理をし、 ".99" になっても存 在する時にはエラーメッセージが表示され、転送は行われません。 生成されたユニークなファイル名は報告されます。注: runique は シェルコマンドで生成されるファイル名には効果がありません (下 記参照)。デフォルトではオフになっています。

send local-file [remote-file]
put
と同じです。

sendport
PORT コマンドを使用するかどうか切り替えます。デフォルトでは、 ftp は各データ転送用のコネクションの確立の際に PORT コマンド の使用を試みます。 PORT を使うことで複数ファイル転送を行なう 場合の遅延を避けることが出来ます。 PORT コマンドが失敗した場 合、 ftp はデフォルトのデータポートを使用します。 PORT コマン ドが無効になった場合、データ転送時に PORT コマンドは使われま せん。これはある種の FTP の実装で PORT コマンドは無視するが、 誤っていて、受け入れたと返事を返すような物に対して有効です。

set [option value]
オプション option に、値 value を設定します。 option, value どちらも与えられない場合、全オプションとその値を表示します。 現在サポートされているオプションは次のとおりです。

anonpass
デフォルトは $FTPANONPASS

ftp_proxy
デフォルトは $ftp_proxy

http_proxy
デフォルトは $http_proxy

no_proxy
デフォルトは $no_proxy

pager
デフォルトは $PAGER

prompt
デフォルトは $FTPPROMPT

rprompt
デフォルトは $FTPRPROMPT

site arg1 arg2 ...
引数で指定した文字列を、 SITE コマンドの引数としてそのまま FTP サーバに送信します。

size remote-file
リモートマシン上の remote-file で指定したファイルのサイズを表 示します。

sndbuf size
ソケットの送信バッファの大きさを size に設定します。

status
ftp
の現在の状態を表示します。

struct struct-name
ファイル転送の structurestruct-name に設定します。デフォ ルトの (そして唯一サポートされている) structure は、 ‘‘file’’ です。

sunique
リモートマシン上に転送するファイルのファイル名に対して、一意 な名前を付与するかどうかを切り替えます。この機能が使えるため には、リモートの FTP サーバが FTP プロトコルの STOU コマンド をサポートしていなければなりません。リモートサーバがユニーク な名前を報告します。デフォルトではこの機能はオフになっていま す。

system
リモートマシンで稼働している OS のタイプを表示します。

tenex
TENEX マシンと通信するために必要なファイル転送モードを設定し ます。

throttle
rate
と同じです。

trace
パケットトレースをするかどうかを切り替えます。

type [type-name]
ファイル転送の typetype-name に変更します。引数が指定され ない場合には現在のファイル転送タイプを表示します。デフォルト タイプはネットワーク ASCII です。

umask [newmask]
リモートサーバのデフォルトの umask 値を newmask で指定した値 に変更します。 newmask が指定されていない場合は現在の umask 値を表示します。

unset option
オプション option の設定を解除します。詳細については set を参 照して下さい。

usage command
command
の使い方を表すメッセージを表示します。

user user-name [password [account]]
ユーザをリモート FTP サーバに認識させます。 password が指定さ れていなくて、 FTP サーバが必要とする場合は (ローカルエコーを オフにしてから) ftp がユーザに問い合わせます。 account が指定 されていなくて、 FTP サーバが必要とする場合には、 ftp がユー ザに問い合わせます。リモートサーバがログイン時にアカウントを 必要としないのに account フィールドが指定された場合には、ログ イン処理の完了後に account コマンドがリモートサーバに渡されま す。 ‘‘auto-login’’ を無効にした状態で ftp が呼び出されない限 り、この処理は FTP サーバに最初につながった時に自動的に行われ ます。

verbose
饒舌モードの切り替えをします。饒舌モードの時には FTP サーバか らの全ての応答が表示されます。さらにこのモードがオンの時に は、ファイル転送が終了した時に転送効率に関する統計が報告され ます。デフォルトではオンになっています。

