スポンサーリンク

TCSH

名称
書式
解説
参照
環境変数
関連ファイル
新規機能 (+)
バグ
tcsh の T の由来
制限
関連項目
バージョン
作者
謝辞
翻訳

名称

tcsh - ファイル名補完とコマンド行編集を追加した C シェル

書式

tcsh [−bcdefFimnqstvVxX] [−Dname[=value]] [arg ...]
tcsh −l

解説

tcsh は、バークレイ版 UNIX の C シェル csh(1) と完全に互換性があり、さ らに機能強化したシェルです。対話的なログインシェル、またシェルスクリ プ ト のコマンドプロセッサの両方の用途で使われるコマンドインタプリタです。 tcsh には、コマンド行編集 (コマンド行編集の項を参照)、プログラム可能 な 単 語の補完 (補完と一覧の項を参照)、スペル訂正 (スペル訂正の項を参照)、 履歴 (ヒストリ置換の項を参照)、ジョブ制御 (ジョブの項を参照)、 C 言語風 の 文法があります。新機能の章では、csh(1) には存在しない、tcsh の主な追 加機能について説明しています。このマニュアルを通じ、tcsh の機能のうち、 csh(1) のほとんどの実装 (特に 4.4BSD の csh) にない機能について、ラベル (+) をつけてあります。そして、csh(1) にあったけれども文書化されて い な かった機能にラベル (u) をつけてあります。

引数リスト処理

シェルへの 1 番目の引数 (引数 0 番) が ‘−’ の場合、シェルはログインシェ ルになります。シェルを −l フラグを指定して起動することでもログイン シェ ルにできます。

残りのフラグは以下のように解釈されます。

−b

このフラグは、オプションの処理を強制的に中断させる場合に使用し ます。このフラグ以降の引数はすべて、オプションではないものとして処 理されます。これにより、混乱を避け、小細工をしなくても、シェルスク リプトにオプションを渡すことが可能になります。 set-user ID スク リ プトは本オプションなしでは実行できません。

−c

コマンドを、本フラグの次にくる引数 (この引数は省略できません。 また、1 つだけである必要があります) から読み込み、実行します。この 引 数 は、 あとで参照できるように、シェル変数 command に格納されま す。残りの引数は、シェル変数 argv に代入されます。

−d

ログインシェルであるかどうかにかかわらず、スター ト アッ プ と シャットダウンの項で解説されているように ~/.cshdirs から、ディレク トリスタックを読み込みます。(+)

−Dname[=value]

環境変数 name に値 value を設定します。(Domain/OS のみ) (+)

−e

起動したコマンドが異常終了したり、0 でない終了ステータスを返し たときに、ただちにシェルを終了します。

−f

~/.tcshrc を読み込まずに無視するので、起動が高速になります。

−F

プロセスを生成する際に vfork(2) の代わりに fork(2) を使いま す。(Convex/OS のみ) (+)

−i

たとえ端末上で実行されていなくても、対話的に動作し最上位レベル の入力の際にプロンプトを表示します。入力と出力がともに端末である場 合、本オプションなしでもシェルは対話的に動作します。

−l

ログインシェルとなります (-l が、指定された唯一のフラグであ る 場合にのみ有効です)。

−m

実効ユーザに属していなくても ~/.tcshrc をロードします。新しい バージョンの su(1) は -m をシェルに渡すことができます。(+)

−n

コマンドの解析は行いますが、実行はしません。シェルスクリプトの デバッグに役立ちます。

−q

SIGQUIT (シグナル処理の項を参照) を受け付けるようにし、デバッ ガのもとで使われても作動するようになります。ジョブ制御は無効になり ます。(u)

−s

標準入力からコマンドを読み込みます。

−t

入力から 1 行だけ読み込み、それを実行します。入力行の改行の直 前に ‘\’ を置くことで、次の行への継続を行うことができます。

−v

シェル変数 verbose を設定します。これにより、ヒストリ置換さ れ た状態のコマンド行を表示するようになります。

−x

シェル変数 echo を設定します。これにより、実行直前に、実行する コマンドを表示するようになります。

−V

~/.tcshrc を実行する前に、シェル変数 verbose を設定します。

−X

~/.tcshrc を実行する前に、シェル変数 echo を設定します。

−X

に対する -x の関係は、-V に対する -v の関係に相当します。

フラグ引数の処理のあと、もし引数が残っていて、かつ、 -c, -i, -s, -t の い ずれのフラグも指定されていなければ、残っている引数のうち最初のものは コマンドファイル、つまり「スクリプト」の名前とみなされます。シェルは こ のファイルをオープンし、‘$0’ による置換に備えてファイル名を保存します。 多くのシステムは、スクリプトが本シェルと互換性のない version 6 ま た は version 7 の標準のシェルを使っているため、スクリプトの先頭の文字が ‘#’ でない場合、つまりスクリプトがコメントから始まらない場合、本シェルは そ れらの「標準」のシェルを起動して実行します。

残りの引数はシェル変数 argv に設定されます。

スタートアップとシャットダウン

ロ グ イ ン シェ ル の 場 合 は、 実 行開始に際し、まずシステムファイル /etc/csh.cshrc/etc/csh.login を読み込んで実行します。そしてシェルを 起 動したユーザのホームディレクトリの中から、まずはじめに ~/.tcshrc (+) を読み込んで実行します。もし、~/.tcshrc が見つからない場合 は、~/.cshrc を読み込んで実行します。次に、~/.history (もしくは、シェル変数 histfile の値) を、その次に ~/.login を、最後に、~/.cshdirs (もしくは、シェル 変 数 dirsfile の値) (+) を読み込んで実行します。コンパイルの仕方によっ て、シェルは /etc/csh.cshrc の後ではなく前に /etc/csh.login を 読 み 込 み、 ~/.tcshrc ( ま た は ~/.cshrc) と ~/.history の後ではなく前に ~/.login を読み込む場合があります。シェル変数 version を参照してくだ さ い。(+)

ロ グ イ ン シェ ル でない場合は、/etc/csh.cshrc と、 ~/.tcshrc (または ~/.cshrc) のみを起動時に読み込みます。

スタートアップファイルの例は、 http://tcshrc.sourceforge.net を見てくだ さい。

stty(1) や tset(1) のようなコマンドは、ログインするごとに 1 度だけ実行 される必要がありますが、これらのコマンドは、普通は ~/.login ファイル に 入 れます。 csh(1) と tcsh の両方で同じファイルのセットを使う必要がある ユーザは、~/.cshrc だけを使い、その中でシェル変数 tcsh (値は任意) が あ るかどうかチェックしてから、tcsh 特有のコマンドを使うようにします。また は、 ~/.cshrc~/.tcshrc の両方を使うが、~/.tcshrc で、 source コマン ド ( 組 み込みコマンドの項を参照) を使い ~/.cshrc を読み込むようにしま す。以下、このマニュアルの残りの部分で ‘~/.tcshrc’ と表現したと き は、 「~/.tcshrc、または ~/.tcshrc が見つからない場合は ~/.cshrc」という意味 で使います。

通常、シェルはプロンプト ‘> ’ を表示し、端末からコマンドの読み込みを 開 始 し ま す (引数処理と、コマンドスクリプトを含むファイルの処理のための シェルの使用については、後で説明します)。シェルは、入力されたコマンド行 の 読み込み、読み込んだコマンド行を単語に分解、およびコマンド履歴への格 納、コマンド行の解析、コマンド行の中のコマンドそれぞれの実行を繰り返 し ます。

ロ グ ア ウ トするには、空の行で ‘^D’ とタイプするか、‘logout’ するか、 ‘login’ するか、シェルの自動ログアウト機構 (シェル変数 autologout を 参 照) を使います。ログインシェルが実行終了する際には、ログアウトの状況に 応じてシェル変数 logout を ‘normal’ か ‘automatic’ に 設 定 し、 /etc/csh.logout ファイルと ~/.logout ファイルにあるコマンドを実行しま す。コンパイルの仕方によっては、シェルは、ログアウト時に DTR を落とすこ とがあります。これについてはシェル変数 version を参照してください。

シ ステムのログインファイル名、ログアウトファイル名は、異なる csh(1) 間 での互換性を保つために、システムごとにファイルが違います。これについ て は、関連ファイルを参照してください。

編集

は じめに、コマンド行エディタについて説明します。補完と一覧と、スペル訂 正の 2 つの機能は、編集コマンドとして実装されていますが、特に分けて説明 す る必要があるため、項を改めて説明します。最後に、編集コマンドの項で、 シェルに特有の編集コマンドについて、一覧をあげ、デフォルトのバインド と ともに説明します。

コマンド行編集 (+)

コマンド行の入力データは、GNU Emacs や vi(1) で使われているものと、よく 似たキーシーケンスを使って編集できます。シェル変数 edit がセットされ て い るときのみ、編集できるようになっています。対話的なシェルでは、この値 はデフォルトで設定されています。組み込みコマンド bindkey で、キーバイン ド を変更したり、表示したりできます。デフォルトでは、Emacs 形式のキーバ インドが使われています (違う方法でコンパイルしなければそうな り ま す。 シェル変数 version を参照)。しかし、コマンド bindkey で、キーバインドを vi 形式に一括して変更できます。

シェルは、つねに矢印キー (環境変数 TERMCAP で定義されたものです) を、次 のように割り付けています。

下矢印

down-history

上矢印

up-history

左矢印

backward-char

右矢印

forward-char

他の 1 文字バインドによって、変わっていなければこのようになります。この ようなバインドにしたくない場合、settc を使って、矢印キーのエ ス ケー プ シー ケ ン スを空の文字列にセットすることができます。 ANSI/VT100 の矢印 キーシーケンスは、つねにバインドされています。

その他のキーバインドは、そのほとんどは、Emacs、vi(1) ユーザが予想できる ものです。また、簡単に bindkey コマンドで表示させることもできるので、こ こで、それらのバインドを並べあげる必要はないでしょう。同 じ く、bindkey コ マンドは、それぞれの編集コマンドを簡単な説明付きで、表示させることが できます。

注意: 「単語」という概念に関して、編集コマンドは、シェルと同じ概念を 持 たないことに注意してください。エディタは、シェル変数 wordchars の中には ない非英数文字 (英文字、数字のどちらでもない文字) によって単語の区切 り を 決めます。一方、シェルは、ホワイトスペース (空白、タブ、改行) と、字 句構造の項で列挙する特殊な意味を持つ文字のいくつかを識別します。

補完と一覧 (+)

シェルは、一意に決まる短縮形を与えられると、しばしば単語の補完を行う こ と が できます。単語の一部 (たとえば ‘ls /usr/lost’) をタイプして、タブ キーを押すと、編集コマンド complete-word が実行します。シェルは、ファイ ル名 ‘/usr/lost’ を補完して ‘/usr/lost+found/’ にします。このとき、入力 バッファの中で、不完全な単語を完全な単語で置き換えます。 (注意: 末端 の ‘/’ について: 補完では、ディレクトリ名を補完すると最後に ‘/’ を付け加え ます。そして、ディレクトリ名以外の単語を補完すると、末尾に空白文字を 付 け 加えます。こうすることで、タイプ入力が速くなり、また、補完が成功した ことが一目で分かります。シェル変数 addsuffix のセットをはずせば、これら を 付け加えなくすることもできます。) 合致するものが見当たらない場合 (お そらく ‘/usr/lost+found’ が存在しない場合でしょう)、端末のベルが鳴り ま す。単語がすでに補完されている場合 (システムに ‘/usr/lost’ が存在する場 合か、あるいは、ユーザがはるか先まで考えて、すべてを入力してしまって い た場合でしょう)、‘/’ または空白文字が末尾にまだなければ、付け加えられま す。

補完は、行の一番最後でなくても、途中どこででも機能します。そして、テ キ ス トの補完によって、その分、行の残りは右方向へ押されます。単語の中間で 補完された場合、しばしばカーソルの右側に文字が残り、それを消すはめに な ることもあります。

コ マ ンドと変数は、ほとんど同じ方法で補完できます。たとえば、‘em[tab]’ とタイプした時、使用しているシステムで ‘em’ から始まるコマンド が 唯 一 emacs だ けならば、 ‘em’ は ‘emacs’ と補完されます。補完は、path 中の ディレクトリにあるコマンドか、フルパスが与えられれば、そこにあるコマ ン ド を 見 つ け出すことができます。 ‘echo $ar[tab]’ とタイプした時、他に ‘ar’ から始まる変数がなければ、 ‘$ar’ は ‘$argv’ と補完されます。

シェルは、入力バッファを解析して、補完したい単語を、ファイル名 と し て か、 コマンドとしてか、変数としてか、どのように補完すべきかを決めます。 バッファの中の最初の単語と、‘;’, ‘|’, ‘|&’, ‘&&’, ‘||’ のすぐ次にくる単 語は、コマンドとみなします。 ‘$’ で始まる単語は、変数とみなします。その 他のものは、ファイル名とみなします。空の行は、ファイル名として ‘補完 さ れて’ います。

い つ で も、‘^D’ と タ イ プ す る こ と で、 編 集 コ マ ン ド delete-char-or-list-or-eof を実行させて、補完可能な単語の候補を並べ挙げ ることができます。シェルは、組み込みコマンド ls-F (q.v.) を使って、補完 可能な候補を並べ挙げます。そして、プロンプトと未完成のコマンドライン を 再表示します。次に例を示します。

> ls /usr/l[^D]

lbin/ lib/ local/ lost+found/
> ls /usr/l

シェ ル変数 autolist をセットしていれば、シェルは、補完に失敗したときは いつでも残りの選択肢を表示します。

> set autolist

> nm /usr/lib/libt[tab]
libtermcap.a@ libtermlib.a@
> nm /usr/lib/libterm

シェル変数 autolist を ‘ambiguous (あいまいな)’ にセットした場合は、 補 完 に失敗して補完される単語へ新しい文字をそれ以上追加できなくなったとき に限り、選択肢を表示します。

補完するファイル名には、変数、自分もしくは他人のホームディレクトリ (‘~’ で短縮したもの。ファイル名置換の項を参照)、ディレクトリスタックエントリ (‘=’ で短縮したもの。ディレクトリスタック置換の項を参照) を含めることが できます。たとえば、次のようになります。

> ls ~k[^D]

kahn kas kellogg
> ls ~ke[tab]
> ls ~kellogg/

あるいは、

> set local = /usr/local

> ls $lo[tab]
> ls $local/[^D]
bin/ etc/ lib/ man/ src/
> ls $local/

変 数については、編集コマンド expand-variables を指定して使っても展開で きることに注意してください。

コマンド delete-char-or-list-or-eof は、行の最後でのみリストを表示し ま す。 行の中間の場合、カーソル位置の文字を消去します。空行の場合、ログア ウトします。ただし、ignoreeof がセットされていれば、何 も し ま せ ん。 ‘M-^D’ は、編集コマンド list-choices にバインドされていますが、これは行 中のどこでも、補完の候補のリストを表示し ま す。 list-choices ( ま た は、delete-char-or-list-or-eof のところで列挙するコマンドで、消去するコ マンド、しないコマンド、リスト表示するコマンド、ログアウトするコマン ド のどれでも) は、そうしたい場合、組み込みコマンド bindkey で ‘^D’ にバイ ンドすることもできます。

編集コマンド complete-word-fwdcomplete-word-back (デフォルトで は、 ど のキーにも割り付けられていません) を使うことで、補完候補のリストを上 または下に順に巡り、リスト上の現在の単語を、次の単語または 1 つ前の単語 に置き換えることができます。

シェル変数 fignore に、補完の際に無視するファイルのサフィックスのリスト をセットできます。次の例を考えてみます。

> ls

Makefile condiments.h~ main.o side.c
README main.c meal side.o
condiments.h main.c~
> set fignore = (.o \~)
> emacs ma[^D]
main.c main.c~ main.o
> emacs ma[tab]
> emacs main.c

‘main.c~’ と ‘main.o’ は、fignore にサフィックスが登録されてい る た め に、補完では無視されます (しかしリスト上には表示されます)。ファイル名置 換の項で解説しているように、home に拡張されないようにするために、‘~’ の 前 に ‘\’ が必要なことに注意してください。補完の候補が1 つしかない場合 は、 fignore の設定は無視されます。

シェル変数 complete が ‘enhance(拡張)’ にセットされていた場合、補 完 は 1) 大 文 字小文字の区別を無視し、 2) ピリオド、ハイフン、アンダスコア (‘.’, ‘−’, ‘_’)を、単語を分ける記号であるとみなし、ハイフンとアンダスコ アは同等なものとみなします。次のようなファイルがある場合、

comp.lang.c comp.lang.perl comp.std.c++

comp.lang.c++ comp.std.c

‘mail −f c.l.c[tab]’ とタイプすれば、‘mail −f comp.lang.c’ のように補完 され、^D の場合には、‘comp.lang.c’ と ‘comp.lang.c++’ がリストとして 表 示 さ れます。 ‘mail −f c..c++[^D]’ とタイプした場合は、‘comp.lang.c++’ と ‘comp.std.c++’ が表示されます。次のファイルがあるディレクトリで、‘rm a−−file[^D]’ とタイプした場合、

A_silly_file a-hyphenated-file another_silly_file

の 3 つのファイルすべてが一覧表示されます。なぜならば、大文字小文字の区 別は無視されて、ハイフンとアンダスコアは同等と解釈されるからです。し か しながら、ピリオドは、ハイフンやアンダスコアと同等ではありません。

補 完 と 一 覧 は、他にもいくつかのシェル変数の影響を受けます。そのひと つ、recexact をセットすると、続けてタイプすればより長い単語に合致するよ う な場合でさえも、最短で一意に一致する単語に合致するようになります。た とえば、

> ls

fodder foo food foonly
> set recexact
> rm fo[tab]

この場合はベルが鳴るだけです。なぜなら、‘fo’ は、‘fod’ または ‘foo’ に 展開できるからです。しかし、さらに ‘o’ とタイプすると、

> rm foo[tab]

> rm foo

‘food’ や ‘foonly’ も合致するにもかかわらず、補完は ‘foo’ で完了しま す。 autoexpand をセットすると、補完を試みる前に、毎回、編集コ マ ン ド expand-history を実行するようになります。 autocorrect をセットすると、 補完を試みる前に、毎回、その単語のスペル訂正をするようになります (ス ペ ル訂正の項を参照)。 correct をセットすると、‘return (enter)’ キーを押し たあと、自動的にコマンドを補完するようになります。 matchbeep をセットす る と、補完に際して、状況の変化に応じて、ベルを鳴らしたり、鳴らないよう にできます。 nobeep をセットすると、まったくベルを鳴らさないようにで き ま す。 nostat には、ディレクトリのリストやディレクトリに合致するパター ンをセットでき、これらのディレクトリで補完機構が stat(2) を実行しないよ う にすることができます。 listmaxlistmaxrows にセットすることで、ま ず問い合わせずに一覧表示する項目の数や、列の数を、それぞれ制限するこ と が できます。 recognize_only_executables をセットすると、シェルがコマン ド一覧を表示する際に、実行可能ファイルだけを一覧表示するようにさせる こ とができます。ただし、動作はきわめて遅くなります。

最 後に、組み込みコマンド complete を使って、ファイル名、コマンド、変数 以外の単語を補完する方法をシェルに教えることができます。補完と一覧 は、 グ ロブパターン (ファイル名置換の項を参照) 上では機能しませんが、編集コ マンド list-globexpand-glob はグロブパターンに対し同等の機能とし て 実行されます。

スペル訂正 (+)

シェ ルは、補完したり一覧表示するのと同様に、ファイル名、コマンド、変数 名のスペルを訂正することができることがあります。

個々の単語は、編集コマンド spell-word (普通は M-s と M-S にバインドされ て います) でスペル訂正できます。入力バッファ全体は spell-line (普通は M-$ に割り付けられています) でスペル訂正できます。シェル変数 correct に ‘cmd’ を設定されておけば、コマンド名がスペル訂正されます。‘all’ を設定 しておけば、リターンがタイプされるたびに行全体がスペル訂正さ れ ま す。 autocorrect がセットされていれば、単語に補完を試みる前にその単語をスペ ル訂正します。

スペル訂正が、ここで説明した方法のいずれかにより呼び出され、コマンド 行 の どこかにスペル誤りがあると判断すると、シェルは、次のように訂正済みの コマンド行を表示し入力を待ちます。

> set correct = cmd

> lz /usr/bin
CORRECT>ls /usr/bin (y|n|e|a)?

これに対し、‘y’ または空白文字で答えると、訂正済み行を実行し、 ‘e’ で答 え ると、入力バッファに訂正前のコマンドを残し、 ‘a’ で答えると、‘^C’ が 押された場合と同様にコマンドを中止し、それ以外の場合は、元のままの行 を 変えないで実行します。

ス ペ ル訂正は、ユーザ定義の補完を識別します (組み込みコマンド complete を参照)。もし、補完が実行される位置で、入力された単語が補完リストの中の 単 語に似ていたとき、スペル訂正は、ミススペル記録して、見つかった単語を 訂正候補として提案します。しかし、入力された単語がその位置で、どの補 完 候補にも合致しなかった時、スペル訂正は、ミススペルを示しません。

補 完と同様、スペル訂正は行のどこでも機能します。行の残りを右に押し出し たり、残りの余分な文字をカーソルの右に残したりします。

注意: スペル訂正は、意図どおりに動作する保証はありません。そして、ほ と ん ど実験的な機能として提供されています。提案、改善する点があれば歓迎し ます。

編集コマンド (+)

‘bindkey’ はキーバインド一覧を表示し、 ‘bindkey −l’ は編集コマンドの 一 覧 と短い解説を表示します。ここでは、新しい編集コマンド、または、特に興 味深い編集コマンドについてのみ解説します。エディタのキーバインド割り 付 けの記述については、 emacs(1) と vi(1) を参照してください。

デ フォ ルトでそれぞれのコマンドにバインドられた文字 (あるいは複数文字) は、括弧の中に示しました。 ‘^character’ は制御文 字 を 意 味 し ま す。 ‘M-character’ は メ タ 文 字 で す。 メ タ キー が な い 端 末 の 場 合 は、escape-character とタイプします。大文字小文字の区別はありますが、デ フォ ルトで英文字に割り付けられるコマンドは、便宜上、大文字、小文字の両 方にキーバインドされています。

complete-word (tab)

補完と一覧の項で解説しているとおり、単語を補完します。

complete-word-back (not bound)

complete-word-fwd と同様ですが、単語リストの終わりから、上へあ がって行きます。

complete-word-fwd (not bound)

現在の単語を、補完可能単語リスト上の始めの単語で置き換えます。 本コマンドを繰り返すことで、単語リスト上を下へ降りていくことが できます。単語リストの最後までいくと、ベルが鳴り、未補完の単語 へ戻ります。

complete-word-raw (^X-tab)

complete-word と同様ですが、ユーザ定義した補完は無視されます。

copy-prev-word (M-^_)

現 在 の 行 で、1 つ 前 の単語を入力バッファへコピーします。 insert-last-word も参照してください。

dabbrev-expand (M-/)

以前入力した単語の中で、現在の単語が先頭部分文字列であり、しか も最近のものを見つけて、それで展開します。必要ならば、ヒストリ リストを一周回って元に戻って探します。 dabbrev-expand を中断せ ず 繰 り 返 す こ と で、 そ の 次 の 単 語 に 変 わ り ます。 history-search-backward と同様に、同一のマッチングはスキップし ます。

delete-char (割り付けなし)

カーソル下の文字を削除します。 delete-char-or-list-or-eof も参 照してください。

delete-char-or-eof (割り付けなし)

カーソル下に文字があれば delete-char を 実 行 し、 空 行 で は end-of-file を実行します。 delete-char-or-list-or-eof も参照し てください。

delete-char-or-list (割り付けなし)

カーソル下に文字があれば delete-char を実行し、行の末 尾 で は list-choices を実行します。 delete-char-or-list-or-eof も参照 してください。

delete-char-or-list-or-eof (^D)

カーソル下に文字があれば delete-char を実行し、行の末 尾 で は list-choices を実行し、空行では end-of-file を実行します。これ らの 3 つのコマンドも参照してください。これらのコマンドは、 そ れ ぞ れ 1 つの動作を実行するだけです。 delete-char-or-eof, delete-char-or-list, list-or-eof は、それぞれ 3 つのうちの異な る 2 つを実行します。

down-history (下矢印, ^N)

up-history と同様ですが、1 つずつ下に移動し、もとの入力行で止 まります。

end-of-file (割り付けなし)

ファイルの終端であることをシェルに通知し ま す。 シェ ル 変 数 ignoreeof (そちらも参照) がセットされていない場合、その結果と して、シェルは実行を終了します。 delete-char-or-list-or-eof も 参照してください。

expand-history (M-space)

現在の単語のヒストリ置換を展開します。ヒストリ置換を参照してく ださい。 magic-space, toggle-literal-history と、シェ ル 変 数 autoexpand も参照してください。

expand-glob (^X-*)

カーソルの左にグロブパターンを展開します。ファイル名置換を参照 してください。

expand-line (割り付けなし)

expand-history と同様ですが、入力バッファのそれぞれの単語の ヒ ストリ置換を展開します。

expand-variables (^X-$)

カーソルの左に変数を展開します。変数置換を参照してください。

history-search-backward (M-p, M-P)

ヒストリリストを後方へ向かって、入力バッファの現在の中身 (カー ソル位置まで) で始まるコマンドを検索し、それを入力バッファへコ ピー します。検索文字列は、‘*’, ‘?’, ‘[]’, ‘{}’ を含んだグロブ パターン (ファイル名置換を参照) であっても か ま い ま せ ん。 up-historydown-history は、ヒストリリストの該当する地点か ら 始 め る 事 が で き ま す。 Emacs モー ド の み で す。 history-search-forwardi-search-back も参照してください。

history-search-forward (M-n, M-N)

history-search-backward と同様ですが、前方へ検索します。

i-search-back (割り付けなし)

後方へ、history-search-backward のように検索して、最初に合致し たものを入力バッファへコピーし、カーソルをパターンの最後に位置 さ せます。そして、‘bck: ’プロンプトと最初に合致したものを表示 します。追加の文字をタイプして、その検索を延長することができま す。 i-search-back をタイプして、同じパターンで検索を延長する こともできます。必要があれば、ヒストリリストを一周回って 元 に 戻っ て 検 索 を 続けます。 (これを行うためには、i-search-back は、1 文字にバインドされていなければなりません。) あるいは、以 下の特殊文字をタイプすることもできます。

^W

カーソル下の単語の残りを検索パターンに加えま す。

delete ( あるいは backward-delete-char にバインドされた文 字)

最後にタイプされた文字の効果をとりけし、適当なら検 索パターンから文字を削除します。

^G

前の検索が成功していたなら、検索全体を中止しま す。そうでないなら、一番最後に成功した検索まで戻り ます。

escape

検索を終え、入力バッファの現在の行をそのま ま残します。

この他の文字で、self-insert-command にバインドされている以外 の も のをタイプすると、検索が終了します。入力バッファの現在の行は そのままになり、タイプした文字は通常の入力として解釈されま す。 特 に、 キャ リッジリターンの場合は、現在の行を実行に移します。 Emacs モードのみです。 i-search-fwdhistory-search-backward も参照してください。

i-search-fwd (割り付けなし)

i-search-back と同様ですが、前方へ検索します。

insert-last-word (M-_)

1 つ前の入力行 (‘!$’) の最後の単語を入力バッファに挿入します。 copy-prev-word も参照してください。

list-choices (M-^D)

補完と一覧で解説しているように、補完の可能性を一覧表示します。 delete-char-or-list-or-eoflist-choices-raw も参照してくだ さい。

list-choices-raw (^X-^D)

list-choices と同様ですが、ユーザ定義された補完を無視します。

list-glob (^X-g, ^X-G)

カーソルの左側のグロブパターン (ファイル名置換を参照) に合致し たものを (組み込みコマンド ls−F を用いて) 一覧表示します。

list-or-eof (割り付けなし)

list-choices を実行するか、または、空行の場合 end-of-file を実 行します。delete-char-or-list-or-eof も参照してください。

magic-space (割り付けなし)

まず expand-history と同様に、現在の行のヒストリ置換を展 開 し て、その後で空白を 1 つ挿入します。 magic-space はスペースキー にバインドするように設計されていますが、デフォルトではバインド されていません。

normalize-command (^X-?)