xferbuf size
ソケットの送信バッファ、受信バッファの大きさを size に設定し ます。

? [command]
help
コマンドと同じです。

スペースを含むコマンドの引数は、‘"’ マークで括って下さい。

設定を切り替えるコマンドでは、設定を指定するために明示的に onoff を引 数として指定できます。

引数としてバイト数を取るコマンド (例えば、 hash, rate, xferbuf など) は、 その引数の後置オプションをサポートしており、引数の解釈を変えることができ ます。サポートされる後置オプションは次のものです。
b
無修正 (オプションです)
k
キロ。引数を 1024 倍します。
m
メガ。引数を 1048576 倍します。
g
ギガ。引数を 1073741824 倍します。

ftp が転送中にシグナル SIGINFO ( stty(1) の引数 ‘‘status’’ を参照) か、 SIGQUIT を受けると、その時点での転送レートの統計情報が終了時の標準的な フォーマットと同じ形式で標準エラー出力に書き出されます。

ファイルの自動取得

標準的なコマンドに加えて、このバージョンの ftp は自動取得の機能をサポート します。単にホスト名/ファイルのリストをコマンドラインで渡すだけで、自動取 得が有効になります。

自動取得の要素として有効な構文は、以下の形式です。

         [user@]host:[path][/]

‘‘古典的な’’ FTP の形式。

path に glob 文字が含まれており、ファイル名展開 (globbing) が有効に なっている場合 ( glob を参照)、 ‘mget path’ と同等の処理が行なわれ ます。

path のディレクトリ要素に glob 文字が含まれていない場合、 path の ベースネーム (basename(1) を参照) を名前として、ファイルをローカル のカレントディレクトリに格納します。そうでない場合、リモートの名前 全体を、ローカルのルートディレクトリから相対的に使用します。

ftp://[
user
[:password]@]host[
:port]/path[/][;type=X]
FTP URL 形式。 set ftp_proxy が定義されていなければ FTP プロトコル で取得します。そうでなければ set ftp_proxy で指定されたプロキシを経 由した HTTP を使って URL を転送します。 set ftp_proxy が定義されて おらず、 user が与えられている場合、 user としてログインします。こ の場合、 password が与えられていれば、それを使います。与えられてい なければ、プロンプトをユーザに表示して入力を促します。

‘;type=A’ もしくは ‘;type=I’ のサフィックスが指定されると、転送タイ プはそれぞれ、 ASCII または binary になります。デフォルト転送タイプ は binary です。

RFC 1738 に準拠するために、 ftp は ‘‘ftp://’’ auto-fetch URL の path 部分を次のように解釈します:

host[
:port] の直後の ‘/’ は、 path の前のセパレータとして解釈 され、 path 自身とは解釈されません。

path は、 ‘/’ で分離される、名前部分のリストであると解釈されま す。最後以外の各部分に対し、 ftpcd に相当するコマンドを実行 します。最後のパス部分に対しては、 ftpget に相当するコマン ドを実行します。

空の名前部分、すなわち path 中の ‘//’ や path の先頭の ‘/’ は、 ディレクトリ名無しの cd コマンドを実行させます。これは有用では ないでしょう。

パス部分の ‘%XX’ は、 XX が 16 進数文字コードであるとしてデコー ドされます。これは、 path が部分に分けられた後に実行されます が、各部分が cdget のコマンドに相当する処理で使用される前に 実行されます。しばしば使用されるコードは、 ‘%2F’ (これは ‘/’ を 表現します) や ‘%7E’ (これは ‘~’ を表現します) です。

上記の解釈の結果、次のようになります:

パスは、指定されたユーザもしくは ‘anonymous’ ユーザのデフォルト ログインディレクトリからの相対指定として解釈されます。 / ディレ クトリを要求する場合、パス先頭に ‘‘%2F’’ を使用して下さい。ユー ザのホームディレクトリを要求する場合 (そして、リモートサーバが その構文をサポートしている場合)、パス先頭に ‘‘%7Euser/’’ を使用 して下さい。例えば、パスワード ‘mypass’ を持つユーザ名 ‘myname’ として、 ‘localhost’ から /etc/motd を取得するには、 ‘‘ftp://myname:mypass@localhost/%2fetc/motd’’