パスの中の現在の単語を検索します。そして、見つかった場合、実行 可能ファイルを指すフルパスで置き換えます。特殊文字はクォートさ れます。エイリアスは展開されて、クォートされますが、エイリアス 中のコマンドは展開 / クォートされません。このコマンドは、た と え ば、‘dbx’ や ‘sh −x’ などのように、コマンドが引数を取得する 場合に役立ちます。

normalize-path (^X-n, ^X-N)

シェル変数 symlinks の設定 ‘expand’ の項で説明されている よ う に、現在の単語を展開します。

overwrite-mode (割り付けられていません)

入力モードと上書きモードの間で切り替えます。

run-fg-editor (M-^Z)

現 在 の 入 力 行 を保存します。そして、環境変数 EDITOR または VISUAL のファイル名部分の最後の構成要素 (または、どちらも セッ トされていなければ、‘ed’ か ‘vi’) と等しい名前を持ち、ストップ しているジョブを探します。そのようなジョブが見つ か れ ば、‘fg %job’ とタイプしたのと同じように、実行再開されます。これは、エ ディタとシェルの間を抜けて交互に切り替えるのを容易にするために 使われます。このコマンドを ‘^Z’ にバインドし、もっと簡単に交互 の切り替えができるようにする人もいます。

run-help (M-h, M-H)

補完ルーチンの ‘現在のコマンド’ と同じ概念による現在のコマンド のドキュメントを検索し、表示します。ページャを使う方法はありま せん。run-help は短いヘルプファイルとのために設計されている た め です。特別なエイリアス helpcommand が定義されていた場合、コ マンド名を唯一の引数としてその値が実行されます。ほかに、ドキュ メ ントのファイル名は、コマンド名.help, コマンド名.1, コマンド 名.6, コマンド名.8, コマンド名のいずれかでなければなりません。 ま た、そのファイルは、環境変数 HPATH の中で、一覧にあがってい るディレクトリのうちの 1 つに入っていなければなりま せ ん。 も し、1 つ以上のヘルプファイルがある場合は、最初の 1 つのみがプ リントされます。

self-insert-command (テキスト文字)

挿入モード (デフォルト) では、タイプした文字を、カーソル下の文 字の後に挿入します。上書きモードでは、タイプした文字で、カーソ ル下の文字を置き換えます。入力モードは、通常、各行の間で維持さ れ て い ますが、シェル変数 inputmode を ‘insert(挿入)’ あるい は、 ‘overwrite(上書き)’ にセットしておくと、エディタを、各 行 の始まりで、そのモードにすることができます。 overwrite-mode も 参照してください。

sequence-lead-in (矢印接頭辞、メタ接頭辞、^X)

次に続く文字がマルチキーシーケンス (複数文字の連続) であること を表します。マルチキーシーケンスをコマンドにバインドする場合、 実際には、次の 2 つのバインドを作ります。まず、最初の 文 字 を sequence-lead-in とします。そして、シーケンス全体をそのコマン ドにバインドします。 sequence-lead-in にバインドされた文字で始 まるすべてのシーケンスは、他のコマンドにバインドされていなけれ ば、実質的には undefined-key にバインドされたのと同じことに な ります。

spell-line (M-$)

spell-word と同様に、入力バッファ中の各単語のスペル訂正を試み ます。しかし、単語の最初の文字が、 ‘−’, ‘!’, ‘^’, ‘%’ のうちの ど れかの場合と、単語中に ‘\’, ‘*’, ‘?’ のいずれかを含んでいる 場合は、スイッチや、置換などの問題を避けるために、これらの単語 を無視します。スペル訂正を参照してください。

spell-word (M-s, M-S)

スペル訂正の項で説明されているのと同じやり方で、現在の単語のス ペルの訂正を試みます。パス名として現れる単語の部分をそれぞれに チェックします。

toggle-literal-history (M-r, M-R)

入 力 バッ ファのヒストリ置換を展開したり、‘しなかったり’ しま す。 expand-history と、シェル変数 autoexpand も参照してくださ い。

undefined-key (割り付けのコマンドが無いキー)

ベルを鳴らします。

up-history (上矢印, ^P)

ヒ ストリリストの中から 1 つ前のエントリを入力バッファにコピー します。 histlit がセットされている場合、その記入された文字 ど お りの形式を使います。ヒストリリストを上の方へ 1 つずつ移動を 繰り返した場合、一番上で止まります。

vi-search-back (?)

検索文字列 (history-search-backward と同様、グロブパターンでも 構 いません) の入力のために ‘?’ をプロンプト表示します。その文 字列を検索して、同じ文字列を入力バッファへコピーします。合致す る ものが見つからなければ、ベルが鳴ります。リターンキー (enter キー) を押すと、検索を終了して、入力バッファ中に最後に合致した 単語を残します。 escape キーを押すと、検索を終了して、合致した ものを実行します。 vi モードのみです。

vi-search-fwd (/)

vi-search-back と同様ですが、前方へ検索します。

which-command (M-?)

入力バッファの最初の単語に対して、which (組み込みコマンドの 解 説を参照) を実行します。

yank-pop (M-y)

yank や他の yank-pop の直後に実行されると、ヤンクされた文字列 をキルリング中の 1 つ前の文字列に置き換えます。これはキルリ ン グを回転させる効果も持っており、この文字列は、以降の yank コマ ンドによって、最も最近キルされた文字列とし て 扱 わ れ ま す。 yank-pop を連続すると、キルリングを何度でも回転させます。

字句構造

シェ ルは入力された行をタブや空白で単語に分割します。特殊文字 ‘&’, ‘|’, ‘;’, ‘<’, ‘>’, ‘(’, ‘)’, 2 文字繰り返しの ‘&&’, ‘||’, ‘<<’ , ‘>>’ は、 空白で囲まれているかどうかにかかわらず、常に単語の区切りになります。

シェルの入力が端末からではないとき、文字 ‘#’ は、コメントの始まりとして 扱われます。‘#’ とその後ろの入力行の残りはコメントと解釈され、文法解 析 されずに捨てられます。

特殊文字 (空白、タブ含む) は、その文字の直前にバックスラッシュ ‘\’ を置 くことで、または、単一引用符 ‘’’、二重引用符 ‘"’、逆引用符 ‘‘’ で囲むこ と で、特殊な意味合いを持たないようにしたり、場合によっては、他の単語の 一部分にすることもできます。他に引用がなされない限り、‘\’ の直後に改 行 文 字を置くと、改行文字は空白扱いになります。しかし、引用中では、この文 字の並びは改行文字になります。

さらに、ヒストリ置換を除く、すべての置換 (次項を参照) は、置換を含む 文 字 列 ( あるいは文字列の一部) を単一引用符で囲むことで防ぐことができま す。あるいは、重大な文字 (たとえば、変数置換ならば ‘$’ や、コマンド置換 な らば ‘‘’) を ‘\’ でクォートすることで防ぐことができます。(エイリアス 置換も例外ではありません。一度定義された alias に対して、何らかの方法で そ の単語のどれかの文字をクォートすることで、そのエイリアスの置換を防ぐ ことができます。エイリアスをクォートする普通の方法は、そのエイリアス の 前 にバックスラッシュを置くことです。) ヒストリ置換は、バックスラッシュ を用いることで防ぐことができますが、単一引用符では防ぐことがで き ま せ ん。 二重引用符、逆引用符でクォートされた文字列は、変数置換コマンド置 換は受けますが、その他の置換は受けません。

単一引用符、二重引用符で囲まれたテキストは 1 つの単語 (またはその一 部) と なります。それらの文字列中のメタ文字 (空白、タブを含む) は、単語を分 割しません。ひとつだけ特殊な場合 (次のコマンド置換を参照) として、二 重 引用符で囲まれた文字列を 1 つ以上の単語に分けることができます。これは、 単一引用符で囲まれた文字列では決してできません。逆引用符は特殊で、コ マ ンド置換 (そちらも参照) に、影響を与え、その結果が 1 つ以上の単語になる こともあります。

複雑な文字列をクォートする場合、特に、文字列自身にクォート文字が含ま れ て いる場合は、わかりにくいかもしれません。人間が書いたものの中では、引 用符を引用のために使う必要はないことを忘れないように! 文字 列 全 体 を クォー ト す る の ではなく、もし適当ならば異なるタイプの引用符を用い、 クォートする必要のある文字列の一部分のみをクォートすることの方が、簡 単 かもしれません。

シェ ル変数 backslash_quote (そちらも参照) をセットすると、バックスラッ シュが常に ‘\’, ‘’’, ‘"’ をクォートするようにできます。(+) これ に よっ て、 複雑な引用をする仕事が簡単になるかもしれません。しかし csh(1) のス クリプトでは、構文エラーの原因になります。

置換

ここで、シェルが入力に対して行うさまざまな変換を、処理が行われる順に 記 述 します。同時に、処理に関わるデータ構造と、データ構造に影響を与えるコ マンドと変数とにも触れておきます。字句構造のところで説明する引 用 に よ り、置換を抑制できることを覚えておいてください。

ヒストリ置換

端 末から入力したコマンドひとつひとつ (イベント) は、ヒストリリストに保 存されます。直前のコマンドは常に保存されます。さらに、保存するコマン ド 数を、シェル変数 history に設定することができます。重複するイベントを保 存するかどうか、同じイベントの連続をそのまま保存するかどうかを、シェ ル 変数 histdup に設定することができます。

保 存されたコマンドには、1 から始まる連続した番号が振られ、タイムスタン プが打たれます。普通イベント番号を用いる必要はありませんが、シェル変 数 prompt の中に ‘!’ を置くことで、現在のイベント番号をプロンプトの一部に することができます。

実際のところ、シェルは、ヒストリを展開形式と文字どおり (未展開) の形 式 とで保存しています。シェル変数 histlit を設定しておくと、ヒストリを表示 する / ヒストリに保存するコマンドで文字どおりの形式を用いるようになりま す。

組み込みコマンド history により、ヒストリリストの表示、ファイルに保存、 ファイルからの読み込み、クリアをいつでも行えます。シェル変 数 savehisthistfile により、ヒストリリストのログアウト時の自動保存と、ログイン 時の自動読み込みを設定することができます。

ヒストリ置換により、ヒストリリストから単語の列を入力ストリームに持ち 込 み ます。これにより、前のコマンドの繰り返し、前のコマンドで使った引数の 繰り返し、前のコマンドで間違えたスペルの修正をわずかなキー入力で、か な り確実に容易に行うことができるようになります。

ヒストリ置換は、文字 ‘!’ で始まります。ヒストリ置換は、入力ストリームの どこから開始してもかまいませんが、入れ子にはできません。文字 ‘!’ の前に ‘\’ を 置くことで、‘!’ の特殊な意味を打ち消すことができます。文字 ‘!’ が、空白文字、タブ文字、改行文字、‘=’、‘(’ の前にある場合は、そうした方 が便利なので、無変更のまま渡されます。入力行が ‘^’ で始まる場合にも、ヒ ストリ置換が生じます。この省略表現については後で説明します。ヒストリ 置 換を示すための文字 (‘!’ と ‘^’) は、シェル変数 histchars を設定すること により変更することができます。入力行がヒストリ置換を含む場合、実行前 に 置換結果が常に表示されます。

ヒ ス ト リ置換には「イベント指定」、「単語指定子 (word designator)」、 「修飾子 (modifier)」を含めることができます。イベント指定は、どのイベン ト から単語の列を取り出すかを指定します。単語指定子は、選択したイベント からどの単語を選ぶかを指定します。修飾子は、選択した単語をどう操作す る かを指定します。

イベント指定には、次のものがあります。

n

番号: これはある特定のイベントを指定します。

n

オフセット: これは現在のイベントの前 n 個目のイベント を指定します。

#

現在のイベントを指定します。これは csh(1) の中では注 意 し て扱わねばなりません。csh(1) では、再帰呼び出しのチェッ クをしていないからです。tcsh では、再帰呼び出しは 10 レ ベ ルまで許されています。(+)

!

1 つ前のイベントを指定します (‘−1’ と等価)。

s

先頭の単語が s で始まるイベントのうち、最も新しいものを 指定します。

?s?

文字列 s を含むイベントのうち、最も新しいものを指定し ま す。 直 後が改行文字の場合は、2 番目の ‘?’ は省略可能で す。

たとえば、次のようなヒストリリストがあるとします。

9 8:30 nroff −man wumpus.man

10 8:31 cp wumpus.man wumpus.man.old
11 8:36 vi wumpus.man
12 8:37 diff wumpus.man.old wumpus.man

コマンドが、イベント番号とタイムスタンプ付きで表示されています。現在 の イ ベ ントは、まだ入力していませんが、イベント 13 です。 ‘!11’ と ‘!-2’ は、イベント 11 を指します。‘!!’ は、直前のイベントであるイベント 12 を 指 します。‘!!’ は、後ろに ‘:’ が付いている場合、‘!’ と省略することがで きます (‘:’ は後で説明します)。‘!n’ は、‘n’ から始まっている、イベン ト 9 を指します。‘!?old?’ は、‘old’ を含んでいるイベント 12 を指します。単 語指示子も単語修飾子もどちらも含まない場合、ヒストリ参照はそのイベン ト 全 体 を 展開するだけです。ですから、コピーコマンドを再実行したいときは ‘!cp’ と入力しますし、‘diff’ の出力が画面上端からスクロールして消えてし まう場合、‘!!|more’ と入力します。

必 要に応じ、中括弧で囲むことで、ヒストリ置換を前後のテキストから分離す ることができます。たとえば、‘!vdoc’ とすると、‘vdoc’ で始まるコマンドを 探 しますが、この例で見つからないにしても、‘!{v}doc’ では、あいまいさも なく ‘vi wumpus.mandoc’ に展開されます。中括弧の中でも、ヒストリ置換 は 入れ子になりません。

(+) csh(1) では、たとえば ‘!3d’ は、イベント 3 の後ろに英文字 ‘d’ を付 加して展開しますが、tcsh では、これを ‘3d’ で始まるイベントのうち最新の も の に 展開します。つまり、完全な数値引数だけをイベント番号と見なしま す。これにより、数字から始まるイベントを呼び出すことが可 能 と な り ま す。‘!3d’ を csh(1) のように展開させるには、‘!\3d’ と指定してください。

イベントから単語を選択する場合、‘:’ と選択する単語を表す指示子を使 い、 イ ベント指定を行うことができます。入力行の単語には、0 から始まる番号が 振られています。最初の単語 (普通、コマンドです) は 0 で、 2 番目の単 語 (第 1 引数) は 1 といった具合です。基本的な単語指示子は次のようになりま す。

0

最初の単語 (コマンド)

n

n 番目の引数

^

最初の引数、‘1’ と等価

$

最後の引数

%

?s? 検索で一致した単語

x−y

ある範囲の単語

−y

‘0−y’ と等価

*

‘^−$’ と等価。但し、イベントが 1 単語しか含まない場合は 何も返さない。

x*

‘x−$’ と等価

x−

‘x*’ と等価。但し、最後の単語 (‘$’) は除く。

選択した単語は、空白文字 1 つで区切られてコマンド行に挿入されます。たと えば、‘diff !!:1.old !!:1’ と打ち込むことで、先の例の ‘diff’ コマンドを 入力することもできます (‘:1’ で、直前のイベントから最初の引数を選択して います)。また、‘diff !−2:2 !−2:1’ と打ち込むことで ‘cp’ コマンドの引 数 を 選択し、入れ換えることができます。 ‘diff’ コマンドの引数の順番を気に しなければ、‘diff !−2:1−2’ と打ち込んでも構いま せ ん し、 単 に ‘diff !−2:*’ でも構いません。 ‘cp’ コマンドは、現在のイベントを指す ‘#’ を使 い、 ‘cp wumpus.man !#:1.old’ と書くことができま す。‘!n:− hurkle.man’ は、 ‘nroff’ コ マ ン ド か ら 最初の 2 単語を再利用し、 ‘nroff −man hurkle.man’ とすることになります。

文字 ‘:’ は単語指定からイベント指定を分離しますが、引数選択 子 が ‘^’, ‘$’, ‘*’, ‘%’, ‘−’ で始まるとき、この文字 ‘:’ は省略可能です。たとえ ば、先ほどの ‘diff’ コマンドは ‘diff !!^.old !!^’ も し く は ‘diff !!$.old !!$’ でも構わなかったのです。しかし、‘!!’ が ‘!’ に省略可能であ る場合、‘−’ で始まる引数選択子はイベント指定として解釈されます。

ヒストリ参照に、イベント指定のない単語指示子があっても構いません。そ の 場 合、 直 前 の コマンドを参照します。 ‘diff’ の例を続けるなら、単純に ‘diff !^.old !^’ と入力することができます。もしくは、逆順の引数を得るだ けならば、単に ‘diff !*’ でいいです。

ヒストリ参照の中の単語は編集可能です。つまり、単語の後ろに 1 つまたは複 数の修飾子 (修飾子それぞれは ‘:’ で始まります) を付けることで「修飾」可 能です。

h

先頭のもの 1 つを残し、パス名の構成要素の後ろの部分を削 除します。

t

末尾のもの 1 つを残し、パス名の構成要素の先頭の部分を削 除します。

r

ファイル名拡張子 ‘.xxx’ を削除し、名前の基本部分だけを 残します。

e

拡張子だけを残し、他をすべて削除します。

u

最初の英小文字を大文字に変換します。

l

最初の英大文字を小文字に変換します。

s/l/r/

lr で置換します。 lr と同様に、単なる文 字 列 です。名付け親である ed(1) コマンドのような正規表現では ありません。 ‘/’ の代わりに任意の文字を区切り文字として 使 う こ とができます。 ‘\’ を使い、lr の中で区切り文字を クォートすることができます。 r 中の文字 ‘&’ は、l で置き換 え ら れます。‘\’ で ‘&’ もクォートできます。l が空 (‘‘’’) の場合、以前の置換の l、または以前のイベント指定 ‘?s?’ の s を使用します。最後の区切り文字の直後が改行文字の場合、そ の区切り文字を省略できます。

&

以前の置換を繰り返します。

g

後ろの修飾子を単語それぞれに適用します。

a (+)

後ろの修飾子を、ある単語だけにできるだけ多 く の 回 数、適用します。 ‘a’ と ‘g’ をいっしょに用いて、修飾子をグ ローバルに適用することができます。現在の実装では、修 飾 子 ‘a’ と修飾子 ‘s’ を同時に使用すると、無限ループに陥る可能 性があります。たとえば、‘:as/f/ff/’ は決して終わりません。 この動作は今後変更されるかもしれません。

p

新しいコマンド行を表示しますが、実行はしません。

q

置換された単語をクォートし、それ以上の置換が起きないよ うにします。

x

q と同じです。ただし、単語を空白 / タブ / 改行文字の と ころで分割します。

修 飾子は最初に見つかった修飾可能な単語だけに適用されます (‘g’ を使用し ない限り)。修飾可能な単語がない場合はエラーになります。

たとえば、先の例の ‘diff’ コマンドは、‘diff wumpus.man.old !#^:r’ と も 書くことができます。これは、‘r’ を用いて、同じ行 (‘!#^’) の最初の引数か ら ‘.old’ を削除しています。‘echo hello out there’ と言って お い て か ら、‘echo !*:u’ を使い ‘hello’ を大文字にできます。 ‘echo !*:au’ を使い 大声で言うようにできます。‘echo !*:agu’ を使い絶叫させることも で き ま す。‘mail −s "I forgot my password" rot’ の後で ‘!:s/rot/root’ を続ける ことで、‘root’ のスペル間違いを直すことができます (スペル間違いの訂正に ついては、スペル訂正の項に別のやり方があります)。

置換には特別な省略記法があります。‘^’ が入力行の先頭にある場合、 ‘!:s^’ と等価です。よって、先の例でスペルを訂正するには、 ^rot^root と言うこと もできたわけです。これは明示的に ‘!’ で始まらないヒストリ置換としては唯 一のものです。

(+) csh では、ヒストリ展開または変数展開に適用される修飾子は 1 つだけで す。tcsh では、1 つ以上の修飾子が使用される可能性があります。たとえば、 次のような場合を考えます。

% mv wumpus.man /usr/man/man1/wumpus.1

% man !$:t:r
man wumpus

csh では、この結果は ‘wumpus.1:r’ となります。コロンが後ろに続 く 置 換 は、中括弧を用いてコロンと区切る必要があります。

> mv a.out /usr/games/wumpus

> setenv PATH !$:h:$PATH
Bad ! modifier: $.
> setenv PATH !{−2$:h}:$PATH
setenv PATH /usr/games:/bin:/usr/bin:.

最 初 の 試 み は csh では成功しますが、tcsh では失敗します。この理由 は、tcsh は 2 番目のコロンの後ろに、‘$’ ではなく修飾子があると思って い るからです。

最 後に、ヒストリはここで説明してきた置換だけでなく、エディタでも利用す る こ と が で き ま す。 編 集 コ マ ン ド up-history, down-history, history-search-backward, history-search-forward, i-search-back, i-search-fwd, vi-search-back, vi-search-fwd, copy-prev-word, insert-last-word はヒストリリスト中のイベントを検索し、入力バッファにイ ベントをコピーします。編集コマンド toggle-literal-history は、入力 バッ ファ で ヒ ス ト リ 行 を 展 開するか文字どおりに扱うかを切り替えます。 expand-history, expand-line はそれぞれ、現在の単語、または、 入 力 バッ ファ全体でヒストリ置換を展開します。

エイリアス置換

シェ ル は、 エ イリアスのリストを保持しています。このリストは、 alias, unalias コマンドを使って設定、削除、表示することができます。コマンド 行 を 解釈し単純コマンド (コマンドを参照) に分割したあと、複数のコマンドを 左から右へ、それぞれの最初の単語がエイリアスを持っているかをチェック し ま す。 エ イリアスを持っている場合、最初の単語をエイリアスで置き換えま す。置き換えたエイリアスがヒストリ参照を含む場合、元のコマンドを直前 の 入 力行とみなして、ヒストリ置換 (そちらも参照) が適用されます。エイリア スがヒストリ置換を含まない場合、引数リストは変更されずそのままです。

そのため、たとえば ‘ls’ のエイリアスが ‘ls −l’ だった場合、コマンド ‘ls /usr’ は ‘ls −l /usr’ になります。ここで、引数リストは影響を受けませ ん。‘lookup’ のエイリアスが ‘grep !^ /etc/passwd’ だとすると、コマン ド ‘lookup bill’ は ‘grep bill /etc/passwd’ になります。エイリアスを使い、 パーザのメタ記法を利用できます。たとえば、‘alias print ’pr \!* | lpr’’ は、 引数をラインプリンタに pr(1) する ‘‘コマンド’’(‘print’) を定義しま す。

コマンドの最初の単語がエイリアスを持たなくなるまで、エイリアス置換は 繰 り返されます。(先の例のように) エイリアス置換が最初の単語を変更しない場 合、そのエイリアスに印を付けてループが生じないようにします。それ以外 の ループは検出され、エラー扱いになります。

シェ ルが参照するエイリアスがいくつかあります。特殊エイリアスを参照して ください。

変数置換

シェルは変数のリストを管理しており、それらは 0 個またはそれ以上の個数の 単 語 のリストを値として持ちます。シェル変数の値は、コマンド set, unset により表示、変更することができます。システムは、自分自身の ‘‘環境’’ 変 数 の リ ス ト を 保 持しています。環境変数はコマンド printenv, setenv, unsetenv により表示、変更することができます。

(+) ‘set −r’ (参照) により変数を読み出し専用にすることができます。読 み 出し専用変数は、変更や unset ができません。これを試みるとエラーになりま す。一度読み出し専用にした変数は、書き込み可能に戻すことはできませ ん。 ですから、‘set −r’ は注意して使用する必要があります。環境変数は読み出し 専用にすることはできません。

シェルが設定、参照する変数がいくつかあります。たとえば、変数 argv は、 シェ ルの引数リストの複製で、この変数の値である単語は特別な方法で参照さ れます。シェルが参照する変数の中には、トグルスイッチがあります。シェ ル は、 これらの変数が何の値を持っているかではなく、値が設定されているかど うかにだけ影響を受けます。たとえば、変数 verbose は、コマンド入力 を エ コー す るかどうかを制御するトグルスイッチです。コマンド行オプション −v がこの変数に値を設定します。シェルが参照する変数すべてのリストは、特 別 なシェル変数にあります。

変数を数値として扱う操作もあります。コマンド ‘@’ により、数値計算を実行 し、結果を変数に代入することが可能となります。しかしながら、変数の値 は 常 に (0 個以上の) 文字列として表現されています。数値として扱うために、 空文字列は 0 と見なされます。複数の単語からなる値の、2 番目以後の単語は 無視されます。