正確な cd および get のコマンドの使用は、どこに ‘/’ を使い、ど こに ‘%2F’ (または ‘%2f’) を使うかで制御可能です。例えば、次の URL は指定されるコマンドに対応します:

ftp://host/dir1/dir2/file
‘‘cd dir1’’, ‘‘cd dir2’’, ‘‘get file’’.

ftp://host/%2Fdir1/dir2/file
‘‘cd /dir1’’, ‘‘cd dir2’’, ‘‘get file’’.

ftp://host/dir1%2Fdir2/file
‘‘cd dir1/dir2’’, ‘‘get file’’.

ftp://host/%2Fdir1%2Fdir2/file
‘‘cd /dir1/dir2’’, ‘‘get file’’.

ftp://host/dir1%2Fdir2%2Ffile
‘‘get dir1/dir2/file’’.

ftp://host/%2Fdir1%2Fdir2%2Ffile
‘‘get /dir1/dir2/file’’.

• cd に相当するコマンドで使用される各中間ディレクトリに対し、適切 なアクセスパーミッションが必要です。

http://[
user
[:password]@]host[
:port]/path
HTTP URL 形式です。ファイル取得に HTTP プロトコルを用います。 set http_proxy が定義されている場合、 HTTP プロキシサーバへの URL とし て使用されます。 path の取得に HTTP 認証が必要であり、かつ、 ‘user’ (とオプションで ‘password’ ) が URL に含まれている場合、最初の認証 処理にそれらを使います。

file:///path
ローカル URL 形式です。ローカルホストの /path からコピーされます。

上で特に指定がない限り、かつ、 −o output が指定されていない場合、ファイル はカレントディレクトリに pathbasename(1) として格納されます。

古典的な形式または FTP URL形式で最後に ‘/’ がある場合、もしくは path 要素 が空の場合、 ftp はそのサイトに接続して与えられたパスのディレクトリに cd し、以降の入力を受け付けるために対話モードに入ります。これは set ftp_proxy が使用されている場合には動作しません。

直接 HTTP 転送では HTTP 1.1 を使用します。プロキシ経由の FTP, HTTP 転送で は、HTTP 1.0 を使用します。

−R が指定されている場合、 FTP, HTTP プロキシを介さない自動取得全てが再び 開始されます。 FTP に対しては、これは get でなく reget を使い実装されてい ます。 HTTP に対しては、これは、 HTTP/1.1 のディレクティブ ‘Range: bytes=’ を用いて実装されています。

WWW 認証またはプロキシ WWW 認証が必要な場合、ユーザに対し認証のためのユー ザ名、パスワードの入力を促すプロンプトが出力されます。

URL にIPv6 の数値アドレスを指定した場合、例えば、 ‘‘ftp://[::1]:21/’’ の ように、アドレスを角括弧で囲う必要があります。これは IPv6 の数値アドレス で使用するコロンが、ポート番号を区切るセパレータでもあるためです。

ファイル転送の中止

ファイル転送を中断するためには、端末のインタラプトキー (通常は Ctrl-C) を 打鍵してください。データ送信はただちに停止します。データ受信は、 FTP プロ トコルの ABOR コマンドをリモートサーバに送ることで、サーバからのデータ送 信が止められます。そしてそれ以降の受信データは捨てられます。これが行われ る速度は、リモートサーバが ABOR コマンドをサポートする方式に依存します。 リモートサーバが ABOR コマンドをサポートしていない時には、要求したファイ ルをリモートサーバが送り終るまでプロンプトは現れません。

ftp が ABOR 処理中のリモートサーバからの応答を待っている状態にある間に、 端末の割り込みキーシーケンスが使用された場合、コネクションは閉じられま す。これは古くからの動作 (この状態では端末の割り込みは無視されます) とは 異なりますが、こちらの方がより便利と考えてのことです。

ファイル名の規則

ftp コマンドの引数として指定されたファイル名は、以下の規則で処理されま す。

       1. ファイル名として ‘’ が指定された場合、入力ファイル名の場合には標準入力 stdin が、出力ファイル名の場合には標準出力 stdout が使用されます。

2. ファイル名の先頭の文字が ‘|’ の場合には、その後に指定された文字列は すべてシェルコマンドと解釈されます。 ftp は与えられた引数をつけて popen(3) を用いてシェルを fork し、標準出力から (標準入力へ) 読み出 し (書き込み) ます。シェルコマンドにスペースが含まれている時には引数 は引用符で囲まれなければなりません。 (例: ‘‘"| ls −lt"’’ ) 特に有用 な例としては ‘‘dir "" |more’’ があります。

3. 上記のチェックにひっかからず、‘‘globbing’’ が有効になっている場合、 ローカルファイル名は csh(1) のファイル名展開規則にしたがって展開され ます。 (詳細は glob コマンドを参照) ただし、 ftp のコマンドが 1 つの ファイル名しか必要としない場合 (例えば put) は、ファイル名展開で生成 された最初のファイル名だけが使用されます。

4. mget コマンドと get コマンドにおいてローカルファイル名が指定されない 場合、ローカルファイル名はリモートファイル名と同一になります。ただ し、これらのファイル名は case, ntrans, nmap の設定によって変わること もあります。結果として得られたファイル名は、 runique が設定されてい ればさらに変わるかもしれません。

5. mput コマンドと put コマンドにおいてリモートファイル名が指定されない 場合、リモートファイル名はローカルファイル名と同一になります。ただ し、これらのファイル名は ntrans, nmap の設定によって変わることもあり ます。結果として得られたファイル名は、 sunique が設定されていればリ モートサーバによってさらに変えられる可能性があります。

ファイル転送パラメータ

FTP の仕様にはファイル転送時に影響を及ぼす多くのパラメータが規定されてい ます。 type は、 ‘‘ascii’’, ‘‘image’’ (binary), ‘‘ebcdic’’, ‘‘local byte size’’ (ほとんど PDP-10 および PDP-20 のためのものです) のうちの 1 個が指 定可能です。 ftp は、ascii と image のタイプを指定可能なのに加えて、 tenex モードの転送を指定することによりローカルバイトサイズ 8 を指定するこ とが可能です。

ftp では、他の mode, form, struct のパラメータではデフォルト値だけが使用 可能です。

.netrc ファイル

.netrc ファイルは、自動ログイン処理のためのログイン情報および初期設定情報 を記述します。 −N netrc オプションで上書きしない限り、かつ、環境変数 NETRC で指定しない限り、 .netrc ファイルは、ユーザのホームディレクトリに 置きます。 .netrc では以下のトークンが解釈されます。これらはスペース、タ ブ、改行文字のいずれかによって分割されます。

       machine name

リモートマシン名 name を定義します。自動ログイン処理は、 .netrc ファイル中を探し、 ftp のコマンドラインもしくは open コマンドの 引数として指定されたリモートマシンに一致する machine トークンを 探します。一致するものがあった場合は、その後に続く .netrc トー クンが処理され、その処理はファイル最後尾に行き着くか他の machine トークンまたは default トークンに出くわすまで続きます。

default
任意の名前と一致すること以外は machine name と同様です。 default トークンは、 .netrc ファイル中に 1 エントリだけが許さ れ、しかも他の全ての machine トークンより後ろでなければなりませ ん。通常は

default login anonymous password user@site

のように使用されます。本エントリによって .netrc に指定の無いマ シンに自動的に anonymous FTP ログインを試みるようになります。自 動ログインを無効にするために、 −n フラグを用いてこの処理を上書 きすることができます。

login name
リモートマシンにおけるログイン名を指定します。本トークンが与え られている場合、自動ログイン処理は指定した name を用いてログイ ンを開始します。