入 力行のエイリアス処理を終え、字句解析を終えた後で、そして、各コマンド を実行する前に、‘$’ 文字をキーとして変数置換が行われます。この 展 開 は ‘$’ の前に ‘\’ を置くことで抑止できます。ただし、‘"’ の中は別で、ここで は常に変数置換が行われます。また、‘’’ の中も別で、ここでは決して変数 置 換 が行われません。‘‘’ でクォートした文字列は後で解釈されますから、 (後 のコマンド置換を参照) そこでの ‘$’ 置換は後になるまで行われませ ん。‘$’ の後ろが空白、タブ、改行文字の場合は、‘$’ 置換は発生しません。

入 出力リダイレクトは、変数展開の前に識別され、別々に変数展開されます。 それ以外では、コマンド名と引数リスト全体が一緒に展開されます。 で す か ら、 (この時点での) 最初の単語 (コマンド) から 2 つ以上の単語が生成され る可能性があります。展開後の複数の単語のうち最初のものがコマンド名と な り、残りの単語は引数になります。

‘"’ で囲まれているか、修飾子 ‘:q’ が指定されている場合を除き、最終的に は、変数置換の結果に対し、コマンド置換とファイル名置換が 適 用 さ れ ま す。‘"’ で囲まれている場合、値が複数の単語で構成される変数は、 1 つの単 語 (の一部) に展開されます。この単語には、その変数の値である単語が空 白 で 区切られたものを含みます。置換の際に修飾子 ‘:q’ が適用される場合、変 数は複数の単語に展開されます。それぞれの単語は空白で区切られ、以後、 コ マンド置換とファイル名置換が適用されないようにクォートされます。

シェ ルへの入力に変数の値を持ち込むための方法として、以下の構文がありま す。特に注がない限り、設定されていない値の参照はエラーになります。

$name

${name}

変数 name の値である単語に置換します。この単語は、 そ れぞれが空白で区切られたものです。中括弧は name とそれ以後の文 字列とを分離し、以後の文字列も含めて 1 つの変数名として解釈 さ れないようにします。シェル変数の名前は上限が 20 文字であり、先 頭は英文字で、2 文字目以後は英文字か数字で構成されます。アンダ ス コアは英文字と見なします。name がシェル変数ではないが、環境 に設定されている場合、環境の値を返します (ただし、修飾 子 ‘:’ と次で示す他の形式は利用可能です)。

$name[selector]

${name[selector]}

name の値のうち選択した単語のみで置換します。selector は ‘$’ 置換が適用され、1 つの数値または ‘−’ で区切った 2 つの数値で構 成 することができます。変数の値の先頭の単語は 1 番目として数え ます。範囲の最初の値を省略した場合、デフォルトの値 1 になり ま す。 範囲の最後の数値を省略した場合、デフォルトの値 ‘$#name に なります。 selector ‘*’ はすべての単語を選択します。2 番目の引 数 が 省略されるか、あるいは範囲に収まっている場合、範囲が空に なってもエラーになりません。

$0

コマンド入力を読み込んでいるファイル名で置換します。ファイ ル名が不明の場合エラーになります。

$number

${number}

‘$argv[number]’ と等価です。

$*

‘$argv’ と等価です。これは ‘$argv[*]’ と等価です。

ヒ ストリ置換のところで説明した ‘:’ 修飾子 (‘:p’ を除く) が、上記の置換 に対して適用できます。2 つ以上の修飾子も適用できます。 (+) ヒストリ置換 (そちらも参照) と同様に、変数置換とリテラルのコロンとを分離するために、 中括弧が必要なことがあります。修飾子は中括弧の中に置かねばなりません。

以下の置換は ‘:’ 修飾子で修飾することはできません。

$?name

${?name}

name が設定されているときは、文字列 ‘1’ で置き換えられます。設 定されていないときは、文字列 ‘0’ で置き換えられます。

$?0

現在の入力ファイル名がわかっているときは、‘1’ で置き換え られます。わかっていないときは、‘0’ で置き換えられます。対話型 のシェルでは、常に ‘0’ です。

$#name

${#name}

name 中の単語の数で置き換えられます。

$#

‘$#argv’ と等価です。(+)

$%name

${%name}

name の文字数で置き換えられます。(+)

$%number

${%number}

$argv[number] の文字数で置き換えられます。(+)

$?

‘$status’ と等価です。(+)

$$

(親) シェルの (10 進数の) プロセス番号で置き換えられます。

$!

本シェルが開始したバックグラウンドプロセスのうち最新のもの の (10 進数の) プロセス番号で置き換えられます。(+)

$_

最後に実行したコマンドのコマンド行で置き換えます。(+)

$<

標準入力から読み込んだ 1 行を、一切解釈をせずにこの変数と 置き換えます。シェルスクリプト中で、キーボードから読み込む際に 用 い ま す。(+) csh は、‘$<:q’ と等価であるかのように、$< を クォートしますが、 tcsh はそうしません。それだけで な く、tcsh がユーザの入力行を待つとき、ユーザは割り込みを入力して、置換さ れるべき行が入る列を中断することができます。しかし csh では そ うすることができません。

編 集コマンド expand-variables は、通常は ‘^X-$’ にバインドされています が、これを使って、個々の変数を対話的に展開することができます。

コマンド置換、ファイル名置換、ディレクトリスタック置換

組み込みコマンドの引数に対し、残りの置換が選択的に適用されます。選択 的 と は、行の中で評価されなかった部分は、これらの展開の対象にならないとい う意味です。シェルの内部コマンドでないコマンドに対しては、コマンド名 は 引 数リストとは別個に置換されます。この置換は最後の方、入出力リダイレク トを実行したあと、メインシェルの子供の中で生じます。

コマンド置換

‘‘’ で囲まれたコマンドは、コマンド置換を示します。囲まれたコマンドの 出 力 を、空白、タブ、改行文字のところで別々の単語に分割します。この出力に 変数置換、コマンド置換を実行し、元の文字列があった場所に置きます。

二重引用符 (‘"’) の内側のコマンド置換は、空白、タブを保存します。改行文 字 だけは新しく単語分けを行います。ただし、どのような場合でも最後の改行 文字だけは新しい単語になりません。ですから、1 行まるまる出力するよう な コ マンドでも、コマンド置換を用いると単語の一部だけを生成することができ ます。

ファイル名置換

単語が ‘*’, ‘?’, ‘[’, ‘{’ のいずれかの文字を含む場合、または先頭が ‘~’ で 始まる場合、その単語はファイル名置換 (あるいはグロブ (globbing) と呼 ばれます) の候補になります。このような単語をパターン (グロブパ ター ン) と 見なし、そのパターンにマッチするファイル名のリストをアルファベット順 で整列したもので置き換えます。

ファイル名マッチの際に、ファイル名の先頭、または ‘/’ の直後の文 字 ‘.’ は、‘/’ と同様に、明示的にマッチさせなければなりません。文字 ‘*’ は、空 文字列を含むどのような文字列にもマッチします。文字 ‘?’ は、どのような 1 文字にもマッチします。列 ‘[...]’ は、括弧の中で指定した文字のいずれかに マッチします。‘[...]’ 内では、文字の対を ‘−’ でつなぐことで、(文字順 序 で) その 2 文字の範囲にある文字のいずれかにマッチします。

(+) グロブパターンの中には反転を指定できるものがあります。列 ‘[^...]’ は、括弧内の文字 / 範囲で指定していない文字ちょうど 1 つにマッ チ し ま す。

‘^’ により、グロブパターン全体を反転させることもできます。

> echo *

bang crash crunch ouch
> echo ^cr*
bang ouch

‘?’, ‘*’, ‘[]’ のいずれも使わないグロブパターンや、 ‘{}’, ‘~’ (あとで説 明します) を使うグロブパターンは、反転しても正しい結果を得られません。

メタ記法 ‘a{b,c,d}e’ は、‘abe ace ade’ の省略記法です。左から右への出現 順 序 は 保 存 さ れ ま す。‘/usr/source/s1/{oldls,ls}.c’ は、 ‘/usr/source/s1/oldls.c /usr/source/s1/ls.c’ に展開します。マッチングの 結 果 は 下 位 の レ ベ ル で 個 別に整列され、出現順序は保存されます。 ‘../{memo,*box}’ は、‘../memo ../box ../mbox’ などに展開されるでしょ う ( ここで、‘memo’ が ‘*box’ のマッチング結果とともに整列されていないこと に注意してください)。この指定が展開された結果ファイルが存在しなくてもエ ラー になりませんが、展開結果を渡した先のコマンドでエラーになる可能性は あります。この指定は入れ子にすることができます。特殊な場合として、単 語 ‘{’, ‘}’, ‘{}’ は変更されずにそのまま渡されます。

ファイル名先頭の文字 ‘~’ は、ホームディレクトリを指します。単独で用いら れた場合、つまり ‘~’ だけの場合、シェル変数 home の値に反映されているよ う に、呼び出したユーザのホームディレクトリに展開されます。‘~’ の直後に 英文字、数字、または文字 ‘−’ で構成される名前が続く場合、シェルはその名 前 を持つユーザを検索し、そのユーザのホームディレクトリに展開します。で すから、‘~ken’ は た と え ば ‘/usr/ken’ に 展 開 さ れ ま す。 ま た、‘~ken/chmach’ は、 た とえば ‘/usr/ken/chmach’ に展開されます。文字 ‘~’ の後ろに英文字でもなく ‘/’ でもない文字が続いた場合、もしくは、文字 ‘~’ が単語の先頭以外に現れた場合、変更されずにそのまま渡されます。です から、 ‘setenv MANPATH /usr/man:/usr/local/man:~/lib/man’ のようなコ マ ンドでは、期待通りのホームディレクトリ置換が起こりません。

‘*’, ‘?’, ‘[’, ‘~’ のどれかを含むグロブパターン (‘^’ は付いていてもいな くとも同じ) は、マッチするファイルがひとつもないとエラーになります。 し か し、グロブパターンのリストのうちのひとつでもマッチすれば (他のものは マッチするものがなくても) エラーになりません (したがって、たとえば ‘rm *.a *.c *.o’ は、カレントディレクトリに ‘.a’, ‘.c’, ‘.o’ で終わるファイ ルがひとつもないときに限ってエラーになり ま す)。 ま た、 シェ ル 変 数 nonomatch が設定されている場合、どれにもマッチしないパターン (あるいは パターンの列) はエラーにならずに無変換のまま残されます。

ファイル名置換を止めるために、シェル変数 noglob を設定することができ ま す。編集コマンド expand-glob は、通常は ‘^X-*’ に結合されていますが、こ れを使い、個々のファイル名置換の展開を対話的に行うことができます。

ディレクトリスタック置換 (+)

ディレクトリスタックはディレクトリの列であり、0 から番号付けられ、組 み 込 みコマンド pushd, popd, dirs (そちらも参照) が使用します。 dirs コマ ンドを使用すると、ディレクトリスタックをいつでも表示でき、ファイルに 書 き 込むことができ、ファイルから読み込むことができ、そしてクリアすること ができます。シェル変数 savedirs, dirsfile に値を設定することで、ログ ア ウ ト時のディレクトリスタックの書き込みと、ログイン時の読み込みを自動的 に行うことができます。シェル変数 dirstack を使い、ディレクトリスタッ ク の 中を調べることができ、ディレクトリスタックに任意のディレクトリを設定 することができます。

文字 ‘=’ の後ろに 1 桁以上の数字が続くと、それはディレクトリスタック 中 の エ ン トリに展開されます。特殊な場合として、 ‘=−’ はスタックの最新の ディレクトリに展開します。たとえば、次のようにです。

> dirs −v

0 /usr/bin
1 /usr/spool/uucp
2 /usr/accts/sys
> echo =1
/usr/spool/uucp
echo =0/calendar
/usr/bin/calendar
> echo =−
/usr/accts/sys

シェル変数 noglob, nonomatch と編集コマンド expand-glob はファイル名 置 換と同様にディレクトリスタックにも適用されます。

その他の置換 (+)

ファ イル名を含む変換が他にいくつかあります。厳密には先に説明したものと 関係があるわけではありませんが、完全を期するためにここで説明しておき ま す。変数 symlinks (そちらも参照) が ‘expand’ に設定されている場合、どの ようなファイル名もフルパスに展開される可能性があります。クォートする こ と でこの展開を止めることができ、編集コマンド normalize-path を使用する と要求に応じて展開を止めることがで き ま す。 ま た、 編 集 コ マ ン ド normalize-command は、PATH にあるコマンドを、要求に応じてフルパスに展開 します。最後に、cdpushd は ‘−’ を以前の作業ディレクトリ (シェル変数 owd と等価) と解釈します。これは置換でもなんでもなく、このコマンドだけ で認識される省略記法です。それでも、この表記もクォートすることでこの 解 釈を止めることができます。

コマンド

次の 3 つのセクションでは、シェルがどのようにコマンドを実行し、それらの 入出力をどのように扱うかを説明します。

単純コマンド、パイプライン、コマンド列

単純コマンドは、単語の列であり、その最初の単語が実行されるコマ ン ド で す。 ‘|’ 文字によって区切られた一連の単純コマンドはパイプラインを形成し ます。パイプライン内のそれぞれのコマンドの出力は次のコマンドの入力に 接 続されます。

単純コマンドとパイプラインは ‘;’ 文字を使ってコマンド列に組み入れること ができ、並んでいる順に実行されます。コマンドとパイプラインは ‘||’ や ‘&&’ でコマンド列に組み込むこともでき、C 言語で扱われるのと同様に、最初 のコマンドが失敗した時にだけ (‘||’の場合)、あるいは成功した 時 に だ け (‘&&’の場合)、次のコマンドが実行されます。

単 純コマンド、パイプライン、またはコマンド列は、括弧 ‘()’ を使って単純 コマンドを形成することができ、パイプラインやコマンド列の一部として使 用 できます。コマンド、パイプライン、またはコマンド列の後に ‘&’ を置いて実 行すると、そのコマンドの終了を待たずに次のコマンドを実行できます。

組み込みコマンド、非組み込みコマンドの実行

組み込みコマンドは、シェルの中で実行されます。パイプラインの構成要素 の 最 後以外が組み込みコマンドのとき、パイプラインは、サブシェル内で実行さ れます。

括弧で括られたコマンドは、常にサブシェル内で実行されます。

(cd; pwd); pwd

これは、現在のディレクトリを移動することなくホームディレクトリを表示 ( その後に現在のディレクトリを表示) し、その一方、

cd; pwd

こ の場合はホームディレクトリに移動します。括弧で括られたコマンドは、た いてい cd が現在のシェルに影響するのを防ぐために使用します。

実行するコマンドが組み込みコマンドでないことが判明すると、シェルはそ の コマンドを execve(2) を通じて実行しようとします。環境変数 path 内の各語 は、シェルがコマンドを検索するディレクトリを指定します。 −c, −t オ プ ショ ンのいずれも指定されていない場合、これらのディレクトリ内の名前を内 部テーブルでハッシュし、そのコマンドが存在する可能性のあるディレクト リ だけで execve(2) の実行を試みます。このことは、検索パス内のディレクトリ の数が多い場合に、コマンドの位置確定を大いに高速化します。この 機 構 が (unhash によって) オフにされ、シェルに −c または −t のオプションが与え られるか、それぞれの path のディレクトリ構成要素のいずれかが ‘/’ で 始 まっ ていない場合、シェルは現在の作業ディレクトリと与えられたコマンド名 を結合して実行するファイルのパス名を形成します。

ファイルに実行許可であってシステムが実行可能ではない場合、 (例 : 実行可 能バイナリ、インタプリンタを指定したスクリプトではないとき)、それをシェ ルコマンドを含むファイルであるとみなし、新しいシェルを起動してその ファ イ ルを読み込みます。シェルの特殊なエイリアスで、シェル自体ではなくイン タプリタを指定するように設定することもできます。

慣習的な#!’ スクリプトインタプリタを理解しないシステム上では、シェル は そ れをエミュレートするようにコンパイルされます ; シェル変数 version を 参照してください。その場合、シェルがファイルの最初の行をチェックし、 そ れが ‘#!interpreter arg ...’ の形式であるかどうかを確認します。この形式 であれば、シェルは与えられた引数とともにインタプリタを起動し て、 そ の ファイルを標準入力に供給します。

入出力

コ マンドの標準入力と標準出力は以下の文法に従ってリダイレクトすることが できます:

< name

ファイル name (変数、コマンド、ファイル名展開を受け ま す) をオープンし、コマンドの標準入力とします。

<< word

word と同一の行が出現するまで、シェルの入力を読み込み ます。 word は変数、ファイル名、コマンド置換を受けません。シェ ル入力の行は読み込まれるとすぐ、置換を行う前に word と比較され ます。word に ‘\’, ‘"’, ‘’’, ‘‘’ のクォートが出現しなけれ ば、 行 の 中 で コマンド置換が実行されます。この置換を抑制するため に、‘\’ によって ‘$’, ‘\’, ‘‘’ をクォートすることができま す。 コ マ ンド置換において、すべての空白、タブ、改行は保存されます が、最後の改行は削除されます。読み込んだ行はすべてテンポ ラ リ ファイルに保存され、コマンドの標準入力として用いられます。

> name
>! name
>& name

>&! name

ファイル name を標準出力として用います。ファイルが存在しなけれ ば作成されます。すでにファイルが存在すればその内容は切り捨てら れ、以前の内容は失われます。

シェル変数 noclobber がセットされている場合、ファイルが存在しな いか文字型特殊ファイル (端末や ‘/dev/null’ のような) でなければ エ ラーになります。これは、すでに存在するファイルを間違えて削除 してしまうことを防止します。‘!’ を用いた形式を使うと、この検 査 を抑制することができます。

‘&’ を用いた形式では、標準出力とともに診断メッセージ出力もファ イルへリダイレクトされます。 name は、‘<’ の入力ファイル名の 場 合と同様の展開を受けます。

>> name
>>& name
>>! name

>>&! name

‘>’ と同様に、ファイル name を標準出力として用います。ただし、 コマンドの出力はファイルへ追加されます。変数 noclobber が セッ ト さ れている場合、ファイルが存在しなければエラーとなります。 ‘!’ を用いることで、この検査を抑制することができます。

コマンドは、シェルが起動されたときの環境を引き継ぎます。ただしこの環 境 は 入出力のパラメータによって変更されますし、コマンドがパイプラインの中 にあった場合も変更されます。したがって、以前のいくつかのシェルとは異 な り、 シェルのコマンドファイルから起動されたコマンドは、デフォルトではそ のコマンドのテキストへアクセスできません。かわりにそれらのコマンド は、 シェ ルのもともとの標準入力をそのまま受け継ぎます。シェルスクリプトの内 部で、コマンドにあらかじめ決まった (inline) データを渡す場合には、標 準 入 出力の形式ではなく、 ‘<<’ の機構を使うことができます。このように制限 することにより、シェルコマンドスクリプトをパイプラインの一部として用 い る ことができます。バックグラウンドで実行されているコマンドの標準入力も /dev/null 等にリダイレクトされることなく、シェルの標準入力をそのまま 受 け 継いでいます。もし標準入力が端末で、コマンドが端末から読み込もうとし た場合、そのプロセスはブロックされ、シェルはユーザにそのことを通知し ま す (ジョブの項を参照)。

診断メッセージ出力もパイプにリダイレクトすることができます。単に ‘|’ の かわりに ‘|&’ を使います。

シェルは、標準出力のリダイレクトなしで、診断メッセージ出力をリダイレ ク ト できなくなります。そのため、‘(コマンド > 出力ファイル) >& エラーファ イル’ は、無難な予備手段とされてます。出力ファイル、エラーファイルの ど ちらかが、端末に出力を送るための ‘/dev/tty’ です。

特徴

こ こではシェルがどのようにコマンドラインを受け入れ、解釈し、実行するか を説明しました。次は、便利な特徴について説明します。

制御フロー

このシェルには、コマンドファイル (シェルスクリプト) や (制約はあるも の の 便利な) 端末からの入力処理の流れを制御するために使用できる多くのコマ ンドを備えています。これらのコマンドは、入力の再読み込みや読み飛ばし を 行 うためシェルを強制的に操作します。これらの実装のために、幾つかのコマ ンドには制限があります。

foreachswitchwhile 文は、 if 文の if-then-else 形式と同様に、後で示 す ように入力行の単独の単純コマンド中に主要なキーワードが現れることを要 求します。

シェルの入力がシーク可能でない場合は、ループが読み込まれると常に入力 を バッ ファし、この内部バッファをシークすることでループによる再読み込みを 可能にします。 (これを許可した結果、後方へ向かう goto がシーク可能で な い入力についても成功することになります。)

組み込みコマンドの if, while, exit は共通した文法を持った式を使います。 式には、次の 3 つのセクションの中で説明される任意の演算子を含めることが できます。 @ 組み込みコマンド (そちらも参照) 自体は、文法を区切るので注 意してください。

論理演算子, 算術演算子, 比較演算子

これらの演算子は C の演算子と同じ優先順位となっています。演算子には、次 のものがあります。

|| && | ^ & == != =~ !~ <= >=

< > << >> + − * / % ! ~ ( )

こ こ に 挙 げ た演算子は右側のものほど優先順位が高くなっています。ただ し、‘==’ ‘!=’ ‘=~’ ‘!~’ の 4 つ、‘<=’ ‘>=’ ‘<’ ‘>’ の 4 つ、 ‘<<’ ‘>>’ の 2 つ、‘+’ ‘-’ の 2 つ、‘*’ ‘/’ ‘%’ の 3 つはそれぞれ同一のグループに 所属しており、同じグループに所属している演算子の優先順位は同じレベル と なっ て います。演算子 ‘==’ ‘!=’ ‘=~’ ‘!~’ は引数を文字列として比較しま す。他の演算子はすべて数値で比較します。演算子 ‘=~’ ‘!~’ は ‘!=’ ‘==’ と 似ていますが、左側のオペランドにマッチするグロブパターン (ファイル名 置換を参照) を右側に置くことが異なります。必要なものに対してだけパ ター ン マッチを行うので、シェルスクリプト中における switch 組み込みコマンド の使用の必要を減らします。

‘0’ で始まる文字列は 8 進数とみなされます。空の文字列や引数がぬけている ものは ‘0’ とみなされます。すべての式の結果は 10 進数で表される文字列に なります。特に、式の構成要素が同一の単語中に複数個現れることはないと い う ことに注意してください。例外として、パーサに文法的に特別な意味を持つ 式の構成要素 (‘&’ ‘|’ ‘<’ ‘>’ ‘(’ ‘)’) が隣りにくることは構いません。た だし、これらは空白で区切られるべきです。

コマンド終了ステータス

式 の中でコマンドを実行することができ、式を中括弧 (‘{}’) で囲むと終了ス テータスが返されます。中括弧は、コマンドの単語から空白で区切ることを 忘 れ ないでください。コマンドの実行が成功した場合は、真 (たとえば ‘1’) を 返します。コマンドが 0 のステータスで終了した場合、または実行に失敗した 場 合は、偽 (たとえば ‘0’) を返します。もっと詳しいステータスの情報が必 要な場合は、コマンドを式の外部で実行し、シェル変数 status を調べてく だ さい。

ファイル問い合わせ演算子

これらの演算子のうち幾つかはファイルと関連するオブジェクトについて真/偽 の判定を行います。これらは op file の形式です。 op は次のうちのどれ か 1 つです。

r

読み取りアクセス

w

書き込みアクセス

x

実行アクセス

X

パス中にある実行可能ファイルやシェル組み込みコマンド。たと えば ‘−X ls’ と ‘−X ls−F’ は一般に真であり、 ‘−X /bin/ls’ はそ うではない (+)

e

存在

o

所有者

z

サイズ 0

s

サイズが 0 でない (+)

f

通常ファイル

d

ディレクトリ

l

シンボリックリンク (+) *

b

ブロック型特殊ファイル (+)

c

キャラクタ型特殊ファイル (+)

p

名前付きパイプ (fifo) (+) *

S

ソケット型特殊ファイル (+) *

u

set-user-ID ビットがセットされている (+)

g

set-group-ID ビットがセットされている (+)

k

スティッキビットがセットされている (+)

t

file (これは数字でなければならない) は端末デバイスに対して オープンしているファイル記述子である (+)

R

migrate されている (convex システムのみ有効) (+)

L

多重演算子の中でこの演算子の後にくる演算子は、シンボリッ ク リンクが指されているファイルではなく、シンボリックリンクそのも のに適用される (+) *

file はコマンドと展開されたファイル名で、指定された実ユーザに対する関係 が あるかどうかテストします。 file が存在していない場合、もしくはアクセ スできない場合、 ‘*’ で示した演算子については、指定のファイルタイプが現 在 の システムに存在していなければすべての問い合わせは偽 (たとえば ‘0’) を返します。

s true これらの演算子は、簡潔にするために連結することができます。 ‘−xy file’ は ‘−x file && −y file’ と等価です。(+) たとえば ‘−fx’ は通常の実 行可能ファイルに対しては真 (‘1’ を返す) ですが、ディレクトリに対して は そうではありません。

s L は多重演算子の中で使用できます。この演算子の後にくる演算子は、シン ボリックリンクが指されているファイルではなく、シンボリックリンクその も の に適用されます。たとえば ‘−lLo’ は呼び出しユーザが所有しているリンク に対しては真です。 Lr, Lw, Lx はリンクに対しては常に真で、リンクでな い ものに対しては偽です。 L は多重演算子の中で最後の演算子になった場合、異 なった意味を持ちます。以下を参照してください。

s file に渡すべき演算子と、そうでない演算子 (たとえば Xt) を連結 す る こ と は可能ですが、実用的ではなく、しばしば間違いの元になります。特 に、ファイルでない演算子に L をつけると、妙な結果になります。

他の演算子は他の情報、つまり単なる ‘0’ や ‘1’ だけではない情報を返し ま す。(+) これらは前に示したのと同じ書式になります。 op は次のうちのどれ か 1 つです。

A

エポックからの秒数で表した、最後にファイルにアクセス し た時間

A:

A と 同じで、タイムスタンプの書式。例: ‘Fri May 14 16:36:10 1993’

M

最後にファイルを変更した時間

M:

M と同じで、タイムスタンプの書式

C

最後に inode を変更した時間

C:

C と同じで、タイムスタンプの書式

D

デバイス番号

I

inode 番号

F

device:inode の形式で表した複合 file 識別子

L

シンボリックリンクが指しているファイルの名前

N

(ハード) リンクの数

P

先頭に 0 がついていない 8 進数で表したパーミッション

P:

P と同じで、先頭に 0 がつく

Pmode

‘−P file & mode’ と等価。たとえば、‘−P22 file’ は file のグループと他者が書き込み可であれば ‘22’ を、グルー プのみであれば ‘20’ を、何もなければ ‘0’ を返す。

Pmode:

Pmode: と同じで、先頭に 0 がつく

U

数値で表したユーザ ID

U:

ユーザ名、ユーザ名が見つからなかった場合は数値で表した ユーザ ID

G

数値で表したグループ ID

G:

グループ名、グループ名が見つからなかった場合は数値で表 したグループ ID

Z

バイト数で表したサイズ

これらの演算子のうち 1 つだけ多重演算子の中に現れることを許されています が、 必ず最後につける必要があります。ただし、L は多重演算子の中の最後と それ以外の箇所では違った意味になるので注意してください。なぜ な ら、‘0’ は これらの演算子の多くにとって正当な返り値のためです。これらが失敗した 場合、‘0’ を返しません。たいていの場合、‘−1’ を返し、F は ‘:’ を返し ま す。

こ の シェルが POSIX を定義してコンパイルされている (シェル変数 version を参照) 場合、ファイル問い合わせの結果は、 access(2) システムコールの結 果 に 基 づいたものではなく、ファイルの許可ビットに基づいたものになりま す。たとえば、通常は書き込み可であるが読み取り専用でマウントされた ファ イルシステム上にあるファイルを −w で検査した場合、 POSIX シェルでは成功 し、非 POSIX シェルでは失敗することになります。

ファイル問い合わせ演算子は filetest 組み込みコマンド (そちらも参照) と 等価になり得ます。(+)

ジョブ

シェ ル はパイプラインの各々に対しジョブを 1 つずつ関連付けます。シェル は、現在実行中のジョブの一覧表を保持しており、これは、jobs コマン ド に よっ て表示することができます。ジョブには整数の番号が割り当てられます。 ジョブが ‘&’ を用いて非同期に起動された場合、シェルは以下のような出力を 行います:

[1] 1234

こ れ は、 非 同期に起動したジョブがジョブ番号 1 であり、プロセス ID が 1234 である (トップレベルの) プロセスを 1 つ持っていることを示します。

もし、あるジョブを実行中に他のことをしたくなった場合、サスペンドキー ( 通常 ^Z) を押すことにより実行中のジョブに STOP シグナルを送信することが できます。通常、シェルはそのジョブが一時停止した (Suspended) ことを出力 し、 プロンプトを表示します。シェル変数の listjobs が設定されていると、 組み込みコマンドの jobs のようにすべてのジョブがリストされます。もし そ れが ‘long’ と設定されているとリストは ‘jobs −l’ のような長い形式になり ます。ここで、一時停止したジョブの状態を操作することができま す。 つ ま り、bg コマンドにより停止したプロセスを ‘‘バックグラウンド’’ で走行させ たり、他のコマンドを実行してから、停止していたジョブを fg コマンドに よ り ‘‘フォアグラウンド’’ で再実行させることなどができます。 (編集コマン ドの run-fg-editor も参照してください。) ‘^Z’ は即座に効力を発揮し、 割 り 込みと同様に、それまで待たされていた出力とまだ読み込まれていない入力 は捨てられます。組み込みコマンドの wait はすべてのバックグラウ ン ド の ジョブが終了するまでシェルを待機状態にさせます。

‘^]’ キーは遅延サスペンドシグナルを現在のジョブに送信します。この場合は プログラムが read(2) によって読み込もうとした時点で STOP シグナルが送信 さ れます。これは、実行中のジョブに対していくつかの入力を先に入力してお き、先行入力を読み終えた時点でジョブを停止させたいとき に 便 利 で す。 csh(1) で は この機能は ‘^Y’ キーに割り当てられていました。 tcsh では ‘^Y’ は編集コマンドです。(+)

バックグラウンドで実行しているジョブが端末からの入力を試みた場合、そ の ジョ ブは停止します。通常、バックグラウンドジョブが端末に出力することは 可能ですが、これはコマンド ‘stty tostop’ により禁止することができます。 も し この tty オプションを指定したなら、バックグラウンドで実行している ジョブは、端末から入力を試みたときと同様に、端末に出力を試みたときに 停 止します。

シェルでジョブを参照するにはいくつかの方法があります。文字 ‘%’ はジョブ 名を表すのに用いられます。番号 1 のジョブを参照する場合は ‘%1’ と し ま す。 単にジョブ名を入力した場合、そのジョブはフォアグラウンドに移動され ます。すなわち ‘%1’ は ‘fg %1’ と等価で、ジョブ 1 をフォアグラウンド に 移 行 します。同様に ‘%1 &’ は、ちょうど ‘bg %1’ と同じようにのジョブ 1 をバックグラウンドで再開させます。ジョブはそのジョブを起動したときに タ イ プされた文字列の先頭部分によって参照することもできます。ただしこの先 頭部分はあいまいでない必要があります。すなわち ‘%ex’ は、‘ex’ という 文 字列で始まる名前のサスペンドされたジョブが 1 つしかない場合に限り、サス ペンドされた ex(1) のジョブを再開します。文字列 string を含むジョブが 1 つ し かない場合、‘%?string’ と入力することでそれを指定することもできま す。

シェルは現在のジョブと直前のジョブを覚えています。ジョブに関係する出 力 で、‘+’ 記号が付加されているのが現在のジョブ、 ‘−’ 記号が付加されている のが直前のジョブです。 ‘%+’, ‘%’ と (ヒストリ機構の文法との類 似 か ら) ‘%%’ はすべて現在のジョブ、‘%−’ は直前のジョブを参照するための省略形で す。

ある種のシステムではジョブ制御機構を利用するために stty(1) のオプション ‘new’ を設定しておく必要があります。ジョブ制御機構は ‘新型の’ 端末ドラ イバの実装の上に構築されているからで、新型の端末ドライバによりジョブ を 停 止させるための割り込み文字をキーボードから入力できるようになるからで す。新型の端末ドライバのオプション設定については stty(1) と組み込みコマ ンドの setty を参照してください。

状態通知

シェ ルは、プロセスが状態の変化を起こすとすぐにそれを検知します。通常は プロンプトが表示される直前にのみ、あるジョブが停止してそれ以上処理が 進 ま なくなったことを通知します。これはユーザの仕事を邪魔しないようにする ためです。しかしながら、シェル変数 notify を設定することにより、シェ ル に バックグラウンドジョブの状態が変化したことをただちに通知させることが できます。また、シェルコマンド notify により、特定のジョブの状態の変 化 を た だちに通知させるようにマークすることもできます。引数なしの notify は現在のプロセスに対してマークをつけます。バックグラウンドジョブの開 始 直後に単に ‘notify’ と打つとそのジョブをマークします。

停 止 し た ジョ ブが存在する状態でシェルを終了しようとすると ‘You have stopped jobs.’ という警告を受けます。このとき jobs コマンドにより ど の ジョ ブ が 停止中であるのかを確認することができます。警告を受けた直後に jobs コマンドで確認した場合と、警告を受けた直後に再度シェルを終了させよ うとした場合には、シェルは 2 度目の警告を行わずに停止中のジョブを終了さ せてからシェルを終了します。

自動イベント、定期イベント、時刻指定イベント (+)

シェルの ‘‘ライフサイクル’’ において、いろいろな時間に自動的にコマン ド の 実行と他のアクションを行うさまざまな方法が用意されています。それらを ここに要約し、詳しくは組み込みコマンド特別なシェル変数特別なエイ リ アスの適切な場所で説明します。

組み込みコマンドの sched はコマンドをイベントの予定表に置き、指定された 時刻にシェルによって実行されるようにします。

特別なエイリアスとして beepcmd, cwdcmd, periodic, precmd, postcmd, jobcmd があり、それぞれシェルがベルを鳴らす時、作業ディレクトリが変わる 時、 tperiod 分毎、各プロンプトの前、各コマンドの実行前、各コマンドの実 行 後、ジョブの起動時またはフォアグラウンド移行時に実行させたいコマンド を設定できます。

シェル変数の autologout を使って、指定した分数の休止後にログアウトま た はシェルをロックするように設定できます。

シェ ル変数の mail を使って、定期的に新しいメールをチェックするように設 定できます。

シェル変数の printexitvalue を使って、0 以外のステータスで終了したコ マ ンドの終了ステータスを表示するように指定できます。

シェル変数の rmstar を使って、‘rm *’ が入力されたときにユーザに間違いな いかどうか確認を求めるように指定できます。

シェル変数の time を使って、指定した秒数より多く CPU 時間を使ったプロセ スの終了後に組み込みコマンドの time を実行するように設定できます。

シェ ル変数の watchwho を使って、指定したユーザがログインまたはログ アウトした時にレポートするように設定できます。また組み込みコマ ン ド の log でいつでもそれらのユーザについてのレポートを得られます。

固有言語システムのサポート (+)

シェルは 8 ビットクリーンなので (そのようにコンパイルされていれば。シェ ル変数の version を参照)、それを必要とする文字セットをサポートしま す。 NLS サポートはシェルがシステムの NLS を使うようにコンパイルされているか どうかによって異なります (再び、version を参照)。どちらの場 合 で も 7 ビット ASCII がデフォルトの文字分類 (たとえばそれらの文字は表示可能) で あり、そして順序づけです。環境変数の LANG または LC_CTYPE を変 更 す る と、これらの点について変化の有無がチェックされます。

システムの NLS を使う場合には、文字の適切な分類と順序づけを決定するため に setlocale(3) 関数が呼び出されます。この関数は典型的には環境 変 数 の LANGLC_CTYPE を調べます。より詳細についてはシステムのドキュメントを 参照してください。システムの NLS を使わない場合 に は、 シェ ル は ISO 8859-1 文字セットが使われていると仮定することでシミュレートします。変数 LANGLC_CTYPE のいずれかが設定されていても、それらの値を無視します。 シミュレートされた NLS では順序づけに影響しません。

加えて、本物とシミュレートされた NLS の両方で、\200−\377 の範囲、つまり M-char でバインドされているすべて の 表 示 可 能 文 字 は、 自 動 的 に self-insert-command に再バインドされます。対応する escape-char へのバイ ンドは、もしあればそのまま残ります。これらの文字は環境変数 の NOREBIND が 設 定 されていれば再バインドされません。この機能はシミュレートされた NLS やすべてが ISO 8859-1 であると仮定した原始的な本物の NLS で有 効 で しょ う。そうでなければ、\240−\377 の範囲の M-char へのバインドは事実上 解除されます。この場合でも、もちろん bindkey で明示的に関連するキーに再 バインドする事は可能です。

未 知の文字 (つまり表示可能でも制御文字でもないような文字) は \nnn のよ うな形式で表示されます。tty が 8 ビットモード に なっ て い な い 場 合 は、ASCII に変換して強調表示モードを使うことで別の 8 ビット文字が表示さ れます。シェルは tty の 7/8 ビットモードを変更することはなく、ユーザ に よる 7/8 ビットモードの変更に従います。NLS 利用者 (またはメタキーを利用 したい利用者) は、たとえば ~/.login ファイルで適切に stty(1) コマンドを 呼 び出すことで、明示的に tty を 8 ビットモードに設定する必要があるかも しれません。

OS 固有機能のサポート (+)

個々のオペレーティングシステムで提供されている機能をサポートす る た め に、 多くの新しい組み込みコマンドが提供されています。すべて組み込みコマ ンドセクションで詳細に説明されています。

TCF をサポートするシステム (aix-ibm370, aix-ps2) で は、 getspathsetspath でシステム実行パスを取得、設定し、 getxverssetxvers で試験 バージョンプレフィックスを取得、設定して、migrate でプロセスをサイト 間 で 移動させます。組み込みコマンドの jobs は各ジョブが実行されているサイ トを表示します。

BS2000 では、bs2cmd は下層の BS2000/OSD オペレーティングシステムのコ マ ンドを実行します。

Domain/OS で は、inlib で共有ライブラリを現環境に追加し、 rootnode で rootnode を変更し、ver で systype を変更します。

Mach では、setpath が Mach の setpath(1) と等価です。

Masscomp/RTU と Harris CX/UX では、universe で universe を設定します。

Harris CX/UX では、ucbatt によって指定した universe でコマンドを 走 らせます。

Convex/OS では、warp で universe を表示または設定します。

環 境変数の VENDOR, OSTYPE, MACHTYPE は、シェルが自身が実行されていると 考えているシステムの、それぞれベンダ、オペレーティングシステム、マシ ン タ イプ (マイクロプロセッサのクラスまたはマシンのモデル) を表示します。 これはいろいろなタイプのマシン間でホームディレクトリを共有する場合に 特 に便利です。利用者はたとえば各自の ~/.login 中で

set path = (~/bin.$MACHTYPE /usr/ucb /bin /usr/bin .)

と し、各マシン用にコンパイルされた実行形式を適切なディレクトリに置くこ とができます。

シェル変数の version は、どのオプションを選択してシェルがコンパイルされ たかを表示します。

組み込みの newgrp、シェル変数の afsuserecho_style、そしてシステムに 依存するシェルの入力ファイル (ファイルを参照) の位置にも注意してくだ さ い。

シグナル処理

ロ グ インシェルは ~/.logout ファイルを読んでいる間は割り込みを無視しま す。シェルは起動時に −q の指定が無ければ QUIT シグナルを無視します。 ロ グ インシェルは TERM シグナルを捕捉しますが、非ログインシェルは TERM シ グナルへの挙動を親から継承します。他のシグナルについては親からシェル に 継承された値を持っています。

シェルスクリプトでは、シェルの INT と TERM シグナルの扱いを onintr で制 御できます。そして HUP の扱いを hupnohup で制御できます。

シェルは HUP で終了します (シェル変数の logout も参照)。デフォ ル ト で は、シェルの子供たちもそうしますが、シェルは終了時に HUP を子供たちに送 りません。hup はシェルが終了時に子供に HUP を送るようにし、nohup は子供 が HUP を無視するように設定します。

端末管理 (+)

シェ ルは 3 つの異なる端末 (‘‘tty’’) モードの設定を使います。それらは編 集時に使う ‘edit’、文字リテラルをクォートする場合に使う ‘quote’、コマン ド実行時に使う ‘execute’ です。シェルは各モードでいくつかの設定を一定に 保つので、 tty を混乱状態にして終了するコマンドがシェルに干渉することは ありません。シェルは tty のスピードとパディングの変更にも対応します。一 定に保たれる tty モードのリストは組み込みの setty で取得、設定 で き ま す。 エディタは CBREAK モード (または同等のモード) を使いますが、先行入 力された文字はいつでも受け付けられます。

echotc, settc, telltc コマンドを使って、コマンドラインから端末のケー パ ビリティを操作、デバッグすることができます。

SIGWINCH か SIGWINDOW をサポートするシステムでは、シェルはウィンドウの リサイズに自動的に適応して、環境変数の LINESCOLUMNS が設定されて い れば値を補正します。環境変数の TERMCAP が li# と co# のフィールドを含ん でいると、シェルは新しいウィンドウサイズを反映するようにそれらを補正 し ます。

参照

こ の マ ニュアルの以下のセクションでは使用可能なすべての組み込みコマン ド特別なエイリアス特別なシェル変数について説明します。

組み込みコマンド

%job

組み込みコマンド fg と同義です。

%job &

組み込みコマンド bg と同義です。

:

何もしません。常に成功します。

@
@
name = expr
@
name[index] = expr
@
name++|--

@ name[index]++|--

最初の形式は、すべてのシェル変数の値を表示します。

2 番目の書式は、name に値 expr を設定します。 3 番目の書式 は、 値 exprnameindex 番目の要素に定義します。 name とその index 番目の要素の両方が既に存在していなければなりません。

expr は C と同様に、‘*’, ‘+’のような演算子を含むことが あ り ま す。もし expr が ‘<’, ‘>’, ‘&’, ‘’ を含むのであれば、少なくとも expr のその部分は ‘()’ の中に書かれる必要があります。 expr の書 式は、以下の Expressions で説明されるものとは一切関係がないこと に注意してください。

4 番目、5 番目の書式は name またはその index 番目の要素をインク リメント (‘++’) またはデクリメント (‘−−’) します。

‘@’ と name の間の空白は必須です。name と ‘=’ の間、また ‘=’ と expr の間の空白はオプションです。expr の要素は空白によって区 切 られていなければなりません。

alias [name [wordlist]]

引数がなければ、すべてのエイリアスを表示します。 name を与える と、そのエイリアスの内容を表示します。 namewordlist を与え る と、 wordlistname の エイリアスとして定義します。 wordlist は、エイリアスされるコマンドとファイル名で す。 name は ‘alias’ または ‘unalias’ であってはなりません。組み込みコマ ンド unalias についても参照してください。

alloc

動的に取得しているメモリのうちの使用量と空き容量を表 示 し ます。何らかの引数を与えるとブロックサイズごとの使用中 / 空 きブロックの数を表示します。このコマンドの出力はシステムによっ て 大きく異なります。 VAX 以外のシステムでは、異なるメモリ管理 を行っているかもしれないからです。

bg [%job ...]

指定したジョブ (引数がなければ現在のジョブ) をバックグラウンド に移動します。もしそれらが停止していれば再開されます。job は以 下の Jobs で説明するように番号、文字列、‘’, ‘%’, ‘+’, ‘−’ で構 成されます。

bindkey [−l|−d|−e|−v|−u] (+)
bindkey
[−a] [−b] [−k] [−r] [−−] key (+)

bindkey [−a] [−b] [−k] [−c|−s]

[−−] key command (+) オプション無しでは、第 1 の形式ではバイン ドされているすべてのキーと編集コマンドを表示し、第 2 の形式 で は key にバインドされている編集コマンドを表示し、第 3 の形式で は編集コマンド commandkey にバインドします。オプションは以 下のものを含みます。

−l

すべての編集コマンドの一覧と、それぞれの簡単な解説を表 示します。

−d

デフォルトのエディタの標準キーバインドをすべてのキーに 適用します。

−e

GNU Emacs に似たキーバインドをすべてのキーに適用しま す。

−v

標準の vi(1) に似たキーバインドをすべてのキーに適用 し ます。

−a

代替キーマップを表示またはそのキーバインドを変更しま す。代替キーマップは vi コマンドモードのものです。

−b

key を次のように解釈します。 ^character ( た と え ば ‘^A’)、C-character ( たとえば ‘C-A’) のようなものはコント ロールキャラクタ、 M-character (たとえば ‘M-A’)のような も の はメタキャラクタ、 F-string (たとえば ‘F-string’)のよう なものはファンクションキー、X-character (たとえ ば ‘X-A’) のようなものは拡張プレフィックスキーです。

−k

key は矢印キーの名前、‘down’, ‘up’, ‘left’, ‘right’ の いずれかとして解釈されます。

−r

key のバインドを解除します。 ‘bindkey −r’ は keyself-insert-command にバインドするのではなく、そのキーのバ インドを完全に解除してしまうことに注意してください。

−c

command は編集コマンドでなく、組み込みコマンドか外部コ マンドの名前として解釈されます。

−s

command は通常の文字列として解釈され、key がタイプされ た時に端末から入力されたように扱われます。command でバイン ド されたキー自体も再び解釈が行われ、10 レベルまで繰り返し 解釈が行われます。

−−

オプション処理の中断を行います。したがって、次の単語が ’−’ で始まっていたとしても、key として解釈されます。

−u (または何らかの無効なオプション)

使い方を表示します。

key は 1 文字であっても、文字列であっても構いません。もしコマン ドが文字列にバインドされているならば、文字列の最 初 の 文 字 は sequence-lead-in にバインドされ、文字列全体がコマンドにバインド されます。

key に含まれるコントロール文字はコントロール文字そのもの (通 常 ‘^V’ にバインドされているエディタの quoted-insert コマンドで入 力できるもの) であっても、‘^A’ のようなキャレット-文字 形 式 で あっ ても構いません。削除文字は ‘^?’ (キャレット-疑問符) のよう に表します。keycommand は下に示す、バックスラッシュで始まる エ ス ケープシーケンスを含むことができます (System V の echo(1) で用いられる形式です)。

\a

ベル

\b

バックスペース

\e

エスケープ

\f

改ページ (フォームフィード)

\n

改行

\r

キャリッジリターン

\t

水平タブ

\v

垂直タブ

\nnn

8 進数 nnn で表されるアスキー文字

‘\’ は後に続く文字に特別な意味があればそれを無効にします。特 に ‘\’ や ‘^’ の場合です。

bs2cmd bs2000-command (+)

実 行するために、bs2000-command を BS2000 のコマンドインタプリ タへ渡します。インタラクティブではないコマンドのみを実行できま す。 また /EXECUTE や /CALL-PROCEDURE のような現在のプロセスイ メージをオーバレイするようなコマンドは実行できません。 (BS2000 のみ)

break

実行を一番近い foreach または whileend の組の、end の後から再開します。現在の行の残りのコマンドは実行されます。し たがって、複数のレベルのブレークは、1 行にそれらを並べることで 可能になります。

breaksw

switch からのブレークで、endsw の後から実行が開始され ます。

builtins (+)

すべての組み込みコマンドの名前を表示します。

bye (+)

組み込みコマンド logout の別名です。これが使えるよう にコンパイルされている場合にのみ有効です。シェル変 数 version を参照してください。

case label:

下で説明する switch 文で用いられるラベルです。

cd [−p] [−l] [−n|−v] [name]

もしディレクトリ名 name が与えられれば、シェルの作業ディレクト リを name に変更します。与えられなければ home に変更します。も し name が ‘−’ であれば、ひとつ前の作業ディレクトリとして解釈 されます (Other substitutions を参照)。name が現在のディレクト リ のサブディレクトリでなく、 ‘/’, ‘./’ , ‘../’ のいずれかで始 まるものでもない場合、変数 cdpath の要素がひとつひとつチェック され、サブディレクトリ name が探されます。最後に、そのどれもが 失敗した場合に name が ‘/’ ではじまる値をもつシェル変数であ れ ば、その変数が指すディレクトリが探されます。

−p を付けると、dirs と同じように最終的なディレクトリスタックの 内容を表示します。cd−l, −n, −v フラグは dirs のそれと同じ意 味を持ち、 −p の動作を含んでいます (+)。

シェル変数 implicitcd についても参照してください。

chdir

組み込みコマンド cd の別名です。

complete [command

[word/pattern/list[:select]/[[suffix] /] ...]] (+) 引数なしの 場合は、すべての補完の候補を表示します。 command を つ け る と、command の補完候補を表示します。 commandword などをつ けると、補完を定義します。

command はコマンドのフルネームでも、何らかのパターンでも構い ま せん (ファイル名置換を参照)。補完候補がひとつでないことを示すた めに、‘-’ ではじめることができます。

word は現在の語の補完にどの単語が関係するのかを指定するもので、 以下のうちどれか 1 つです。

c

現在の語の補完。 pattern は、コマンドライン上の現在 の語にマッチするパターンでなければなりません。 pattern は現在の語の補完が完了すると無視されます。

C

c に似ていますが、現在の語の補完後に pattern を含み ます。

n

次の語の補完。 pattern はコマンドライン上のひとつ前 の語にマッチするパターンでなければなりません。

N

n に似ていますが、現在の語のふたつ前の語にマッチす るパターンでなければなりません。

p

位置に依存した補完。 pattern は数値の範囲を指定する ものであり、シェル変数のインデックスと同じ文法が用いら れます。現在の語を含むものでなければなりません。

list は以下のリストの中から可能な補完のリストを示します。

a

エイリアス

b

バインディング (編集コマンド)

c

コマンド (組み込みコマンドも外部コマンドも含 み ます)

C

指定されたパスではじまる外部コマンド

d

ディレクトリ

D

指定されたパスではじまるディレクトリ

e

環境変数

f

ファイル名

F

指定されたパスではじまるファイル名

g

グループ名

j

ジョブ

l

制限値

n

何にも補完しません

s

シェル変数

S

シグナル

t

プレイン (‘‘テキスト’’) ファイル

T

プレイン (‘‘テキスト’’) ファイルで、指定された パスではじまるもの

v

すべての変数

u

ユーザ名

x

n に似ていますが、list-choices が使われている時 には select を表示します。

X

補完

$var

変数 var に格納されている語

(...)

リスト中の語

‘...‘

コマンドの出力に含まれる語

select は glob パターンです (省略可能)。これを指定すると、list にある単語のうち select にマッチするものだけが対象となり、 シェ ル変数 fignore は無視されます。最後の 3 つの補完形式には select パターンを与えることはできません。また xlist-choices 編集コ マ ン ド が用いられた時には select を説明メッセージとして扱いま す。

suffix は単一の文字で、補完が成功するとそのあとに追加されます。 空の場合は何も追加されません。省略されると (この場合 4 番目のデ リミタも省略できます) ディレクトリにはスラッシュ文字が、その 他 の文字にはスペース文字が追加されます。

で はいくつか例を示します。コマンドによっては、ディレクトリのみ を引数として取るものがあります。 (そのようなコマンドに対 し て) 通常ファイルを補完することは、的外れです。

> complete cd ’p/1/d/’

‘cd’ に続く最初の単語のみ (‘p/1’) をディレクトリで補完します。 コマンド補完を絞りこむために p-形式の補完を用いることもで き ま す。 ‘cd’ に続く最初の単語のみ (‘p/1’) をディレクトリで補完しま す。

> co[^D]

complete compress
> complete −co* ’p/0/(compress)/’
> co[^D]
> compress

これは ‘co’ で始まる (すなわち ‘co*’ にマッチする) コマンド (位 置 0 にある単語 ‘p/0’) を補完して、 ‘compress’ (リストにある唯 一の単語) を与えたものです。先頭にある ‘−’ は、この補完がコマン ドを確定できない場合にのみ用いられることを意味します。

> complete find ’n/−user/u/’

こ れは n-形式の補完の例です。 ‘find’ の後で、かつ ‘−user’ の直 後にある単語を、ユーザのリストで補完します。

> complete cc ’c/−I/d/’

c-形式の補完の例です。‘cc’ の後にあり、かつ ‘−I’ ではじまる単語 を ディ レクトリで補完します。ここでは小文字の c を用いているの で、 ‘−I’ はディレクトリの一部とはみなされません。

コマンドに応じて、便利な list も異なります。

> complete alias ’p/1/a/’

> complete man ’p/*/c/’
> complete set ’p/1/s/’
> complete true ’p/1/x:Truth has no options./’

これらでは、 ‘alias’ に続く単語をエイリアスで、 ‘man’ に続く 単 語 を コマンドで、 ‘set’ に続く単語をシェル変数で置き換えていま す。 ‘true’ はオプションを取らないので、補完が試みられたとき に 何も行わず、補完リストの選択画面には ‘Truth has no options.’ を 表示する x を指定しています。

man の例や、以下に示すいくつかの例では、 ‘p/*’ の代わりに ‘c/*’ や ‘n/*’ を用いることもできます。

単 語の補完を変数で行うこともできます。これらの変数は補完の際に 評価されます。

> complete ftp ’p/1/$hostnames/’

> set hostnames = (rtfm.mit.edu tesla.ee.cornell.edu)
> ftp [^D]
rtfm.mit.edu tesla.ee.cornell.edu
> ftp [^C]
> set hostnames = (rtfm.mit.edu tesla.ee.cornell.edu uunet.uu.net)
> ftp [^D]
rtfm.mit.edu tesla.ee.cornell.edu uunet.uu.net

ま た補完の際にコマンドを実行し、そこから補完を行うこともできま す。

> complete kill ’p/*/‘ps | awk \{print\ \$1\}‘/’

> kill −9 [^D]
23113 23377 23380 23406 23429 23529 23530 PID

complete コマンド自身は、その引数をクォートしません。したがって ‘{print $1}’ にある括弧、スペース、‘$’ は明示的にクォートしなけ ればなりません。

1 つのコマンドに複数の補完を指定することもできます。

> complete dbx ’p/2/(core)/’ ’p/*/c/’

これは ‘dbx’ の第 2 引数を ‘core’ という単語で補完し、他のす べ て の引数をコマンドで補完します。位置指定タイプの補完は、逐次補 完より前に指定することに注意してください。補完は左から右に評 価 さ れるので、 (常にマッチする) 逐次補完が先に指定されていると、 位置指定補完は決して行われなくなってしまいます。これは補完定 義 の際によくやるミスなので注意してください。

select パターンは、コマンドが特定の形式を持ったファイルだけを引 数にとるような場合に便利です。以下に例を示します。

> complete cc ’p/*/f:*.[cao]/’

これは ‘cc’ の引数を、‘.c’, ‘.a’, ‘.o’ で終わるファイルだけから 補 完します。以下のファイル名置換で述べるようなやり方でグロブパ ターンの否定を指定すれば、 select で特定のファイルを排除する こ ともできます。

> complete rm ’p/*/f:^*.{c,h,cc,C,tex,1,man,l,y}/’

こ れは大事なソースコードを ‘rm’ の補完に現れないようにします。 もちろんこの排除された名前を手で打ったり、 complete-word-rawlist-choices-raw などの編集コマンドを用いて補完の仕組みを変更す ることもできます (それぞれ該当の部分を参照)。

‘C’, ‘D’, ‘F’, ‘T’ 各リストは、それぞれ ‘c’, ‘d’, ‘f’, ‘t’ と似 て いますが、 select の引数の解釈の仕方が異なり、補完対象のファ イルを前置パス名が特定のものに限ります。たとえば、メールプロ グ ラ ム Elm は ‘=’ をユーザのメールディレクトリの省略名として用い ます。この場合 ‘elm −f =’ を ‘elm −f ~/Mail/’ であるかのよう に 補完するには

> complete elm c@=@F:$HOME/Mail/@

と すべきです。ここでは ‘/’ の代わりに ‘@’ を用い、 select 引数 を見やすくしています。またホームディレクトリの置換は単語の先 頭 でのみ動作するので、 ‘~’ の代わりに ‘$HOME’ を用いています。

suffix は標準では用意されていないサフィックス (スペースやディレ クトリに対する ‘/’ 以外) を単語補完用に追加するために用います。

> complete finger ’c/*@/$hostnames/’ ’p/1/u/@’

こ れは ‘finger’ の引数を、まずユーザのリストから補完し、それに ‘@’ を追加し、さらに ‘@’ の後を変数 ‘hostnames’ のリストから 補 完します。ここでも補完指定の順序に注意してください。

最後に、示唆に富む複雑な例を示しましょう。

> complete find \

’n/−name/f/’ ’n/−newer/f/’ ’n/−{,n}cpio/f/’ \
´n/−exec/c/’ ’n/−ok/c/’ ’n/−user/u/’ \
’n/−group/g/’ ’n/−fstype/(nfs 4.2)/’ \
’n/−type/(b c d f l p s)/’ \
´c/−/(name newer cpio ncpio exec ok user \
group fstype type atime ctime depth inum \
ls mtime nogroup nouser perm print prune \
size xdev)/’ \
’p/*/d/’

これは ‘−name’, ‘−newer’, ‘−cpio’, ‘ncpio’ に続く単語をファイル で補完し (最後の両者にマッチするパター ン に 注 意)、 ‘−exec’, ‘−ok’ に 続 く 単語をコマンドで補完し、 ‘user’ の後をユーザ名 で、‘group’ の後をグループ名で補完し、 ‘−fstype’ と ‘−type’ の 後 をそれぞれに与えたリストのメンバで補完します。また find に与 えるスイッチ達も与えたリストから補完し (c-型の補完を用いてい る こ と に注意)、それ以外のものすべてをディレクトリで補完します。 ふぅ。

補完指定は、対象となる単語がチルダ置換 (‘~’ ではじまる) や変 数 (‘$’ で は じまる) の場合は無視されることに留意してください。 complete は実験的な機能であり、文法はこのシェルの将来のバージョ ン では変更されるかもしれません。組み込みコマンド uncomplete の 説明も見てください。

continue

もっとも近い while または foreach ループの実行を継続します。現 在の行にある残りのコマンドは実行されます。

default:

switch 文のデフォルトの場合のラベルです。これはすべての case ラベルの後に置くべきです。

dirs [−l] [−n|−v]
dirs −S
|−L [filename] (+)

dirs −c (+)

最初の形式はディレクトリスタックを表示します。スタックの上が左 に来て、スタック先頭のディレクトリは現在のディレクトリになりま す。 −l を指定すると、出力の ‘~’ や ‘~name’ は、 home や、ユー ザ name のホームディレクトリのパス名に明示的に展開されます。 (+) −n を指定すると、エントリはスクリーンの終端に達する前に 桁 折りされます。 (+) −v を指定すると、各エントリが 1 行に 1 つず つ表示され、スタック内部での位置がエントリの前に表示されます。 (+) −n−v がひとつ以上指定されると −v が優先されます。

−S を 指定した 2 番目の形式では、ディレクトリスタックを cdpushd からなるコマンド列として filename に保存します。 −L を 指 定 すると、このシェルは filename を source します。このファイル は、以前に −S オプションや savedirs 機構で保存されたディレク ト リ スタックです。いずれの場合でも、 filename が与えられなければ dirsfile を用います。 dirsfile も 指 定 さ れ て い な け れ ば ~/.cshdirs を用います。

ログインシェルは ‘dirs −L’ と同様のことを起動時に行っており、ま た savedirs が設定されていれば終了前に ‘dirs −S’ と同様のことを 行います。通常 ~/.tcshrc だけが ~/.cshdirs の前に source される ので、 dirsfile~/.login ではなく ~/.tcshrc で設定すべ き で す。

最後の形式はディレクトリスタックをクリアします。

echo [−n] word ...

word をスペースで区切り、改行で終端させてシェルの標準出力に 書き出します。シェル変数 echo_style を指定す る と、 BSD や System V の echo のフラグやエスケープシーケンスをエミュレート する (しない) ようにできます。詳細は echo(1) を見てください。

echotc [−sv] arg ... (+)

arg で与えられた端末の機能 (termcap(5) を参照) を実行しま す。 た とえば ‘echotc home’ はカーソルをホームポジションに移動し、 ‘echotc cm 3 10’ はカーソルを 3 列 10 行に移動し、 ‘echotc ts 0; echo "This is a test."; echotc fs’ は "This is a test." を ステータス行に表示します。

arg が ‘baud’, ‘cols’, ‘lines’, ‘meta’, ‘tabs’ のいずれかであっ た 場合は、その機能の値を表示します ("yes" または "no" は、端末 がその機能を持っているかいないかを示します)。遅い端末でシェルス ク リプトの出力をより寡黙にしたり、コマンドの出力をスクリーンの 行数に制限したりするような場合には、以下のコマンドを使うと良 い でしょう。

> set history=‘echotc lines‘

> @ history−−

termcap 文字列はワイルドカードを含むことができますが、これは正 しく echo されません。シェル変数に端末機能文字列を設定すると き に は、以下の例のようにダブルクォートを用いてください。この例で は日付をステータス行に表示しています。

> set tosl="‘echotc ts 0‘"

> set frsl="‘echotc fs‘"
> echo −n "$tosl";date; echo −n "$frsl"

−s を指定すると、存在しない機能を指定したとき、エラーをおこさず に 空文字列を返します。 −v を指定するとメッセージが冗長になりま す。

else
end
endif

endsw

以下の foreach, if, switch, while 文の説明を見てくだ さ い。

eval arg ...

引数をシェルへの入力として扱い、残りのコマンドを現在のシェルの コンテキストで実行します。これは通常、コマンド置換や変数置換の 結果として生成されたコマンド列を実行する場合に用いられます。こ れはそれらの置換に先立って文法解析が行われてしまうため で す。 eval の利用例は tset(1) を見てください。

exec command

指定したコマンドを現在のシェルの代わりに実行します。

exit [expr]

指定した expr (で解説した式) の値で (expr が指定されていなけ れば status 変数の値で) シェルを終了します。

fg [%job ...]

指定したジョブ (あるいは引数がなければ現在のジョブ) をフォアグ ラ ウンドに移動します。停止状態にあるものは再開します。 job に はジョブで解説されているように、数値、文字 列、‘’, ‘%’, ‘+’, ‘−’ のどれかを指定できます。 run-fg-editor 編集コマンドも見て ください。

filetest −op file ... (+)

(ファイル問合わせ演算子で解説されている) ファイル問合わせ演 算 子 op を各 file に適用し、結果をスペース区切りのリストで返しま す。

foreach name (wordlist)
...

end

wordlist のメンバを name に順々に代入し、これと対応 す る end に挟まれた範囲のコマンドシーケンスを実行します。 (foreachend は 1 行に単独で現れなければなりません。) 組み込みコマン ド continue を用いるとループを途中で継続することができ、組み込 みコマンド break を用いるとループを途中で終了させることがで き ま す。 こ の コ マ ンドが端末から読み込まれると、一度ループを ‘foreach?’ プロンプト (あるいは prompt2) で読み込み、全体を 読 み終えてからループの各文を実行します。端末からの入力時にループ の途中でタイプミスをした場合は修正できます。

getspath (+)

システムの実行パスを表示します。 (TCF のみ)

getxvers (+)

実験的バージョンのプレフィックスを表示します。 (TCF のみ)

glob wordlist

echo と似ていますが、‘\’ でのエスケープを認識せず、また出力 で の単語区切りをヌル文字にします。単語リストをファイル名に展開す るためにプログラムからシェルを利用したいような場合に便利です。

goto word

word はファイル名と ‘label’ 形式の文字列を出力するコマンド置換 です。シェルは入力を可能なかぎりさかのぼり、 ‘label:’ 形式の行 ( 空白やタブが前置されていても良い) を検索し、その行の次から実 行を継続します。

hashstat

内部のハッシュテーブルが、これまでのコマンド探索にどの程度効率 的であったか (そして exec 類を使わずに済んだか) を示す統計行を 表示します。 path の各成分のうち、ハッシュ関数がヒットの可能性 が あるとしたものや、 ‘/’ で始まらないものに対して exec が試み られます。

vfork(2) のないマシンでは、単にハッシュバケツのサイズを表示しま す。

history [−hTr] [n]
history −S
|−L|−M [filename] (+)

history −c (+)

最 初の形式はイベントリストの履歴を表示します。 n を与えると、 新しい方最大 n 個のイベントを表示または保存します。 −h を指 定 すると、行頭の数字抜きでリストを表示します。 −T を指定すると、 タイムスタンプもコメントのかたちで表示されます。 (これを用いる と、 ‘history −L’ や ‘source −h’ でのロードに適したファイルが 作成できます。) −r を指定すると、表示の順番がデフォルトの古 い 順ではなく新しい順になります。

2 番目の形式で −S を指定すると、履歴リストを filename に保存し ます。シェル変数 savehist の最初の単語が数値に設定され て い る と、最大でその数値までの行数が保存されます。 savehist の 2 番目 の単語が ‘merge’ だった場合には、履歴リストが現存の履歴ファイル に マージされ、タイムスタンプ順にソートされます (デフォルトでは 現存のファイルを置き換えます)。 (+) マージは X Window System の よ うに、複数のシェルを同時に用いるような場合向けのものです。現 在は、シェルが行儀良く順々に終了するような場合でないと、マー ジ は成功しません。

−L を 指 定 す ると、シェルは filename を履歴リストに追加しま す。filename は以前に −S オプションや savehist 機構で保存された 履 歴リストファイルです。 −M−L と似ていますが、 filename の 内容は履歴リストにマージされ、タイムスタンプの順にソートされ ま す。いずれの場合でも、filename が与えられなければ histfile を用 い、 histfile も設定されていなければ ~/.history を用 い ま す。 ‘history −L’ はほとんど ‘source −h’ と同じですが、前者ではファ イル名を省略できます。

ログインシェルは ‘history −L’ と同様のことを起動時に 行っ て お り、 また savehist が設定されていれば終了前に ‘history −S’ と同 様のことを行います。通常 ~/.tcshrc だけが ~/.history の 前 に source されるので、 histfile~/.login ではなく ~/.tcshrc で 設定すべきです。

histlit が設定されていると、最初の形式と 2 番目の形式は履歴リス トを文字通りの (展開されない) かたちで表示、保存します。

最後の形式は履歴リストをクリアします。

hup [command] (+)

command を指定すると、 hangup シグナルが送られたときに終了する ようにして command を実行し、シェルが終了するときにそのコマ ン ド に hangup シグナルを送るようにします。コマンドによっては hangup に対するそれぞれ独自の反応を設定することがあり、これ は hup より優先されるかもしれません。引数を設定しないと (シェルス クリプト内部のみで許されます)、そのシェルは残りのスクリプト の 途中で hangup シグナルを受け取ると終了するようになります。シグ ナル処理と組み込みコマンド nohup の部分も見てください。

if (expr) command

expr (で解説した式) の評価結果が真なら、 command が実行さ れ ま す。 command に対する変数置換は、実行に先だって if コマンド の残りの部分と同時に行われます。 command は単純なコマンドで な ければならず、エイリアス、パイプライン、(括弧で括られた / てい ない) コマンドリストは指定できません。ただし引数は指定で き ま す。 expr が偽で、 command が実行されない場合でも入出力リダイ レクションは行われてしまいます。これはバグです。

if (expr) then
...
else if (
expr2) then
...
else

...

endif

指定した expr が真の場合、最初の else までのコマンド 群 が 実 行 さ れます。 expr が偽で expr2 が真の場合は、 2 番目の else までのコマンド群が実行されます。以下同じです。 else-if の ペ ア は いくつでも指定できますが、 endif はひとつしかいりませ ん。また else 部は省略可能です。 (elseendif の各単語は入力 行 の 先頭にしか置けません。 if は入力行の先頭に単独で置くか、 else の後に置くかしなければなりません。)

inlib shared-library ... (+)

shared-library を現在の環境に追加します。共有ライブラリを削 除する方法はありません。 (Domain/OS のみ)

jobs [−l]

アクティブなジョブをリストします。 −l を指定すると、通常の情報 に加えてプロセス ID もリストします。 TCF システムでは、各 ジョ ブが実行されているサイトも表示します。

kill [−s signal] %job|pid ...

kill −l

1 番目または 2 番目の形式は signal を (何も指定されな ければ TERM (terminate) シグナルを) 指定したジョブやプロセスに 送 り ま す。 job にはジョブで解説されているように、数値、文字 列、‘’, ‘%’, ‘+’, ‘−’ のどれかを指定できます。シグナルは数値ま た は名前 (/usr/include/signal.h にあるものから前の ‘SIG’ を取 り除いたもの) のいずれかで与えます。デフォルトの job はあり ま せん。単に ‘kill’ としても、現在のジョブへはシグナルを送りませ ん。 TERM (terminate) または HUP (hangup) シグナルを送った場合 は、 そのジョブやプロセスには CONT (continue) シグナルも送信さ れます。 3 番目の形式はシグナルの名前をリストします。

limit [−h] [resource [maximum-use]]

現在のプロセスと、現在のプロセスが生成するプロセスが消費する資 源 が、 指 定 し た resource に 対 してプロセスひとつにつき maximum-use を越えないようにします。 maximum-use を指定しな い と、current limit が表示されます。 resource を指定しないと、す べての制限値を表示します。 −h フラグを指定 す る と、 current limit の代わりに hard limit を用います。 hard limit は current limit の限度を与えます。 hard limit はスーパユーザしか増やすこ と ができませんが、 current limit は一般ユーザも可能な範囲内で 増減できます。

現在制御できる資源 (OS がサポートしている場合) は次の通りです:

cputime

プロセスひとつにつき利用できる cpu 秒

filesize

作成できる単一ファイルの最大サイズ

datasize

プログラムテキストの終端を越えて sbrk(2) で増やせるデー タ領域+スタック領域の最大サイズ

stacksize

自動的に拡張されるスタック領域の最大サイズ

coredumpsize

生成されるコアダンプの最大サイズ

memoryuse

プ ロセスひとつにいちどきに割り当てることのできる物理メ モリの最大サイズ

descriptors or openfiles

このプロセスが開ける最大ファイル数

concurrency

このプロセスの最大スレッド数

memorylocked

プロセスが mlock(2) を使用してロック可能なメモリの最 大 サイズ

maxproc

このユーザ ID が同時に使用可能な最大プロセス数

sbsize

このユーザが使用可能な最大ソケットバッファサイ ズ

maximum-use は浮動小数点値または整数値に、単位をつけて指定し ま す。 cputime 以外の制限値は、‘k’ または ‘kilobytes’ (1024 バイ ト) をデフォルトの単位としています。単位とし て ‘m’ ま た は ‘megabytes’ を用いることもできます。 cputime のデフォルトの単位 は ‘seconds’ です。分を表す ‘m’, 時間を表す ‘h’, 分 + 秒を表 す ‘mm:ss’ の形式などを用いることもできます。

resource も単位も、他と区別がつく範囲で後半部を省略可能です。

log (+)

シェル変数 watch を表示し、そこにリストアップされてい るユーザがログインしていればログインした時刻に関わらず報告しま す。 watchlog についても参照してください。

login

ログインシェルを終了して、/bin/login (訳注: FreeBSD で は /usr/bin/login です) のインスタンスで置き換えます。これはロ グオフする方法のひとつであり、sh(1) との互換性を保つ意味もあり ます。

logout

ログインシェルを終了します。ignoreeof がセットされてい る場合に特に役立つでしょう。

ls−F [−switch ...] [file ...] (+)

‘ls −F’ と同じようにファイルのリストを表示しますが、ずっと高速 です。各種の特別なファイル形式は特殊文字を用いて以下のように示 されます。

/

ディレクトリ

*

実行可能

#

ブロック型デバイス

%

キャラクタ型デバイス

|

名前付きパイプ (名前付きパイプのあるシステムでのみ)

=

ソケット (ソケットのあるシステムでのみ)

@

シンボリックリンク (シンボリックリンクのあるシステムで のみ)

+

隠しディレクトリ (AIX のみ) またはコンテ キ ス ト 依 存 (HP/UX のみ)

:

ネットワーク特殊型 (HP/UX のみ)

シェル変数 listlinks がセットされている場合は、シンボリックリン クに関してより詳しく表示されます (もちろん、シンボリックリン ク を持つシステムでだけです)。

@

ディレクトリでないものへのシンボリックリンク

>

ディレクトリへのシンボリックリンク

&

どこへのリンクでもないシンボリックリンク

listlinks はシンボリックリンクの指し示すファイルが存在するパー ティションのマウントを引き起こすため、ls−F を遅くしてしま い ま す。

も しシェル変数 listfrags が ‘x’, ‘a’, ‘A’ のいずれかにセットさ れているか、それらの組合せ (たとえば ‘xA’) にセットされている場 合 は、 こ れ が ‘ls −xF’ や ‘ls −Fa’、もしくは組み合わせて ‘ls −FxA’ のように ls−F のフラグとして使われます。‘ls −C’ がデ フォ ルトでないマシンでは listflags が ‘x’ を含む場合には ls −xF’ の ように、そうでなければ ls −F は ‘ls −CF’ のように振舞い ま す。 ls −F は、何らかのスイッチが与えられた場合には ls(1) に引数を渡 すので、‘alias ls ls−F’ は通常、正しく動作します。

組み込みの ls−F はファイルタイプや拡張子によってファイル名を 色 分 け す る こ と が できます。シェル変数 color tcsh と環境変数 LS_COLORS を参照してください。

migrate [site] pid|%jobid ... (+)

migrate −site (+)

最初の形式では指定したプロセスまたはジョブを、指定した場所もし く は システムパスによって決定されるデフォルトの場所に移動しま す。

2 番目の形式は ‘migrate −site $$’ と同じ意味を持ちます。これは 現 在のプロセスを指定した場所に移動します。シェルはその tty を 失わないことになっているので、シェル自身を移動することは予期し ない動作の原因となります。(TCF のみ)

newgrp [] group (+)

‘exec newgrp’ と同じ意味をもちます。newgrp(1) を参照してくださ い。シェルがこれを使うことができるようにコンパイルされている場 合にのみ使用可能です。シェル変数 version を参照してください。

nice [+number] [command]

シェ ルのスケジューリング優先度を number に設定するか、 number が指定されていない場合は 4 に設定します。command をつける と、 コ マンド command を適切な優先度で実行します。 number が大きい ほど、そのプロセスが獲得する CPU 時間は短くなりま す。 スー パ ユーザは ‘nice −number ...’ とすることにより負の値を設定するこ とができます。コマンドは常にサブシェルから実行され、コマンドに は単純な if 文の場合と同じ制限が課されます。

nohup [command]

command をつけると、コマンド command をハングアップシグナルを 無視して実行するようにします。これらのコマンドが nohup を オー バライドしてハングアップシグナルに対して自分自身で応答するよう にすることがあることに注意してください。引数のない場合 (シェル ス ク リ プト中でのみ許されます)、スクリプトのそれ以降の部分で シェルはハングアップシグナルを無視するようになります。シグナル 処理と、組み込みコマンド hup についても参照してください。

notify [%job ...]

ユー ザに非同期的に指定したジョブ (%job が省略された場合はカレ ントジョブ) の状態に何らかの変化があった場合に非同期的に、通知 するようにします。この場合は通常と異なり、次のプロンプトが出力 されるまで待ちません。 jobJobs に記述されているよ う に 番 号、文字列、‘’, ‘%’, ‘+’, ‘−’ のどれでも許されます。シェル変数 notify も参照してください。

onintr [|label]

割り込み時のシェルの動作を制御します。引数がなければ、シェルの デフォルトの割り込み時の動作に設定されます。この場合は、シェル スクリプトは割り込みで中断され、コマンド実行時はコマンドの実行 を 中断してコマンド入力待ちに戻ります。 ‘-’ が指定された場合は すべての割り込みが無視されます。 label を指定すると、割り込 み が 発 生したり子プロセスが割り込みで中断したりした場合に ‘goto label’ を実行します。

onintr は、システムのスタートアップファイル (FILES を 参 照) で割り込みが禁止されている場合には無視されます。

popd [−p] [−l] [−n|−v] [+n]

引数がなければ、ディレクトリスタックからひとつ値を取り出して、 そこに移動します。‘+n’ のように数値を与えると、ディレクトリ ス タックの n’ 番目のエントリを破棄します。

また、すべての形式の popddirs のようにディレクトリスタッ クの最後のエントリを表示します。シェル変数 pushdsilent はこ れ を 抑制し、 -p フラグによって pushdsilent の動作をオーバライド することができます。 −l, −n, −v フラグは popd でも、dirs と 同 じ意味をもちます。

printenv [name] (+)

す べての環境変数の名前と値を表示するか、name を与えた場合には 環境変数 name の値を表示します。

pushd [−p] [−l] [−n|−v] [name|+n]

引数がなければ、ディレクトリスタックの一番上にあるふたつのエン ト リを入れ換えます。もし pushdtohome がセットされていれば、引 数なしの pushdcd のように ‘pushd ~’ を行います。 (+) name をつけると、現在の作業ディレクトリをディレクトリスタックに積ん で name に移動します。もし name が ‘−’ であれば、ひとつ前の 作 業 ディレクトリとして解釈されます (ファイル名置換を参照)。 (+) dunique がセットされていれば、pushd は、スタックに name を積む 前にすべてのそれと同じものを指すエントリをスタックから除去しま す。(+) ‘+n’ として番号をつけると、ディレクトリスタックの n 番 目 の エ ン ト リ が トッ プにくるようにスタックを回転します。 dextract がセットされている場合、‘pushd +n’ を行うと n 番目 の ディレクトリが展開されて、スタックのトップに移動されます。(+)

また、すべての形式の pushddirs と同じようにディレクトリ スタックの最終的な内容を表示します。シェル変数 pushdsilent を セットすることでこれをやめることができ、またさらにこれは -p フ ラグによってオーバライドすることが可能です。pushd に対する −l, −n, −v フラグの意味は dirs のものと同様です。(+)

rehash

path 変数の示すディレクトリの内容を保持する内部ハッ シュテーブルを再構成します。これはログインしている間に新しいコ マンドが path の示すディレクトリに追加された場合に必要です。こ れはあなたが自分の個人的なディレクトリにコマンドを追加した場合 か、システム管理者がシステムディレクトリの内容を変更した場合に のみ行われるべきです。このコマンドはまた、チルダ記号を用 い た ホームディレクトリ記述のキャッシュもフラッシュします。

repeat count command

指 定 さ れ た コ マ ン ド commandcount 回繰り返し実行しま す。command に指定するものは一行 if 文で指定する command と 同 様の制限を受けます。入出力リダイレクションは count が 0 であっ ても、必ず一回だけ処理されます。

rootnode //nodename (+)

ルートノードを //nodename に変更します。結果と し て ‘/’ は ‘//nodename’ として解釈されます。 (Domain/OS のみ)

sched (+)
sched
[+]hh:mm command (+)

sched −n (+)

最初の形式は、予定されているイベントのリストを表示します。シェ ル変数 sched は予定されているイベントのリストを表示する形式 を 設定するためにセットされます。 3 番目の形式は command を予定さ れているイベントのリストに追加します。たとえば、

> sched 11:00 echo It\’s eleven o\’clock.