password string
パスワードを指定します。本トークンが指定されている場合でリモー トサーバがログイン処理中にパスワードを要求する場合は、自動ログ イン処理は指定した文字列を送ります。 .netrc ファイルにおいて、 anonymous 以外のユーザに対し本トークンが存在している場合、 .netrc がそのユーザ以外から読み込み可能ならば、 ftp は自動ログ イン処理を中断します。

account string
追加のアカウントパスワードを指定します。このトークンがあると、 追加のアカウントパスワードをリモートホストが必要とする時に自動 ログインプロセスが指定された文字列を与えます。そうでない場合に は、自動ログインプロセスは ACCT コマンドを与えます。

macdef name
マクロを定義します。このトークンの機能は ftpmacdef コマンド の機能に似ています。マクロは指定された名前を用いて定義されま す。その内容は .netrc の次の行から始まり、空行 (改行文字の連続) が現れるまで続きます。 init というマクロが定義されているなら ば、自動ログイン処理の中での最後の段階で自動的に実行されます。 例えば

default
macdef init
epsv4 off

が、空行の後に続きます。

コマンドラインの編集機能

ftpeditline(3) ライブラリを使った対話的なコマンドラインの編集をサポー トします。これは edit コマンドによって有効になり、そして入力が tty からの 場合はデフォルトで有効になっています。カーソルキーで以前の行を呼び出して 編集できます。そして他にも GNU Emacs スタイルの編集用のキーが使えます。

editline(3) ライブラリは .editrc ファイルで設定できます - より詳しくは editrc(5) を参照して下さい。

ftp には、文脈に依存したコマンドとファイル名の補完 (リモートファイルの補 完を含む) 機能を提供するための追加のキー割り当てが用意されています。これ を使うためには editline(3)ftp-complete コマンドにキーを割り当てて下さ い。これはデフォルトで TAB キーに割り当てられています。

コマンドラインプロンプト

デフォルトでは、 ftp は ‘‘ftp> ’’ のコマンドラインプロンプトをユーザに表 示します。 set prompt コマンドを使うことでこれを変更できます。

set rprompt コマンドにより、スクリーンの右端 (コマンド入力の後) にプロン プトを表示させることもできます。

次の書式文字列は、与えられた情報で置き換えられます。

             %/

リモート側のカレントディレクトリ。

%c[[
0]n],%.[[
0]n]
リモート側のカレントディレクトリの末尾の要素。数字 n が与えら れた場合は、末尾 n 個の要素。 n が ‘0’ で始まる場合、末尾要素 の前に、スキップされた要素数が、 (‘%c’ の場合) 書式 ‘‘
/<number>trailing’’ で、 (‘%.’ の場合) 書式 ‘‘...trailing’’ で 置かれます。

%M
リモートホスト名。

%m
リモートホスト名のうち、最初の ‘.’ までの部分。

%n
リモートユーザ名。

%%
‘%’ 1 文字。

環境変数

ftp は、以下の環境変数を使用します。

       FTPANONPASS

anonymous FTP 転送の際に送付するパスワード。デフォルトは、 ‘‘‘whoami‘@’’ です。

FTPMODE
デフォルトの動作モードを上書きします。サポートする値は次の とおりです。

active
アクティブモード。 FTP のみ。

auto
パッシブ / アクティブの自動判定 (これがデフォルト です)。

gate
gate-ftp モード。

passive
パッシブモード。 FTP のみ。

FTPPROMPT
コマンド行プロンプト。デフォルトは、 ‘‘ftp> ’’ です。詳細 は、 コマンドラインプロンプトを参照して下さい。

FTPRPROMPT
コマンド行右側のプロンプト。デフォルトは ‘‘’’ です。詳細 は、 コマンドラインプロンプトを参照して下さい。

FTPSERVER
gate
が有効な時に gate-ftp サーバとして使用するホスト。

FTPSERVERPORT
gate
が有効な時に gate-ftp サーバに接続するのに使うポー ト。デフォルトは ‘‘ftpgate/tcp’’ で getservbyname() を呼び 出して返って来たポート。