は、午前 11 時に ‘It’s eleven o’clock.’ を表示させます。時間 は 12 時間制の AM/PM を指定する書式でも構いません。

> sched 5pm set prompt=’[%h] It\’s after 5; go home: >’

また、現在時刻からの相対的な時間でも構いません。

> sched +2:15 /usr/lib/uucp/uucico −r1 −sother

相 対的な指定では AM/PM を使うべきではありません。 3 番目の書式 では n 番のイベントをリストから削除します。

> sched

1 Wed Apr 4 15:42 /usr/lib/uucp/uucico −r1 −sother
2 Wed Apr 4 17:00 set prompt=[%h] It’s after 5; go home: >
> sched −2
> sched
1 Wed Apr 4 15:42 /usr/lib/uucp/uucico −r1 −sother

予 定イベントのリストにあるコマンドは、コマンドがリストに入れら れてから最初のプロンプトが出たあとで実行されます。実行の正確 な 時 間を過ぎてしまうことはありますが、次のプロンプトでは遅れたコ マンドが実行されます。シェルがユーザのコマンド入力を待ってい る 間 に実行予定時間が来たコマンドは直ちに実行されます。しかし、既 に実行されているコマンドの実行に割り込むことはできませんし、 予 定されていたコマンドの実行についても同様です。

この仕組みはいくつかの Unix システムに実装されている at(1) に似 ていますが同じではありません。指定した時刻通りにコマンドが実 行 で きないことがあるのは非常に大きな短所です。しかしこの仕組みの 長所は、sched はシェルから直接実行でき、シェル変数やその他の 資 源 へのアクセスができるということです。これは時刻によってユーザ の作業環境を変化させることを可能にします。

set
set
name ...
set
name=word ...
set [−r] [−f|−l]
name=(wordlist) ... (+)
set
name[index]=word ...
set −r
(+)
set −r
name ... (+)

set −r name=word ... (+)

1 番目の形式ではすべてのシェル変数の値を表示します。複数の単語 か ら なる値を持つ変数は括弧で囲まれた値のリストとして表示しま す。 2 番目の形式では name に空文字列をセットします。 3 番目の 形 式では name に単一の単語 word をセットします。 4 番目の形式 では namewordlist で示した単語のリストをセットします。すべ ての場合においてコマンド置換やファイル名置換が値に対して行われ ます。−r が指定された場合には、値は読み取り専用でセットされ ま す。−f または −l が指定された場合には、単語リストの中での順番 を保ちながら重複した単語が取り除かれます。 −f は最初に出てきた も の を リストに残し、−l は最後に出てきたものをリストに残しま す。 5 番目の書式では変数 name の index 番目の要素に word を セットします。この場合この要素は既に存在していなければなりませ ん。 6 番目の書式は読み取り専用にセットされているシェル変数 の 名 前の一覧を表示します。 7 番目の書式は name を、値の有無に関 わらず読み取り専用にセットします。 8 番目の書式は 3 番目の書式 と同じですが、同時に name を読み取り専用にセットします。

複数の変数をセットしたり、読み取り専用にセットするためにひと つの set コマンドへの引数を繰り返すことができます。しかし、 変 数への代入処理を開始する前に変数展開処理が一度に行われることに 注意してください。また、‘=’ は namewordの両方と接してい る か、空白で区切られているかのどちらかであり、片方だけと接しては いけないことに注意してください。組み込みコマンド unset につ い ても参照してください。

setenv [name [value]]

引 数がなければ、すべての環境変数の名前と値を表示します。 name を与えられた場合は、環境変数 name の値を value にセッ ト す る か、value がなければ空文字列にセットします。

setpath path (+)

setpath(1) と同様です。(Mach のみ)

setspath LOCAL|site|cpu ... (+)

システム実行パスを設定します。(TCF のみ)

settc cap value (+)

シェ ル に端末ケーパビリティ cap (termcap(5) で定義されたもの) は値 value を持つことを教えます。妥当性のチェックは行われま せ ん。 Concept 端末のユーザは、一番右の桁で適切な折り返しを行う ために ‘settc xn no’ を行う必要があるかもしれません。

setty [−d|−q|−x] [−a] [[+|]mode] (+)

シェルが変更してはならない tty モード (端末管理を参照) を制 御 し ま す。 −d, −q, −xsetty に、それぞれ ‘edit’, ‘quote’, ‘execute’ 時の tty モードをセットします。 −d, −q, −x が指定 さ れない場合、 ‘execute’ が使用されます。

他 の 引 数 が なければ、setty はオン (‘+mode’) またはオフ (‘-mode’) に固定されているモードを一覧表示します。使用可 能 な モードはシステムごとに異なるため、表示も異なります。 −a をつけ ると、固定されているかどうかにかかわらずすべての tty モード を 一覧表示します。 +mode, mode, mode は、それぞれモード mode を オンに固定、オフに固定、非固定にし ま す。 た と え ば、‘setty +echok echoe’ は ‘echok’ をオンに固定し、シェルがコマンドを実 行する際に ‘echoe’ モードをオンにしたりオフにしたりできるよ う にします。

setxvers [string] (+)

string に試験的なバージョンプレフィックスをセットし、 string が省略された場合にはそれを削除します。(TCF のみ)

shift [variable]

引数がなければ、argv[1] を破棄してメンバを左にず ら し ま す。 argv がセットされていなかったり、値が 1 つもなかった場合にはエ ラーになります。変数名 variable を指定すると、変数 variable に 対して同じ動作を行います。

source [−h] name [args ...]

name からコマンドを読み取って実行します。コマンドはヒストリリ ストには残されません。もし引数 args が与えられればそれは argv に 入れられます。(+) source コマンドは入れ子にすることができま す。もし入れ子のレベルがあまりに深くなり過ぎると、シェルはファ イル記述子の不足を起こすでしょう。 source でのエラーはすべての 入れ子になっている source の実行を停止します。 −h を付けると、 コマンドを実行するかわりに ‘history −L’ のようにヒストリリスト に入力されます。

stop %job|pid ...

指定したバックグラウンドで実行されているジョブまたはプロセスを 停止します。job は番号か、文字列か、あるいはジョブに示されてい る ‘’, ‘%’, ‘+’, ‘−’ のいずれかを指定します。デフォルトの job は存在しないので、ただ ‘stop’ を実行するだけではカレントジョブ を停止することにはなりません。

suspend

^Z で送られるような stop シグナルが送られたかの よ う に、 その場でシェルを停止させます。これは多くの場合 su(1) で起 動したシェルを停止するのに用いられます。

switch (string)
case
str1:

...

breaksw

...
default:

...

breaksw

endsw

指定された文字列 string に対して、各 case ラベルを連 続 的 に マッ チさせます。string にはそれに先だってコマンド置換と ファイル名置換が行われます。case ラベルには変数置換が行わ れ、 ファ イル名メタキャラクタの ‘*’, ‘?’, ‘[...]’ を用いることがで きます。 ‘default’ ラベルが出てくるまでにどの case ラベルと も マッ チ しなかった場合、default ラベルの後から実行が開始されま す。各 case ラベルと default ラベルは行の最初になければなり ま せん。 breaksw コマンドは実行を中断して endsw の後から再開させ ます。 breaksw を使用しない場合は C 言語と同様に case ラベルや default ラベルを通過して実行が続けられます。もしマッチするラベ ルも default ラベルも存在しない場合は、実行は endsw の後から再 開されます。

telltc (+)

端 末ケーパビリティのすべての値を一覧表示します (termcap(5) を 参照)。

time [command]

コマンド command (エイリアスやパイプライン、コマンドリストや括 弧 で くくったコマンドリストでない単純なものでなければなりませ ん) を実行し、変数 time の項で説明する形式で、実行所用時間に関 する要約を表示します。必要ならば、コマンド終了時に時間を表示す るための追加のシェルが生成されます。command を指定しなかった場 合は、現在のシェルとその子プロセスが使用した時間に関する要約が 表示されます。

umask [value]

8 進数で指定されたファイル作成マスクを value に設定します。 一 般的なマスクの値としては、グループにすべての権限を与え、その他 には読み取りと実行のみを許可する 002 や、グループとその他に 読 み取りと実行を許可する 022 があります。 value を省略すると、現 在のファイル作成マスクを表示します。

unalias pattern

パターン pattern にマッチするすべてのエイリアスを削除しま す。 し たがって ‘unalias *’ とすることですべてのエイリアスを削除で きます。 unalias するものがなかった場合もエラーにはな り ま せ ん。

uncomplete pattern (+)

パ ターン pattern にマッチするすべての補完対象を削除します。し たがって ‘uncomplete *’ とすることですべての補完対象を削除しま す。 uncomplete するものがなかった場合もエラーにはなりません。

unhash

実行プログラムの検索を高速化する内部ハッシュテーブルの 使用を禁止します。

universe universe (+)

universe を universe に設定します。(Masscomp/RTU のみ)

unlimit [−h] [resource]

リ ソース resource の制限を解除します。resource が指定されない 場合は、すべてのリソースに関する制限が解除されます。 −h が指定 さ れ ると、対応するハードリミットが解除されます。これはスーパ ユーザのみが行うことができます。

unset pattern

パターン pattern にマッチするすべての変数を、読み取り専用の 場 合 も含めて削除します。したがって ‘unset *’ とすることによって 読み取り専用のものも含めてすべての変数が削除されますが、これは 良 いことではありません。 unset するものがなかった場合もエラー にはなりません。

unsetenv pattern

パターン pattern にマッチするすべての環境変数を削除します。 し たがって ‘unsetenv *’ とすることによってすべての環境変数を削除 することができますが、これは良いことではありません。 unsetenv する環境変数がなかった場合もエラーにはなりません。

ver [systype [command]] (+)

引数が与えられなかった場合は SYSTYPE を表示します。 systype を 指定した場合は、SYSTYPEsystype に設定します。systype と コ マンド command を指定した場合は、systypecommand を実行しま す。systype は ‘bsd4.3’ か ‘sys5.3’ の い ず れ か で す。 (Domain/OS のみ)

wait

すべてのバックグラウンドジョブの終了を待ちます。対話的に シェルが実行されている場合、割り込みにより wait を停止すること ができます。この際シェルはまだ終了していないすべてのジョブの名 前とその番号を表示します。

warp universe (+)

universe を universe に設定します。(Convex/OS のみ)

watchlog (+)

組み込みコマンド log の別名です (そちらも参照)。コンパイル時に 使用できるように設定されている場合にのみ使用可能です。シェル変 数 version を参照してください。

where command (+)

コマンド command について、エイリアスや組み込みコマンド、 path にある実行可能ファイルを含めてシェルの知っているすべての実体を 一覧表示します。

which command (+)

コマンド command が、path の検索などの処理のあとで、実際に実行 されるコマンドを表示します。組み込みのものは which(1) とほとん ど同じですが、 tcsh のエイリアスや組み込みコマンドについても正 し く 報 告 し、 ま た 10 から 100 倍高速です。編集コマンド which-command についても参照してください。

while (expr)
...

end

指定された式 expr (で述べられている式) の評価結果 が 0 で ない限り、while とそれに対応する end の間のコマンドを繰り返 し実行します。 whileend はその行に単独で書かれなければなり ま せん。 breakcontinue は、ループを途中で中断したり再開す る場合に使用します。入力が端末の場合は、foreach の場合と同じよ うに、ループの内容を一通り入力するまでユーザにプロンプトが出力 されます。

特別なエイリアス (+)

これらのエイリアスは、設定されている場合それぞれ指示された時刻に自動 的 に実行されます。これらのエイリアスは、初期状態ではすべて未定義です。

beepcmd

シェルが端末ベルを鳴らしたいときに実行されます。

cwdcmd

作業ディレクトリが変更されるたびに実行されます。たとえ ば、ユーザが X Window System 上で作業していて、 xterm(1) お よ び twm(1) のように、タイトルバーをサポートしているリペアレント ウィンドウマネージャを使用していて、

> alias cwdcmd ’echo −n "^[]2;${HOST}:$cwd ^G"’

を実行すると、シェルは、動作中の xterm(1) のタイトルを ホ ス ト 名、 コロン、そしてカレント作業ディレクトリのフルパスに変更しま す。これをもっと面白く実行するには、次のようにします。

> alias cwdcmd ’echo −n "^[]2;${HOST}:$cwd^G^[]1;${HOST}^G"’

こ うすると、ホスト名および作業ディレクトリはタイトルバーに変更 されますが、アイコンマネージャのメニューにはホスト名しか表示 さ れなくなります。

cwdcmd 中に cd, pushd あるいは popd を置くと、無限ループを引き 起こす可能性があることに注意してください。そういうことをする 人 は、 そ う してしまった代償は受けるものだというのが作者の見解で す。

jobcmd

各コマンドが実行される前またはコマンドが状態を変える前 に 実行します。 postcmd と似ていますが、組み込みコマンドでは表 示しません。

> alias jobcmd ’echo −n "^[]2\;\!#^G"’

として vi foo.c を実行すると、コマンド文字列が xterm タイ ト ル バーに表示されます。

helpcommand

run-help 編集コマンドが実行します。ヘルプが探すコマンド名は、 単一の引数として渡されます。たとえば、

> alias helpcommand ’\!:1 --help’

とすると、GNU のヘルプ呼び出し方法を使った、コマンドそのもの の ヘ ルプ表示が実行されます。現在のところ、たくさんのコマンドを書 いたテーブルを使う以外には、いろいろな呼び出し方 法 ( た と え ば、Unix の ‘-h’ オプション)を使い分ける簡単な方法はありませ ん。

periodic

tperiod 分おきに実行されます。このエイリアスは、たとえば新しい メールが届いたというような、日常的ではあってもそれほど頻繁には 起こらない変更点をチェックするのに便利な手段を提供します。たと えば、

> set tperiod = 30

> alias periodic checknews

と す る と、30 分おきに checknews(1) プログラムが起動します。 periodic が設定されているが、tperiod が設定されていないかあるい は 0 に設定されている場合、periodicprecmd のように振る舞い ます。

precmd

プロンプトが表示される直前に実行されます。たとえば、

> alias precmd date

とすると、各コマンド用にシェルプロンプトが表示さ れ る 直 前 に date(1) が起動します。 precmd に何を設定できるかには制限はあり ませんが、慎重に選んでください。

postcmd

各コマンドが実行される前に実行されます。

> alias postcmd ’echo −n "^[]2\;\!#^G"’

とすると、vi foo.c を実行すると xterm のタイトルバーにこのコ マ ンド文字列が書かれます。

shell

スクリプト中でインタプリタを指定していない実行可能スク リプト用のインタプリタを指定します。最初の単語は、使用したいイ ン タ プ リ タ へ の フ ル パ ス で なくてはなりません (たとえ ば、‘/bin/csh’ や ‘/usr/local/bin/tcsh’)。

特別なシェル変数

このセクションで述べる変数は、シェルにとっては特別な意味のある も の で す。

シェ ル は、 起動時に次の変数を設定します。addsuffix, argv, autologout, command, echo_style, edit, gid, group, home, loginsh, oid, path, prompt, prompt2, prompt3, shell, shlvl, tcsh, term, tty, uid, user そし て version です。これらの変数は、起動後はユーザが変更しない限り変更され ません。シェルは、必要があれば、cwd, dirstack, owd および status を更新 し、ログアウト時に logout を設定します。

シェルは、シェル変数 afsuser, group, home, path, shlvl, term お よ び user と同名の環境変数との同期を取ります。つまり、環境変数が変更される と、シェルは対応するシェル変数を合致するように変更するのです (シェル 変 数が読み込み専用でない場合です)。また、その逆も行います。ここで、cwdPWD は同じ意味を持ちますが、この方法では同期は行われないということに 注 意 してください。また、シェルは、自動的に pathPATH の違った形式を相 互変換するということにも注意してください。

addsuffix (+)

これが設定されている場合、ファイル名が補完の際に完全に一致する と きに、一致したものがディレクトリの場合には末尾に ‘/’ を付け 加え、通常のファイルの場合には末尾にスペースを加えます。デフォ ルトで設定されています。

afsuser (+)

こ れが設定されている場合、autologout の autolock 機能は、ロー カルのユーザ名の代わりにこの値を kerberos 認証用に使います。

ampm (+)

これが設定されている場合、時刻が 12 時間単位の AM/PM フォー マットですべて表示されます。

argv

シェルへの引数です。位置パラメータは argv から取られま す。すなわち、‘$1’ は ‘$argv[1]’ に置き換えられるといった具 合 です。デフォルトで設定されていますが、通常対話型シェルでは空で す。

autocorrect (+)

これが設定されている場合は、補完 を 試 み る 前 に 自 動 的 に spell-word 編集コマンドが実行されます。

autoexpand (+)

こ れ が 設 定 さ れ て い る 場合は、補完を試みる前に自動的に expand-history 編集コマンドが実行されます。

autolist (+)

これが設定されている場合は、あいまいな補完を行った後、可能性の あ るものをリストします。 ‘ambiguous’ が設定されている場合、可 能性のあるものをリストするのは、補完によって何の文字も追加され なかった場合に限られます。

autologout (+)

1 番目の単語は、時間を分単位で表しており、この時間以上の間、何 の処理もしていなければ自動的にログアウトされます。2 番目の単語 はオプションであり、ここで指定された時間以上の間、何の処理もし ていなければ自動ロックがかかります。シェルが自動的にログアウト す る 際 に は、シェルは ‘auto-logout’ と出力し、logout 変数を ‘automatic’ に設定し、そして終了します。シェルが自動的にロック されたユーザは、作業を続けたいなら自分のパスワードを入力するこ とが必要になります。5 回入力に失敗すると、自動的にログアウトし ます。ログインシェルおよびスーパユーザのシェルでは、デフォルト で ‘60’(60 分後自動的にログアウトし、ロックはかけない) に設 定 されています。しかし、シェルがウィンドウシステムのもとで動いて いると認識した場合 (すなわち、DISPLAY 環境変数が設定され て い る) や、 tty が疑似 tty(pty) である場合、あるいは、シェルがそ のようにはコンパイルされていない場合 (version シェル変数 を 参 照) には設定されません。 afsuser および logout シェル変数も参 照してください。

backslash_quote (+)

これが設定されている場合、バックスラッシュ (‘\’) は常 に ‘\’, ‘’’, および ‘"’ でクォートされます。これによって、複雑なクォー トをする手間が緩和されますが、 csh(1) スクリプト中で文法エラー をひき起こす可能性が出てきます。

catalog

メッセージカタログのファイル名です。これが設定されて いる場合、デフォルトの ‘tcsh’ の代りに ‘tcsh.${catalog}’ を、 メッセージカタログとして tcsh は使用します。

cdpath

カレントディレクトリ中にサブディレクトリが見つからな かった場合に、 cd が探索すべきディレクトリのリストです。

color

これが設定されている場合、組み込みコマンド ls−F 用の カ ラー 表示を有効にし、−−color=autols に渡します。あるいは、 ただ 1 つのコマンドに対してカラー表示を有効にするため、ls−F ま たは ls のみに設定することができます。何に対しても設定しない場 合は、(ls−F ls) に対して設定したのと等価です。

colorcat

これが設定されている場合は、NLS メッセージファイルに対し て カ ラー用エスケープシーケンスを有効にします。これによって、色のつ いた NLS メッセージが表示されます。

command (+)

これが設定されている場合、シェルに渡されたコマンドは、 -c フラ グ (そちらも参照) をつけたものになります。

complete (+)

こ れが ‘enhance’ に設定されている場合、補完は、 1) 大文字小文 字を無視し、2) ピリオド、ハイフン、およびアンダス コ ア (‘.’, ‘-’, ‘_’) を単語の区切り文字とみなし、ハイフンとアンダスコアを 等価なものとみなします。 ‘igncase’ に設定された場合、補完は 大 文字小文字を区別しません。

continue (+)

コマンドリストに対してこれが設定されている場合、シェルはリスト されているコマンドを継続実行し、新たにコマンドを開始しません。

continue_args (+)

continue と同じですが、シェルは次のコマンドを実行します:

echo ‘pwd‘ $argv > ~/.<cmd>_pause; %<cmd>

correct (+)

‘cmd’ に設定されている場合、コマンドは自動的にスペル訂正されま す。 ‘complete’ に設定されている場合、コマンドは自動的に補完さ れ ます。 ‘all’ に設定されている場合、コマンドライン全体が訂正 されます。

cwd

カレントディレクトリのフルパス名です。シェル変数 dirstack および owd も参照してください。

dextract (+)

こ れ が 設定されている場合、‘pushd +n’ はディレクトリを先頭に 持っていくのではなく、ディレクトリスタックから n 番目のディ レ クトリを取り出します。

dirsfile (+)

‘dirs −S’ および ‘dirs −L’ がヒストリファイルを探すデフォルト の場所です。設定していない場合は、~/.cshdirs が使われます。 通 常、~/.tcshrc の方が ~/.cshdirs よりも先にソースとして使われる ため、dirsfile は、~/.login ではなく ~/.tcshrc 中で設定すべ き です。

dirstack (+)

ディ レ ク ト リ ス タッ ク 上 の 全 ディ レクトリの配列です。 ‘$dirstack[1]’ はカレントディレクトリであり、‘$dirstack[2]’ は スタック上の最初のディレクトリといった具合です。カレントディレ クトリは ‘$dirstack[1]’ ですが、ディレクトリスタックの置換では ‘=0’ であるなどということに注意してください。dirstack を設定す ることでスタックを任意に変更することができますが、最初の要素 ( カ レ ントディレクトリ) は常に正しいものになります。シェル変数 cwd および owd も参照してください。

dspmbyte (+)

‘euc’ に設定されている場合、EUC-kanji(Japanese) コードで表示お よ び 編 集 ができるようになります。 ‘sjis’ に設定されている場 合、Shift-JIS(Japanese) コードで表示および編集ができるようにな ります。 ‘big5’ に設定されている場合、Big5(Chinese) コードで表 示および編集ができるようになります。 ‘utf8’ に設定されている場 合、Utf8(Unicode) コードで表示および編集ができるようになりま す。次のようなフォーマットに設定されている場合、独自のマルチバ イトコードフォーマットで表示および編集ができるようになります:

> set dspmbyte = 0000....(256 bytes)....0000

テー ブ ル に は ちょうど 256 バイト必要です。 256 文字それぞれ は、ASCII コード 0x00, 0x01, ... 0xff に (左から右に向 かっ て) 対 応 し ています。各キャラクタは、数値 0, 1, 2, 3 に設定されま す。各数字には次のような意味があります:
0 ... マルチバイト文字に対しては使われません。
1 ... マルチバイト文字の最初の 1 バイトに対して使われます。
2 ... マルチバイト文字の 2 バイト目に対して使われます。
3 ... マルチバイト文字の 1, 2 バイト両方に対して使われます。

使用例:
‘001322’ に設定した場合、最初の文字 (すなわち、ASCII コー ド で 0x00) と 2 番目の文字 (すなわち、ASCII コードで 0x01) は ‘0’ に 設定されます。つまり、マルチバイト文字に対してはこれらの文字 は 使 用しません。 3 番目の文字 (0x02) は ‘2’ に設定されます。これ は、マルチバイト文字の最初の 1 バイトにこの文字が使用されること を 表しています。 4 番目の文字 (0x03) は ‘3’ に設定されます。こ の文字は、マルチバイト文字の 1 バイト目にも 2 バイト目にも使 用 されます。 5 番目および 6 番目の文字 (0x04, 0x05) は ‘2’ に設定 されます。これは、これらの文字がマルチバイト文字の 2 バイト目に 使用されることを表しています。

GNU fileutils バージョンの ls では、-N ( --literal ) オプション がついていないとマルチバイト文字のファイル名を表示できませ ん。 も し、fileutils バージョンを使っている場合は、dspmbyte の 2 番 目の文字を "ls" に設定してください。そうしない と、 た と え ば "ls-F -l" でマルチバイト文字のファイル名が表示できません。

注:
この変数が使用可能であるのは、 KANJI と DSPMBYTE がコンパイル時 に定義された場合だけです。

dunique (+)

これが設定されている場合、pushd は、ディレクトリ名をスタックに 置く前に name である任意の要素をスタックから削除します。

echo

これが設定されている場合、各コマンドは、実行される直前に 引数と一緒にエコーされます。組み込みコマンド以外のコマンドにつ いては、展開がすべて行われた後にエコーされます。組み込みコマン ドについては、コマンドおよびファイル名の置換が行われるよりも前 にエコーされます。これは、置換がユーザの選択によって行われるも のだからです。このシェル変数は、コマンドラインオプション -x で 設定されます。

echo_style (+)

echo 組み込みコマンドのスタイルです。次のように設定できます。

bsd

第 1 引数が ‘-n’ である場合、改行をエコーしませ ん。

sysv

echo 中の文字列のバックスラッシュで始ま る エ ス ケープシーケンスを認識します。

both

‘-n’ フラグとバックスラッシュで始まるエスケープ シーケンスの両方ともを認識します。これがデフォル ト で す。

none

どちらも認識しません。

デ フォ ル トでは、ローカルシステムのデフォルトに設定されます。 BSD ならびに System V オプションは、適当なシステムの echo(1) マ ニュアルページに解説があります。

edit (+)

これが設定されている場合、コマンドラインエディタが使われます。 対話型シェルではデフォルトで設定されています。

ellipsis (+)

これが設定されている場合、‘%c’/‘%.’ および ‘%C’ プロンプトシー ケンス (prompt シェル変数を参照) は、‘/<skipped>’ の代わりに省 略記号 (‘...’) つきのスキップディレクトリを示すように な り ま す。

fignore (+)

補完する際に無視されるファイル名のサフィックスリストです。

filec

デフォルトでは tcsh では補完は常に行われますので、この 変数は無視されます。 edit が未設定である場合、伝統的な csh の 補 完が使用されます。 csh で設定されている場合は、ファイル名の 補完が使われるようになります。

gid (+)

ユーザの実グループ ID です。

group (+)

ユーザのグループ名です。

histchars

ヒストリ置換 (そちらも参照) で使われる文字を決定する文字 列 で す。 この値の最初の文字は、デフォルトの ‘!’ の代わりにヒストリ 置換文字として使われます。2 番目の文字は、クイック置換の際の文 字 ‘^’ の代わりをします。

histdup (+)

ヒ ス ト リ リスト中の重複エントリの扱いを制御します。この値が ‘all’ に設定されている場合、単一のヒストリイベントがヒストリリ ス トに入力されます。‘prev’ に設定されている場合、最後のヒスト リイベントは現在のコマンドと同じとなり、そのため、現在のコマン ドはヒストリには入力されません。‘erase’ に設定されている場合、 ヒストリリスト中に同じイベントが見つかったときには、古い方のイ ベ ン ト は 消去され、現在のものが挿入されます。 ‘prev’ および ‘all’ オプションはヒストリイベントの番号づけをやり直しま す の で、すき間はあかないのだということに注意してください。

histfile (+)

‘history −S’ および ‘history −L’ が探すヒストリファイルのデ フォルトの場所です。これが設定されていない場合、~/.history が 使われます。別々のマシン間で同じホームディレクトリを共有してい たり、端末ごとにヒストリを分けて 保 存 し て い た り す る 場 合、histfile は便利なものです。通常、~/.history ファイルよりも 前に読み込まれるのは ~/.tcshrc だけなので、histfile~/.login ではなく、~/.tcshrc で設定してください。

histlit (+)

これが設定されている場合、組み込みコマンド、編集コマンドおよび savehist 機構はヒストリリスト中のコマンド行を文字通りの (展 開 し ない) 形式で使用します。toggle-literal-history 編集コマンド も参照してください。

history

最初の単語は、記録しておくべきヒストリイベント数を 表 します。オプションである 2 番目の単語 (+) は、ヒストリがどうい う形式で表示されるかを示しています。これが与えられていな け れ ば、 ‘%h\t%T\t%R\n’ が 使 わ れます。フォーマットシーケンス は、prompt 下に記述されており、そこでは、‘%R’ の意味が変わるこ との注意がされています。デフォルトでは ‘100’ です。

home

起動したユーザのホームディレクトリに初期化されます。ファ イル名での ‘~ の展開には、この変数が参照されています。

ignoreeof

これが空文字列あるいは ‘0’ に設定されており、入力デバイスが 端 末 である場合には、 end-of-file コマンド (通常は、ユーザが空行 に ‘~D’ を打つことで生成されます) を入力すると、シェルは終了し て しまう代わりに ‘Use "exit" to leave tcsh.’ と表示します。こ れによって、シェルがうっかり kill されてしまうのを防ぐことがで きます。歴史的に、無限ループを避けるため、この設定は 26 回の連 続した EOF の後に終了します。数値 n を設定している場合 に は、 シェ ル は n - 1 回連続した end-of-file を無視し、 n 回目の end-of-file があればそのときに終了します。 (+) これが設定さ れ ていない場合には、‘1’ が使われます。つまり、シェルは ‘^D’ 1 回 で終了します。

implicitcd (+)

これが設定されている場合、シェルは、コマンドとして入力さ れ た ディレクトリ名を、あたかもそのディレクトリへ移動する要求である ものと解釈します。verbose に設定されている場合、ディレクトリの 移動が行われることが標準出力にエコーされるようになります。この 振る舞いは、非対話的なシェルスクリプト、あるいは 2 語以上あ る コ マ ンド行では禁止されています。ディレクトリを移動するのは、 ディレクトリ名のような名前を持ったコマンドを実行するよりも優先 されますが、エイリアスの置換よりは後になります。チルダおよび変 数の展開も動作します。

inputmode (+)

‘insert’ あるいは ‘overwrite’ に設定されている場合、各行の先頭 でエディタが入力モードに入るようになります。

killdup (+)

キ ルリング中の重複エントリの扱いを制御します。 ‘all’ にセット すると、一意なエントリのみがキルリングに登録されます。 ‘prev’ にセットすると、最後にキルされた文字列が現在のキル文字列にマッ チする場合、現在の文字列はリングに登録されません。 ‘erase’ に セットすると、同じ文字列がキルリング中に見付かった場合、古い文 字列が削除されて現在の文字列が挿入されます。

killring (+)

何個のキルされた文字列をメモリ中に保持するかを示します。デフォ ルトで ‘30’ にセットされます。セットしないか、‘2’ より小さい値 を設定すると、最近キルした文字列のみをシェルは保持します。文字 列 は、backward-delete-wordkill-line コ マ ン ド な ど や copy-region-as-kill コマンドのような、テキスト中の文字列を削除 (キル) する編集コマンドによってキルリングに挿入されます。 yank 編集コマンドは、最も最近キルされた文字列をコマンドラインにヤン クし、yank-pop (Editor commands 参照) は、それより以前にキルさ れた文字列をヤンクするのに使われます。

listflags (+)

‘x’, ‘a’, ‘A’ あるいはこれらの組合せ (たとえば、‘xA’) に設定さ れ て いる場合、これらの値は、ls−F へのフラグとして使われ、‘ls −xF’, ‘ls −Fa’, ‘ls −FA’ あるいはこれらの組合せ (たとえば、‘ls −FxA’) のように振る舞うようになります。 ‘a’ はすべてのファイル を表示します (たとえ、‘.’ で始まるファイルであっても)。‘A’ は ‘.’ および ‘..’ 以外のファイルすべてを表示し、 ‘x’ は上から下 に向かってではなく、左から右に向かってソートします。 listflags に 2 番目の単語が設定されていれば、それは ‘ls(1)’ へのパスとし て使われます。

listjobs (+)

これが設定されていれば、ジョブが一時停止したときにすべてのジョ ブ がリストされます。‘long’ に設定されていれば、リストは長い形 式のものになります。

listlinks (+)

これが設定されていれば、組み込みコマンド ls−F は各シンボリック リンクが指しているファイルの種類を表示します。

listmax (+)

list-choices 編集コマンドがユーザに最初に尋ねてこないでリスト する最大要素数です。

listmaxrows (+)

list-choices 編集コマンドがユーザに最初に尋ねてこないでリス ト する要素の最大行数です。

loginsh (+)

シェルがログインシェルである場合に設定されます。シェル中でこの 変数を設定したり設定を解除したりしても何の効 力 も あ り ま せ ん。shlvl も参照してください。

logout (+)

通常のログアウトの前には、シェルによって ‘normal’ が、自動ログ アウトの前には ‘automatic’ が、そして、シェルがハングアップ シ グ ナ ル に よって終了させられた場合 (シグナル処理を参照) には ‘hangup’ が設定されます。 autologout シェル変数も参照してく だ さい。

mail

届けられるメールをチェックするためのファイルあるいはディ レクトリ名です。これは、スペースで区切られ、オプションで数字を 前につけます。プロンプトを出す前に、最後にメールチェックをして から 10 分経っていた場合、シェルは各ファイルをチェックし、もし ファ イルサイズが 0 より大きいか、あるいはアクセス時刻よりも変 更時刻の方が大きかった場合には ‘You have new mail.’ (あ る い は、mail に 複数のファイルが含まれていた場合、 ‘You have new mail in name.’) と表示します。

ログインシェルにいる場合には、シェルの起動時刻後にファイルが 変 更 されない限り、どのメールファイルも報告されません。これは、余 計に通知しないようにするためです。大部分の login プログラ ム で は、 ログイン時にメールが届いているかどうかを教えてくれるもので す。

mail で指定されたファイルがディレクトリである場合、シェ ル は、 ディレクトリ中の各ファイルを別々のメッセージとして計算し、 ‘You have n mails.’ とか ‘You have n mails in name.’ とかと適切に報 告 します。この機能は、主に Andrew Mail System のように、メール をこの方式で保存するシステム用に提供されたものです。

mail の最初の単語が数値である場合、それはメールチェックの間隔を 変えるものとして受け取られます。秒単位です。

と ても稀な状況下ですが、シェルが ‘You have new mail.’ ではなく ‘You have mail.’ と報告することがあります。

matchbeep (+)

これが ‘never’ に設定されている場合、補完が行われてもビープ 音 は 鳴りません。 ‘nomatch’ に設定されている場合、マッチするもの がないときにのみビープ音が鳴ります。 ‘ambiguous’ に設定され て い る 場合、マッチするものが複数あるときにビープ音が鳴ります。 ‘notunique’ に設定されている場合、完全にマッチするものが 1 つ あり、また、それとは別にもっと長くマッチするものがあったときに ビープ音が鳴ります。これが設定されていない場合、‘ambiguous’ が 使われます。

nobeep (+)

こ れ が 設 定されている場合、ビープ音は完全に無効になります。 visiblebell も参照してください。

noclobber

これが設定されている場合、出力リダイレクションに制限がおかれる ようになり、入出力セクションで述べているように、ファイルをうっ かり壊さないように、また、‘>>’ リダイレクションが存在する ファ イルを指すように保証できます。

noding

prompt の時刻指定子において、時間の変わり目に ‘DING!’ と表示するのを無効にします。

noglob

これが設定されている場合、ファイル名置換および、ディレ クトリスタック置換 (そちらも参照) が禁止されます。この機能は、 ファイル名を扱わないシェルスクリプトや、ファイル名のリストを取 得した後、さらに展開をされたくないスクリプトには最も有効なもの です。

nokanji (+)

これが設定されており、シェルが漢字をサポートしている場合 (シェ ル変数 version を参照)、漢字のサポートを無効にし、メタキーが使 えるようにします。

nonomatch

これが設定されている場合、ファイル名置換およびディレクト リ ス タック置換 (そちらも参照) の際に、存在するファイルにマッチしな かったときに、エラーを出さずにそのまま放置するようになります。 置 換 が 機 能しないときには相変わらずエラーになります。たとえ ば、‘echo [’ は相変わらずエラーとなります。

nostat (+)

補完処理が行われている間に stat(2) をかけるべきではないディ レ クトリのリスト (あるいは、ディレクトリにマッチするグロブパター ンです。ファイル名置換を参照) です。この機能は、stat(2) を実行 するととてつもない時間がかかってしまうようなディレクトリ、たと えば /afs などを除外するのに通常使われます。

notify

これが設定されている場合、シェルはジョブが完了したこと を非同期に通知します。デフォルトは、プロンプトが表示される直前 にジョブの完了を提示します。

oid (+)

ユーザの実組織 ID です (Domain/OS のみです)。

owd (+)

前の作業ディレクトリで、cd が使う ‘−’ および pushd と 等価です。 cwd および dirstack シェル変数も参照してください。

path

実行可能なコマンドを探すディレクトリのリストです。 null 文字はカレントディレクトリを示します。 path 変数がない場合、フ ルパス名での指定のみ実行されます。 path は、起動時にシェルが環 境変数 PATH から設定するか、あるいは PATH が存在しなかった場合 に は、 シ ス テ ム依存のデフォルト、たとえば ‘(/usr/local/bin /usr/bsd /bin /usr/bin .)’ のようなものに設定しま す。 シェ ル は、‘.’ を path の先頭あるいは末尾に置くことができ、また、コン パイルの仕方に依存しますが、 ‘.’ を完全に省いてしまうことも で き ま す。−c, −t オプションのどちらも与えられていないシェル は、~/.tcshrc を読み込んだ後および path がリセットされるたびに ディレクトリの中身をハッシュに格納します。シェルがアクティブで ある間に、ユーザが path 中のディレクトリに新しいコマンドを追加 した場合、シェルがそのコマンドを見つけられるように rehash を実 行する必要があるかもしれません。

printexitvalue (+)

これが設定されており、対話型のプログラムが 0 以外のステータ ス で終了した場合、シェルは ‘Exit status’ と表示します。

prompt

端末からコマンドを読み込む前に表示される文字列です。 prompt には、次のフォーマット列 (+) のどれを含んでも構い ま せ ん。このフォーマット列は、与えられた情報で書き換えられます。

%/

カレント作業ディレクトリです。

%~

カレント作業ディレクトリですが、‘~’ で表現されるユーザ のホームディレクトリおよび ‘~user’ で表現される他のユー ザ の ホームディレクトリをファイル名置換します。 ‘~user’ の置 換は、現在のセッションにおいて、シェルがパス名 に ‘~user’ を使っている場合にのみ起こります。

%c[[0]n], %.[[0]n]

現 在の作業ディレクトリの、末尾の要素です。数字 n が指定さ れている場合、末尾の n 個の要素です。 n が ‘0’ で開始す る 場合、スキップされた要素数が末尾要素の前に付き、次の書式と なります ‘/<スキップされた数> 末 尾 要 素’。 シェ ル 変 数 ellipsis が設定されている場合、スキップされた要素は省略記 号で置換されますので、全体的には ‘...末尾要素’ と な り ま す。 ‘~’ 置換は、前述の ‘%~’ と同様に行われますが、 ‘~’ 要 素は、末尾要素数を数える対象からは除外されます。

%C

%c に似ていますが、‘~’ の置換を行いません。

%h, %!, !

現在のヒストリイベント番号です。

%M

完全なホスト名です。

%m

最初の ‘.’ までのホスト名です。

%S (%s)

強調表示モードを開始 (終了) します。

%B (%b)

ボールド体表示モードを開始 (終了) します。

%U (%u)

アンダラインモードを開始 (終了) します。

%t, %@

AM/PM の 12 時間表記での時刻です。

%T

‘%t’ に似ていますが、こちらは 24 時間表記です ( た だ し、シェル変数 ampm も参照)。

%p

秒まで含めた、AM/PM の 12 時間表記での ‘正確な’ 時刻で す。

%P

‘%p’ に似ていますが、こちらは 24 時間表記です ( た だ し、シェル変数 ampm も参照)。

\c

cbindkey 中にあるものとしてパースされます。

^c

cbindkey 中にあるものとしてパースされます。

%%

‘%’ 1 つです。

%n

ユーザ名です。

%j

ジョブ数です。

%d

‘Day’ 形式の曜日。

%D

‘dd’ 形式の日にち。

%w

‘Mon’ 形式の月。

%W

‘mm’ 形式の月。

%y

‘yy’ 形式の年。

%Y

‘yyyy’ 形式の年。

%l

シェルの tty。

%L

プロンプトの終わりから、ディスプレイの終わりまたは行末 までクリアします。

%$

‘$’ の直後のシェル変数または環境変数を展開します。

%#

普通のユーザは ‘>’ (または promptchars シェル変数の 最 初 の文字)、スーパユーザは ‘#’ (または promptchars の 2 番 目の文字)。

%{string%}

string を文字通りのエスケープシーケンスとして取り 込 み ま す。これは端末属性を変更するためにのみ使うべきで、カーソル 位置の移動をこれで行ってはいけません。これは prompt の最後 のシーケンスであってはいけません。

%?

プロンプトの直前で実行されたコマンドの戻り値。

%R

prompt2 の中ではパーザの状態。 prompt3 の中では修正さ れた文字列。 history の中では履歴文字列。

‘%B’, ‘%S’, ‘%U’, ‘%{string%}’ は、 8bit クリーンなシェルでのみ 利用できます。 version シェル変数を参照してください。

ボー ルド、スタンドアウト、下線といったシーケンスは、スーパユー ザのシェルを区別するために使われることが多いです。たとえば、

> set prompt = "%m [%h] %B[%@]%b [%/] you rang? "

tut [37] [2:54pm] [/usr/accts/sys] you rang? _

‘%t’, ‘%@’, ‘%T’, ‘%p’, ‘%P’ のどれかが使わ れ て い て、 か つ noding が設定されていなければ、毎正時 (‘:00’ 分) には実際の時刻 の代わりに ‘DING!’ を表示します。

対話的シェルでのデフォルトは ‘%# ’ です。

prompt2 (+)

while ループや foreach ループの中で、また ‘\’ で終った行の次の 行で、プロンプトとして用いられる文字列。 prompt (そちらも参照) と同じフォーマットシーケンスが使えます。 ‘%R’ の意味が変わるこ と に 注 意してください。対話的シェルでのデフォルトは ‘%R?’ で す。

prompt3 (+)

自動スペル訂正の確定時のプロンプト文字列。 prompt (そちらも 参 照) と同じフォーマットシーケンスが使えます。 ‘%R’ の意味が変わ ることに注意してください。対話的シェ ル で の デ フォ ル ト は ‘CORRECT>%R (y|n|e|a)?’ です。

promptchars (+)

(2 文 字 の 文字列に) 設定すると、prompt シェル変数中の ‘%#’ フォーマットシーケンスが、普通のユーザでは最初の文字で、スーパ ユーザでは 2 番目の文字で置き換えられます。

pushdtohome (+)

設定すると、引数をとらない pushd は、 cd のように ‘pushd ~’ を 実行します。

pushdsilent (+)

設定すると、pushdpopd の際にディレクトリスタックが表示され なくなります。

recexact (+)

設定すると、補完の際に正確なマッチがあれば、より長いマッチが可 能な場合でも、正確なほうに補完します。

recognize_only_executables (+)

設定すると、コマンドリストはパス中にある実行可能なファイルのみ を表示します。遅いです。

rmstar (+)

設定すると、ユーザは ‘rm *’ を実行する前に確認を受けます。

rprompt (+)

(コマンド入力後) prompt が左に表示される際に、スクリーンの右側 (コマンド入力の後ろ側) に表示される文字列。 prompt と 同 じ フォーマット文字列が使えます。この文字列は、コマンド入力を邪魔 しないように自動的に隠れたり、また再度現れたりします。 ( 左 側 の) プロンプト、コマンド入力、この文字列が最初の 1 行に収まる 場合に限り、この文字列は表示されます。 edit が設定されていなけ れ ば、 rprompt はプロンプトの後、コマンド入力の前に表示されま す。

savedirs (+)

設定すると、シェルは終了する前に ‘dirs −S’ を行います。最初 の 単語を数字に設定すると、その個数までディレクトリスタックのエン トリを保存します。

savehist

設定すると、シェルは終了する前に ‘history −S’ を行います。最初 の単語を数字に設定すると、その個数までの行が保存されます。 (個 数は history 以下でなければなりません。) 2 番 目 の 単 語 を ‘merge’ にすると、履歴ファイルが存在する場合に、置換ではなく追 加を行います。そしてタイムスタンプによってソートを行い、最近の イベントを残します。(+)

sched (+)

sched 組み込みコマンドがスケジュールイベントを表示する書式。特 に指定しなければ ‘%h\t%T\t%R\n’ が使われます。フォーマットシー ケンスは上記の prompt 以下に書いてあります。 ‘%R’ の意味が変わ ることに注意してください。

shell

シェルのファイル。これはシェルをフォークして、実行 ビッ トが設定されているがシステムによる実行が不可能なファイルを実行 するために用いられます (組み込みコマンド、非組み込みコマンドの 実行を参照)。初期値は、(システム依存の) シェルの置き場所です。

shlvl (+)

入れ子になったシェルの数。ログインシェルでは 1 にリセットさ れ ます。 loginsh も参照してください。

status

最後のコマンドによって返された状態。コマンドが異常終了 した場合には 0200 が加えられます。組み込みコマンドは、失敗する と 終了状態 ‘1’ を返します。その他の場合は、すべての組み込みコ マンドは状態 ‘0’ を返します。

symlinks (+)

いくつか異なった値に設定でき、シンボリックリン ク (‘symlink’) の解決を制御できます。

‘chase’ に設定すると、カレントディレクトリがシンボリックリンク を含むディレクトリになったら、リンクをそれが指しているディレ ク ト リの実名に展開します。この機能はユーザのホームディレクトリで は働きません。これはバグです。

‘ignore’ にすると、このシェルはリンクを通ってカレントディレクト リ を移動する場合、移動先のディレクトリを現在のディレクトリに対 する相対位置として構築しようとします。これはすなわち、 シ ン ボ リッ ク リンクを通して cd を行い、続いて ‘cd ..’ を行うと、元の ディレクトリに戻る、ということを意味します。これは組み込みコ マ ンドとファイル名補完にのみ影響します。

‘expand’ に設定すると、シェルはパス名のように見える引数を実際に 展開して、シンボリックリンクを元に戻そうとします。これは組み 込 み コ マ ンドのみならず、すべてのコマンドに影響します。残念なが ら、これは認識しにくいファイル名 (たとえばコマンドオプション に 埋 めこまれたものなど) には動作しません。クォートすれば展開は行 われません。たいていの場合はこの設定が便利ですが、展開すべき 引 数 を認識できないと、誤解や混乱の元になるかもしれません。妥協案 として、 ‘ignore’ にしておいて、必要な場合には編 集 コ マ ン ド normalize-path (デフォルトでは ^X-n にバインドされています) を 使うのがいいかもしれません。

順にいくつか例を示します。まずは遊び場となるディレクトリを準 備 しましょう。

> cd /tmp

> mkdir from from/src to
> ln −s from/src to/dst

symlinks が設定されていない場合の動作:

> cd /tmp/to/dst; echo $cwd

/tmp/to/dst
> cd ..; echo $cwd
/tmp/from

symlinks が ‘chase’ に設定されている場合の動作:

> cd /tmp/to/dst; echo $cwd

/tmp/from/src
> cd ..; echo $cwd
/tmp/from

symlinks が ‘ignore’ に設定されている場合の動作:

> cd /tmp/to/dst; echo $cwd

/tmp/to/dst
> cd ..; echo $cwd
/tmp/to

symlinks が ‘expand’ に設定されている場合の動作:

> cd /tmp/to/dst; echo $cwd

/tmp/to/dst
> cd ..; echo $cwd
/tmp/to
> cd /tmp/to/dst; echo $cwd
/tmp/to/dst
> cd ".."; echo $cwd
/tmp/from
> /bin/echo ..
/tmp/to
> /bin/echo ".."
..

い くつか注意しますと、‘expand’ による展開は、 1) cd のような組 み込みコマンドに対しては ‘ignore’ のように働きます。 2) クォー ト すれば行われません。 3) 非組み込みコマンドの場合は、ファイル 名を渡す前に行われます。

tcsh (+)

‘R.VV.PP’ 形式のシェルのバージョン番号です。 ‘R’ はメジャー リ リース番号、 ‘VV’ はカレントバージョン、 ‘PP’ はパッチレベルで す。

term

端末の種類。スタートアップとシャットダウンで述べているよ うに、通常は ~/.login で設定されます。

time

数値を設定すると、それ以上の CPU 時間 (秒) を消費したコ マンドの実行後に、自動的に組み込みコマンド time (そちらも参照) を実行します。2 番目の単語があれば、 time 組み込みコマンドの出 力フォーマット文字列として使われます。 (u) 以下のシーケンス が フォーマット文字列で使えます。

%U

プロセスがユーザモードで消費した CPU 時間 (秒)。

%S

プロセスがカーネルモードで消費した CPU 時間 (秒)。

%E

(壁時計での) 経過時間 (秒)。

%P

(%U + %S) / %E として計算される CPU 使用率。

%W

プロセスがスワップされた回数。

%X

(共有) テキスト空間の平均使用量。 Kbyte 単位。

%D

( 非共有) データ/スタック空間の平均使用量。 Kbyte 単 位。

%K

(%X + %D) の総使用量。 Kbyte 単位。

%M

プロセスが使用したメモリの瞬間最大値。 Kbyte 単位。

%F

メジャーページフォールトの回数 (ディスクから取って来る 必要があったページ数)。

%R

マイナーページフォールトの回数。

%I

入力操作の回数。

%O

出力操作の回数。

%r

ソケットメッセージを受け取った回数。

%s

ソケットメッセージを送った回数。

%k

シグナルを受け取った回数。

%w

自発的なコンテキストスイッチの回数 (wait の回数)。

%c

非自発的なコンテキストスイッチの回数。

BSD 資源制限機能の無いシステムでは、最初の 4 つのシーケンスだけ がサポートされています。デフォルトの時間フォーマットは、資源 使 用 報 告 を サ ポートしているシステムでは ‘%Uu %Ss %E %P %X+%Dk %I+%Oio %Fpf+%Ww’ で、そうでないシステムでは ‘%Uu %Ss %E %P’ で す。

Sequent の DYNIX/ptx では、 %X, %D, %K, %r, %s が使えませんが、 以下の追加シーケンスが利用できます。

%Y

システムコールが実行された回数。

%Z

要求に応じて 0 で埋められたページ数。

%i

プロセスの常駐サイズがカーネルによって増加させられた回 数。

%d

プロセスの常駐サイズがカーネルによって減少させられた回 数。

%l

read システムコールが実行された回数。

%m

write システムコールが実行された回数。

%p

raw ディスク装置から読み込んだ回数。

%q

raw ディスク装置へ書き込んだ回数。

デフォルトの時間フォーマットは ‘%Uu %Ss %E %P %I+%Oio %Fpf+%Ww’ です。マルチプロセッサでは CPU 使用率が 100% より高くなることが あります。

tperiod (+)

特別なエイリアス periodic の実行される周期 (分単位)。

tty (+)

tty の名前。端末にアタッチされていない場合は空。

uid (+)

ユーザの実ユーザ ID。

user

ユーザのログイン名。

verbose

設定すると、ヒストリ置換後に、各コマンドの単語を ( あ れば) 表示します。コマンドラインオプション −v によって設定され ます。

version (+)

バージョン ID スタンプ。シェルのバージョン番号 (tcsh を参照)、 配 布 元、リリース日、ベンダ、オペレーティングシステム、マシン (VENDOR, OSTYPE, MACHTYPE を参照)、コンパイル時に設定された オ プションをコンマで区切ったリストからなります。ディストリビュー ションのデフォルトとしてセットされたオプションが記録されていま す。

8b

シェルは 8bit クリーン。デフォルト。

7b

シェルは 8bit クリーンでない。

nls

システムの NLS を使う。 NLS のあるシステムではデフォ ルト。

lf

ログインシェルは /etc/csh.cshrc の後 で は な く 先 に /etc/csh.login を実行し、 ~/.tcshrc~/.history の後では なく先に ~/.login を実行する。

dl

セキュリティ上の理由から ‘.’ を path の最後に置く。 デ フォルト。

nd

セキュリティ上の理由から ‘.’ を path に含めない。

vi

emacs-形式ではなく vi-形式の編集をデフォルトにする。

dtr

ログインシェルは終了時に DTR を落とす。

bye

byelogout の同義語とし、 logwatchlog の別名と して扱う。

al

autologout を有効にする。デフォルト。

kan

nokanji シェル変数が設定されない限り、ロケール設定 が 適切であれば、漢字を使う。

sm

システムの malloc(3) を使う。

hb

シェルスクリプトの実行時に ‘#!<program> <args>’ 方式を エミュレートする。

ng

newgrp 組み込みコマンドが利用可能。

rh

シェルは REMOTEHOST 環境変数を設定しようとする。

afs

シェルはもしローカルな認証が失敗 し た ら、 kerberos サー バ に パ ス ワー ド を確認する。 afsuser シェル変数か AFSUSER 環境変数が設定されていたら、その内容でローカルユー ザ名を上書きする。

シ ステム管理者は、文字列を追加してローカルバージョンでの違いを 示すようにできます。

visiblebell (+)

設定すると、音声ベルの代わりに画面をフラッシュします。 nobeep も参照してください。

watch (+)