FTPUSERAGENT
HTTP ユーザエージェントヘッダとして送る値。

HOME
定義されていれば .netrc ファイルのデフォルトの置き場所とな ります。

NETRC
.netrc
ファイルの別の置き場所。

PAGER
各種コマンドでファイルを表示する際に使われます。本環境変数 が空か設定されていない場合のデフォルトは、 more(1) です。

SHELL
デフォルトで起動するシェルを定義します。

ftp_proxy
FTP URL リクエストを発行する時に使う FTP プロキシの URL ( 定義されていなければ標準の FTP プロトコルを使います)。

注意: 本環境変数はインタラクティブセッションでは使われませ ん。コマンド行での取得のためだけのものです。

http_proxy
HTTP URL リクエストを発行する時に使う HTTP プロキシの URL。プロキシ認証が要求され、この URL ユーザ名とパスワード の指定がある場合、そのプロキシに対し、最初に認証処理を試み る際にそれらを使用します。

ftp_proxy, http_proxy におけるユーザ名、パスワードの用法 は、 ( lynx(1) など) それを使う他のプログラムとは互換性が ないかもしれないことに注意して下さい。

注意: 本環境変数はインタラクティブセッションでは使われませ ん。コマンド行での取得のためだけのものです。

no_proxy
空白またはコンマで区切られたホスト名 (またはドメイン名) の リスト。プロキシを使用しないホストやドメインを表します。各 エントリに対し、オプションで ":port" を指定できます。これ は、そのポートに対する接続のみにマッチングを制限します。

拡張パッシブモードとファイアウォール

ファイアウォールの設定によっては、 ftp は拡張パッシブモードが使えません。 単なる ls コマンドが、

229 Entering Extended Passive Mode (|||58551|)

といったメッセージを表示した後にハングしたように見える場合には、 epsv4 off として拡張パッシブモードを無効化する必要があります。どのようにこれを 自動化するかについては、前述の .netrc ファイル節を参照してください。

関連項目

getservbyname(3), editrc(5), services(5), ftpd(8)

規格

ftp は、以下の標準に準拠しているつもりです。 RFC 959, RFC 1123, RFC 1738, RFC 2068, RFC 2389, RFC 2428, RFC 2732, draft-ietf-ftpext-mlst-11

歴史

ftp コマンドは 4.2BSD で現れました。

コマンドラインの編集、文脈に依存したコマンドとファイルの補完、進行状況を 表す棒グラフ、ファイルや URL の自動取得、更新時刻の保存、標準 BSD の ftp に対するその他の拡張などといった多様な機能は、 Luke Mewburn ⟨lukem@NetBSD.org⟩ が、 NetBSD 1.3 とそれ以後のリリースで実装しました。

IPv6 サポートは WIDE/KAME プロジェクトが追加しました (が、NetBSD 以外で の本プログラムのバージョン全てでこの機能が存在するとは限りません。これ は、オペレーティングシステムが IPv6 をサポートする際に、 KAME と類似のや りかたを取っているかどうかに依存します)。

バグ

多くのコマンド動作が正しいかどうかは、リモートサーバの動作が適切かどうか に依存します。

4.2BSD の ascii モードでの転送時の復帰文字の取り扱いのエラーは訂正されて います。この訂正の結果として、 4.2BSD のサーバとの間でバイナリファイルを ascii タイプを使用して転送した時に不正転送をひき起こすことがあります。こ の問題を回避するためにはバイナリモードを用いてファイル転送をして下さい。

ftp は、IPv4 マップドアドレス (

                                      ::ffff:10.1.1.1 のような形式の IPv6アドレス) の全てが AF_INET ソケットで扱うことができる IPv4 の宛先を表していると想定しています。しかし、IPv6 の設定によっては、この想定が正しくないこともあります。そのような環境では、IPv4 マップドアドレスは AF_INET6 ソケットに直接渡さなければなりません。例えば、あるサイトが IPv6-to-IPv4 変換として SIIT トランスレータを使用しているとします。このとき、 ftp はこの設定をサポートすることができません。
FreeBSD 10.0                   December 19, 2003                  FreeBSD 10.0
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