ログイン / ログアウトの監視対象とする、「ユーザ / 端末」ペアの リスト。ユーザに対する端末が ‘any’ なら、指定したユーザをす べ て の端末で監視します。逆にユーザが ‘any’ なら、指定した端末で すべてのユーザを監視します。 watch を ‘(any any)’ に設定 す る と、すべてのユーザと端末を監視します。たとえば、

set watch = (george ttyd1 any console $user any)

は、ユーザ ‘george’ の ttyd1 での行動を、そしてあらゆるユーザの コンソールでの行動を、そして自分自身 (または不法侵入者) のす べ ての端末での行動を報告します。

デ フォ ル トでは、ログインとログアウトは 10 分毎に調べられます が、 watch の最初の単語に、調べる間隔を分単位で書くこともできま す。たとえば、

set watch = (1 any any)

は 1 分おきにあらゆるログイン / ログアウトを報告します。我慢の 効かない人は、log 組み込みコマンドを用いれば、いつでも watch の レポートを見ることができます。 watch が最初に設定された時には、 現在ログインしているユーザリストが (log 組み込みコマンドに よっ て) 報告されます。

watch の報告形式は who シェル変数で制御します。

who (+)

watch メッセージのフォーマット文字列。以下のシーケン スが得られた情報で置換されます。

%n

ログイン / ログアウトしたユーザの名前。

%a

観察された行動: ‘logged on’, ‘logged off’, ‘replaced olduser on’ のいずれか。

%l

ユーザがログイン / ログアウトした端末 (tty)。

%M

リモートホストの完全なホスト名。ローカルホストでのログ イン / ログアウトの場合は ‘local’。

%m

リモートホストの、最初の ‘.’ までのホスト名。 IP ア ド レスや X Window System ディスプレイの場合は名前全体。

%M と %m は /etc/utmp にリモートホスト名を格納するシステムでの み利用できます。設定しなければ ‘%n has %a %l from %m.’ が用いら れ ます。ただしリモートホスト名を格納しないシステムでは ‘%n has %a %l.’ が用いられます。

wordchars (+)

forward-word, backward-word 等の編集コマンドで、単語の一部とみ な される非英数文字のリスト。設定されなければ ‘*?_−.[]~=’ が使 われます。

環境変数

AFSUSER (+)

afsuser シェル変数と同じです。

COLUMNS

端末の桁数です (端末管理 を参照)。

DISPLAY

X Window System によって使われます (X(1) を参照)。 設 定 されると、このシェルは autologout (そちらも参照) を設定しま せん。

EDITOR

デフォルトのエディタのパス名です。 VISUAL 環境変 数 と run-fg-editor 編集コマンドも参照してください。

GROUP (+)

group シェル変数と同じです。

HOME

home シェル変数と同じです。

HOST (+)

シェ ル が 実 行されているマシンの名前で初期化されます。これは gethostname(2) システムコールで決定されます。

HOSTTYPE (+)

シェルが実行されているマシンのタイプで初期化されます。これはコ ンパイル時に決定されます。この変数は廃止される予定であり、将来 のバージョンで削除されるでしょう。

HPATH (+)

run-help 編集コマンドがコマンドの解説文書を探すディレクトリ の リストです。区切り文字はコロンです。

LANG

優先的に使用される文字環境を与えます。固有言語システムの サポートを参照してください。

LC_CTYPE

設定されていると、ctype キャラクタの扱いだけが変更されます。固 有言語システムのサポートを参照してください。

LINES

端末の行数です。端末管理を参照してください。

LS_COLORS

この変数のフォーマットは termcap(5) ファイルのフォーマットと似 ています。"xx=string" の形をした式をコロンで区切って並べたリス トです。"xx" は 2 文字の変数名です。変数とそれらのデフォルト値 は以下の通りです。

no 0

Normal (non-filename) text: ファ イ ル名を除く通常のテキスト

fi 0

Regular file: 通常のファイル

di 01;34

Directory: ディレクトリ

ln 01;36

Symbolic link: シンボリックリンク

pi 33

Named pipe (FIFO): 名前付きパイプ

so 01;35

Socket: ソケット

do

01;35

Door: ドア

bd 01;33

Block device: ブロック型デバイス

cd 01;32

Character device: キャラクタ型デバイス

ex 01;32

Executable file: 実行可能ファイル

mi (none)

Missing file (defaults to fi): 行方不明のファ イル

or (none)

Orphaned symbolic link (defaults to ln): リ ン ク先のないシンボリックリンク

lc ^[[

Left code: 色指定シーケンス開始 コード

rc m

Right code: 色指定シーケン ス 終 了 コード

ec (none)

End code (replaces lc+no+rc): 色出力を終える シーケンス

デフォルトから変更したい変数だけを指定すれば OK です。

ファイルの名前を、ファイル名の拡張子をもとに色づけすることも で きます。これの指定は、LS_COLORS 変数に "*ext=string" のシンタッ クスを用いて行います。たとえば、ISO 6429 のコードを使いすべての C 言語のソースファイルをブルーに色づけするには "*.c=34" と指定 すればよいでしょう。これは .c で終わるすべてのファイルをブ ルー (34) に色づけします。

コントロールキャラクタは C スタイルのエスケープ表記か stty のよ うな ^− 表記のどちらかで書くことができます。C スタイルの表記 で はエスケープコードの記述に ^[, スペースコードの記述に _, デリー トコードの記述に ? を追加します。さらに、^[ エスケープキャラ ク タを用いると、 ^[, ^, :, = のデフォルトの解釈を変更することがで きます。

それぞれのファイルは <lc> <color-code> <rc> <filename> <ec> の ように書かれます。 <ec> が未定義ならば、<lc> <no> <rc> のシーケ ンスが代わりに使われます。こちらの方が通常便利に使えますが、 あ ま り一般的ではありません。 left, right, end のコードを用意した 理由は、同じシーケンスを繰り返し入力しなくてもいいよ う に、 ま た、妙な端末に対応できるようにするためです。通常は、ISO 6429 カ ラーシーケンスと異なるシステムを使っていない限り、これらを変 更 する必要はほとんどありません。

端 末が ISO 6429 color コードを使っていれば、(lc, rc, ec コード を全く使わずに) セミコロンで区切られた数字のコマンドで タ イ プ コー ドを構成することができます。良く用いられるコマンドは以下の 通りです。

0

デフォルトの色に戻します。

1

高輝度色

4

アンダライン付きテキスト

5

点滅テキスト

30

前景色黒

31

前景色赤

32

前景色グリーン

33

前景色黄 (ブラウン)

34

前景色ブルー

35

前景色紫

36

前景色シアン

37

前景色白 (グレー)

40

背景色黒

41

背景色赤

42

背景色グリーン

43

背景色黄 (ブラウン)

44

背景色ブルー

45

背景色紫

46

背景色シアン

47

背景色白 (グレー)

すべてのコマンドがすべてのシステムや表示装置で動作するわけで は ありません。

少 なからぬ端末プログラムではデフォルトの終了コードを正しく認識 しません。ディレクトリのリストをした後ですべてのテキストに色 を 付 け る ためには、no コードと fi コードを、それぞれ 0 から前景 色、背景色の数値コードへ変更してみてください。

MACHTYPE (+)

コンパイル時に決定されたマシンタイプ (マイクロプロセッサ ま た は、マシンモデル) です。

NOREBIND (+)

設 定されていると、印刷可能文字は self-insert-command を繰り返 し実行されません。固有言語システムのサポートを参照してく だ さ い。

OSTYPE (+)

コンパイル時に決定されたオペレーションシステムです。

PATH

実行可能ファイルを探すディレクトリの、コロン区切り形式の リスト。シェル変数 path によく似ていますがフォーマットに違いが あります。

PWD (+)

シェル変数 cwd に似ていますが、シェル変数とは同期して いません。実際のディレクトリ変更が行われたあとでだけアップデー トされます。

REMOTEHOST (+)

ユーザがどのホストからログインしているかを示します (リモートか らのログインで、かつこのシェルがこれらの情報を決定 で き る 場 合)。 シェルがそのようにコンパイルされている場合だけに設定され ます。 version シェル変数を参照してください。

SHLVL (+)

shlvl と同じです。

SYSTYPE (+)

現在のシステムタイプです。 (Domain/OS のみ)

TERM

term シェル変数と同じです。

TERMCAP

端末のケーパビリティ文字列です。端末管理を参照して く ださい。

USER

user シェル変数と同じです。

VENDOR (+)

コンパイル時に決定されたベンダ名です。

VISUAL

デ フォルトのフルスクリーンエディタへのパス名です。 EDITOR 環境変数と run-fg-editor 編集コマンドも参照してく だ さ い。

関連ファイル

/etc/csh.cshrc

すべてのシェルで最初に読み込まれます。 ConvexOS, Stellix, Intel では /etc/cshrc を使いま す。 NeXTs で は /etc/cshrc.std を使います。 A/UX, AMIX, Cray, IRIX の csh(1) はこのファイルを読みませんが、 い ず れ に せ よ tcsh ではこのファイルが読み込まれます。 Solaris 2.x もこのファイルを持ちま せ ん が、tcsh/etc/.cshrc を読み込みます。(+)

/etc/csh.login

/etc/csh.cshrc の後にログインシェルに よって読み込まれます。 ConvexOS, Stellix, Intel で は /etc/login を使います。 NeXTs では /etc/login.std を使 用します。 Solaris 2.x では /etc/.login を使い ま す。 A/UX, AMIX, Cray, IRIX では /etc/cshrc を使います。

~/.tcshrc (+)

/etc/csh.cshrc かそれに相当するファイル の後に、すべてのシェルで読み込まれます。

~/.cshrc

~/.tcshrc が存在しなければ、 /etc/csh.cshrc かそれに相当するファイルの後に、すべてのシェルで読み込 まれます。 こ の マ ニュ ア ル で は ‘~/.tcshrc’ を 「‘~/.tcshrc’ か ‘~/.tcshrc’ が見つからなかった場合の ~/.cshrc’」の意味で使用します。

~/.history

savehist が設定されている場合は ~/.tcshrc の 後 に ロ グインシェルによって読み込まれます。ただし histfile の部分も参照してください。

~/.login

~/.tcshrc または ~/.history の後にログ イ ン シェ ル に よっ て 読み込まれます。シェルは~/.login~/.tcshrc~/.history の後にではなく、前に読み込むよ う にコンパイルされているかもしれません。 version シェ ル変数を参照してください。

~/.cshdirs (+)

savedirs が設定されている場 合 に は、 ~/.login の後にログインシェルによって読み込まれます。 ただし dirsfile も参照してください。

/etc/csh.logout

ログアウト時にログインシェルによっ て 読 み 込 ま れ ま す。 ConvexOS, Stellix, Intel では、 /etc/logout を使います。 A/UX, AMIX, Cray, IRIX では、 csh(1) はこれに対応するファイルを持ちませんが、いずれ にしても tcsh はこのファイルを読みます。 Solaris 2.x も /etc/logout を 持っ て い ま せ ん が、 tcsh/etc/.logout を読み込みます。 (+)

~/.logout

/etc/csh.logout またはその相当ファイルが 実 行された後に、ログインシェルによって読み込まれます。

/bin/sh

‘#’ で始まらないシェルスクリプトを解釈実行す るために使われます。

/tmp/sh*

‘<<’ 用の一時ファイルです。

/etc/passwd

ホームディレクトリ ‘~name’ を代入するため の情報源です。

ス タートアップファイルの読み込みの順番は、シェルのコンパイル時に変更さ れているかもしれません。スタートアップとシャットダウンversion を参照 してください。

新規機能 (+)

こ の マニュアルでは、tcsh をひとつの対象として記述してきました。しかし csh(1) の経験者は、 tcsh の新しい機能に特に興味があるでしょう。

コマンド行編集: GNU Emacs スタイルや vi(1)-スタイルのキーバインディング を サポートしています。コマンド行エディタ編集コマンドを参照してくださ い。

プログラマブルで対話的な単語補完と一覧表示。補完と一覧と、組み込みコ マ ンド complete, uncomplete の記述を見てください。

ファイル名、コマンド、変数名のスペル訂正 (そちらも参照)。

エ ディタ編集コマンド (そちらも参照) で、コマンドのタイプ中に他の便利な 機能を実行できます。ヘルプファイルの参照 (run-help)、手軽にエディタの再 起動 (run-fg-editor)、コマンド解決 (which-command) などができます。

高 性能化されたヒストリ機能。ヒストリリストのイベントにタイムスタンプを つけられます。 history コマンドおよびそれに関連するシェル変数、ヒストリ 置換に記述されている、以前には文書化されていなかった ‘#’ イベント記述子 と新しい修正子、 *-history, history-search-*, i-search-*, vi-search-*, toggle-literal-history 各編集コマンド、シェル変数 histlit なども参照し てください。

高性能化されたディレクトリ解釈 (parsing) とディレクトリスタック 操 作。 cd, pushd, popd, dirs コマンドとそれらに関連するシェル変数、ディレクト リスタック置換での 説 明、 dirstack, owd, symlinks シェ ル 変 数、 normalize-command, normalize-path 編集コマンドなどを参照してください。

グロブパターンの否定。ファイル名置換を見てください。

新 しいファイル問い合わせ演算子 (そちらも参照) とそれらを用いる組み込み コマンド filetest

スケジューリングされたイベント、特別なエイリアス、自動ログアウト、端 末 の ロック、コマンド待ち、ログインとログアウトの監視などなどを含む、各種 の自動イベント、定期イベント、時刻指定イベント (それぞれの項目を参照)。

固有言語システムのサポート (固有言語システムのサポートを見てください)、 OS 固有の各種機能のサポート (OS 固有機能のサポートecho_style シェ ル 変数を参照)、システム依存のファイル配置 (関連ファイルを参照)

拡張された端末管理能力 (端末管理を参照)。

builtins, hup, ls−F, newgrp, printenv, which, where などの新しい組み込 みコマンド (それぞれの項目を参照)。

新しい変数。シェルから便利な情報を簡単に入手できま す。 gid, loginsh, oid, shlvl, tcsh, tty, uid, version シェル変数と、 HOST, REMOTEHOST, VENDOR, OSTYPE, MACHTYPE 環境変数。それぞれの説明を見てください。

有用な情報をプロンプト文字列に埋めこむための新しいシンタックス (prompt を 参照)。ループとスペル訂正用の特別なプロンプト (prompt2prompt3 を 参照)。

読み取り専用の変数 (変数置換を参照)。

バグ

サスペンドされたコマンドが再開されたときに、カレントディレクトリが起 動 さ れたときと違っている場合には、起動時のディレクトリを表示します。ジョ ブが内部でディレクトリを変更することもあり得るので、これは間違った情 報 を与えてしまうかもしれません。

シェルの組み込み機能は停止、再開できません。 ‘a ; b ; c’ のような形のコ マンド列を停止させるときの処理もあまり上品なものではありません。 ‘b’ コ マンドをサスペンドさせると、シェルは即座に ‘c’ コマンドを実行してしまい ます。 alias での展開結果を実行しているときには、特にこの点に注意が必要 で す。コマンド列を () の中に入れて、サブシェルに押し込めてしまうのがい いでしょう。つまり ‘( a ; b ; c )’ のようにするのです。

プロセス開始後の端末出力の制御が原始的です。誰かが仮想端末の良いイン タ フェー ス を 作ってくれるといいのですが。仮想端末インタフェースの分野で は、出力制御に関して面白いことがたくさん行えるはずです。

エイリアス置換がシェル手続きのシミュレートに大変良く用いられますが、 こ れ はあまり気のきいたものではありません。エイリアスよりもシェル手続きを 提供すべきです。

ループの中のコマンドは、ヒストリリストに追加されません。制御構造は、 組 み 込みコマンドとしては認識されず、単に解釈されます。したがって制御コマ ンドはどこにでも置くことができ、パイプ ‘|’ といっしょにも、 ‘&’ と ‘;’ のようなメタシンタックスといっしょにも使えます。

foreachend を探しているときヒアドキュメントを無視しません。

‘:’ 修飾子は、コマンド置換の出力に使えるべきです。

ダ ム端末のように、端末がカーソルを上に移動できない場合には、スクリーン 幅より長い行の更新が大変貧弱です。

HPATHNOREBIND は環境変数である必要はありません。

‘?’ や ‘*’ や ‘[]’ を使わないグロブパターンや、 ‘{}’ や ‘~’ を使うグ ロ ブパターンは、否定が正しく扱われません。

if の単一コマンド形式では、たとえ式が偽で、コマンドが実行されなかったと しても、リダイレクト出力をしてしまいます。

ls−F はファイル名をソートするとき、ファイル識別キャラクタを勘定に入れて し まいます。またファイル名の中の制御文字を正しく扱うことができません。 中断させることもできません。

バグレポートは tcsh-bugs@mx.gw.com まで送ってください。修正もいっしょに 送っ ていただけるとありがたいです。もし tcsh のメンテナンスとテストを手 伝って下さる場合には、本文に "subscribe tcsh <your name>" と一行書い た メー ル を listserv@mx.gw.com に送ってください。 "subscribe tcsh-bugs <your name>" を講読すればすべてのバグ レ ポー ト が 取 得 で き ま す。 "subscribe tcsh-diffs <your name>" を講読すれば開発 ML に参加でき、各 パッチレベルでの diff を入手できます。

tcsh の T の由来

1964 年 DEC は PDP-6 を開発しました。のちに PDP-10 が再実装されました。 1970 年 前後に DEC がそのセカンドモデル KI10 を発表したとき、これには DECsystem-10 という新しい名前がつけられました。

TENEX は 1972 年に Bolt, Beranek & Newman (Massachusetts 州 Cambridge の シンクタンク) において、実験的なデマンドページ型仮想記憶 OS として作 られました。彼らは DEC PDP-10 用の新しいページャを構築し、それを使っ た OS を作りました。これは学術分野で非常に大きな成功を収めました。

1975 年 DEC は PDP-10 の新しいモデル KL10 を発表しました。 DEC は BBN から TENEX のライセンスを受け、 KL10 は TENEX 版のみにするつも り で し た。 DEC はそれらのバージョンを TOPS-20 と呼んでいました (大文字化は商 標です)。多くの TOPS-10 ("The OPerating System for PDP-10" の頭文 字 で す) ユーザがこれに反対しました。こうして DEC は同じハードウェアにふたつ の互換性のないシステムをサポートしなければならないことになりました。 -- でもそのとき PDP-11 には 6 つの OS があったのですが!

TENEX の TOPS-20 はバージョン 3 までに、 ULTCMD と呼ばれるユーザコード レベルのコマンド補完機能サブルーチンを備えていました。バージョン 3 で DEC は、これらの機能すべてと、さらにそれ以上とをモニタ (Unix でいうとこ ろのカーネル) に追加し、 COMND& JSYS (‘Jump to SYStem’ 命令; スーパバイ ザ を呼び出す機能 [私が IBM 上がりだってバレちゃった?]) でアクセスでき るようにしました

tcsh の作者たちは TENEX と TOPS-20 におけるこれらの機能に影響を受け、こ れを模倣した版の csh を作成したのです。

制限

単語は 1024 文字より長くできません。

システムは引数並びを 10240 文字までに制限しています。

コ マンドに与える引数の数 (ファイル名展開を含む) は、引数リストに許され た文字数の 1/6 までに制限されています。

コマンド置換では、引数リストに許された文字数より多くの文字数に置換で き ません。

シェ ルはループを検出するために、 alias 置換の回数を 1 行当たり 20 に制 限しています。

関連項目

csh(1), emacs(1), ls(1), newgrp(1), sh(1), setpath(1), stty(1), su(1), tset(1), vi(1), x(1), access(2), execve(2), fork(2), killpg(2), pipe(2), setrlimit(2), sigvec(2), stat(2), umask(2), vfork(2), wait(2), malloc(3), setlocale(3), tty(4), a.out(5), termcap(5), environ(7), termio(7), Introduction to the C Shell

バージョン

このマニュアルは tcsh 6.13.00 (Astron) 2004-05-19 に関するドキュメン ト です。

作者

William Joy

csh(1) のオリジナル作者

J.E. Kulp, IIASA, Laxenburg, Austria

ジョブコントロールとディレクトリスタック機能

Ken Greer, HP Labs, 1981

ファイル名補完

Mike Ellis, Fairchild, 1983

コマンド名認識 / 補完

Paul Placeway, Ohio State CIS Dept., 1983-1993

コマンドラインエディタ、プロンプトルーチン、新しいグロブの文法、たく さんの修正とスピードアップ

Karl Kleinpaste, CCI 1983-4

特別なエイリアス、ディレクトリスタックの取出し機能、ログイン / ロ グ アウト監視、スケジュールイベント、新しいプロンプト書式のアイデア

Rayan Zachariassen, University of Toronto, 1984

ls−Fwhich の組み込み、たくさんのバクフィックス、修正とスピード アップ

Chris Kingsley, Caltech

高速ストレージアロケータルーチン

Chris Grevstad, TRW, 1987

4.3BSD cshtcsh へのマージ

Christos S. Zoulas, Cornell U. EE Dept., 1987-94

HPUX, SVR2, SVR3 に移植、SysV 版 getwd.c, SHORT_STRINGS をサポート、 sh.glob.c の新バージョン

James J Dempsey, BBN, and Paul Placeway, OSU, 1988

A/UX に移植

Daniel Long, NNSC, 1988

wordchars

Patrick Wolfe, Kuck and Associates, Inc., 1988

vi モードのクリーンアップ

David C Lawrence, Rensselaer Polytechnic Institute, 1989

autolist と、あいまい補完の一覧

Alec Wolman, DEC, 1989

プロンプト中の改行

Matt Landau, BBN, 1989

ファイル ~/.tcshrc

Ray Moody, Purdue Physics, 1989

スペースバーの魔法によるヒストリ展開

Mordechai ????, Intel, 1989

printprompt() の修正と追加

Kazuhiro Honda, Dept. of Computer Science, Keio University, 1989

自動スペル訂正と prompt3

Per Hedeland, Ellemtel, Sweden, 1990-

さまざまなバグフィックス、改良とマニュアルのアップデート

Hans J. Albertsson (Sun Sweden)

ampm, settc, telltc

Michael Bloom

割り込みハンドリングの修正

Michael Fine, Digital Equipment Corp

拡張キーのサポート

Eric Schnoebelen, Convex, 1990

Convex サポート、csh の多数のバグフィックス、ディレクトリスタックの 保存と復帰

Ron Flax, Apple, 1990

A/UX 2.0 への (再) 移植

Dan Oscarsson, LTH Sweden, 1990

NLS サポートと非 NLS サイト用の NLS シミュレート機能、修正

Johan Widen, SICS Sweden, 1990

shlvl, Mach サポート、correct-line, 8 ビット表示

Matt Day, Sanyo Icon, 1990

POSIX termio サポート、SysV limit 修正

Jaap Vermeulen, Sequent, 1990-91

vi モード修正、expand-line, ウィンドウ変更の修正、Symmetry 移植

Martin Boyer, Institut de recherche d’Hydro-Quebec, 1991

autolist beeping オプション、行の先頭からカーソルまでのすべてを対 象 とするヒストリ検索の修正

Scott Krotz, Motorola, 1991

Minix に移植

David Dawes, Sydney U. Australia, Physics Dept., 1991

SVR4 ジョブコントロールの修正

Jose Sousa, Interactive Systems Corp., 1991

拡張 vi の修正、vi デリートコマンド

Marc Horowitz, MIT, 1991

ANSIfication の 修 正、 新 し い exec ハッシュコード、 imake の修 正、where

Bruce Sterling Woodcock, sterling@netcom.com, 1991-1995

ETA と Pyramid への移植、 Makefile と lint の修 正、ignoreeof=n 追 加、その他のさまざまな移植性向上のための変更、およびバグ修正

Jeff Fink, 1992

complete-word-fwdcomplete-word-back

Harry C. Pulley, 1992

Coherent に移植

Andy Phillips, Mullard Space Science Lab U.K., 1992

VMS-POSIX に移植

Beto Appleton, IBM Corp., 1992

移 動 プロセスグループの修正、csh バグ修正、 POSIX file tests, POSIX SIGHUP

Scott Bolte, Cray Computer Corp., 1992

CSOS に移植

Kaveh R. Ghazi, Rutgers University, 1992

Tek, m88k, Titan と Masscomp への移植と修正、 autoconf サポートの 追 加

Mark Linderman, Cornell University, 1992

OS/2 に移植

Mika Liljeberg, liljeber@kruuna.Helsinki.FI, 1992

Linux に移植

Tim P. Starrin, NASA Langley Research Center Operations, 1993

読み取り専用変数

Dave Schweisguth, Yale University, 1993-4

新しいマニュアルページと tcsh.man2html

Larry Schwimmer, Stanford University, 1993

AFS と HESIOD パッチ

Luke Mewburn, RMIT University, 1994-6

プロンプトの中でのディレクトリ表示の拡張、 ellipsisrprompt

Edward Hutchins, Silicon Graphics Inc., 1996

暗黙的な cd の追加。

Martin Kraemer, 1997

Siemens Nixdorf EBCDIC machine に移植

Amol Deshpande, Microsoft, 1997

WIN32 (Windows/95 and Windows/NT) に移植、足りないライブラリすべて と、メッセージカタログコードのすべてを作成し、 Windows と通信でき る ようにした

Taga Nayuta, 1998

色つき ls の追加

謝辞

以下のみなさんに感謝します。
Bryan Dunlap, Clayton Elwell, Karl Kleinpaste, Bob Manson, Steve Romig, Diana Smetters, Bob Sutterfield, Mark Verber, Elizabeth Zwicky そして提 案と応援をしてくれたオハイオ州のすべてのみなさん。

あ らゆるバージョンに耐え、バグレポートを送ってくれ、提案と新規追加をし てくれたネット上のすべてのみなさん。

"tcsh の T の由来" の章を執筆してくれた Richard M. Alderson III。

翻訳

t_ogawa <BYH06106@nifty.ne.jp>
おさな <yasu@via2000.net>
ゆ〜こ <yuko@veltec.co.jp>
森浩二 <mori@tri.asanuma.co.jp>
NOKUBI Hirotaka <nokubi@ff.iij4u.or.jp>
中野武雄 <nakano@apm.seikei.ac.jp> (JM プロジェクト)
蔭山 <yt-kage@cb3.so-net.ne.jp>
中村和志@神戸 <kaz@kobe1995.net>
大澤千敏@岐阜 <ohsawa@catv1.ccn-net.ne.jp>
熊谷典大 <kumagai@home.com>
(順不同)

翻訳にあたり、JM プロジェクトの方々の御協力を頂きました。

スポンサーリンク