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NAMED(8) FreeBSD システム管理者マニュアル NAMED(8)

名称

named − インターネットドメインネームサーバ (DNS)

書式

named [−d debuglevel] [−p port#] [

(                                             b|c) config_file] [−f −q −r −v][−u user_name] [−g group_name] [−t directory] [−w directory][config_file]

解説

named はインターネットドメインネームサーバです。インターネットドメイン ネームシステムの詳細な情報については RFC 1033, 1034, 1035 を参照してくだ さい。パラメータがない場合は named はデフォルトの設定ファイルである /etc/namedb/named.conf の初期化データを読み込み、問い合わせに対し待機しま す。コマンド行の最後に与えられた config_file 引数は ‘‘−b’’ または ‘‘−c’’ フラグを使用して指定された config_file を無効にします。

: named のいくつかのオプションと多くの動作は、設定ファイルの中で制御で きます。更なる情報はこの BIND 配布物に含まれる設定ファイルガイドを参照し てください。

指定できるオプションは以下の通りです。

       −d debuglevel

デバッグ情報を出力します。 debuglevel は表示するメッセージの レベルを決定する数字です。もし負の値の場合、 debuglevel は ‘‘1’’ に設定されます。

: 新しいデバッグの枠組は古いバージョンの named よりもかなり 洗練されています。設定ファイルの ‘‘logging’’ 宣言は (問い合わ せや内/外への転送などの) 多くの種類にわたるイベントそれぞれに 対して、複数の別々なデバッグレベルを設定することができます。 これらの広範囲にわたる新しい機能に関する更なる情報は、この BIND 配布物に含まれる設定ファイルガイドを参照してください。

−p port#
指定されたリモートポート番号を使用します。このポート番号は named が問い合わせを送る番号です。デフォルトの値は標準のポー ト番号、つまり getservbyname(3) が ‘‘domain’’ に対して返す ポート番号です。

: 以前は、 ‘‘−p port#[/localport#]’’ という文法が使用で き、1 つ目のポートが remote サーバへの接続に使用され、2 つ目 のポートが namedlocal サーバに対するポート番号として使用 されました。現在の使用法は古い使用法から localport# の指定を 除いたものと同等です。この機能は設定ファイルの ‘‘options’’ 宣 言にある ‘‘listen-on’’ 節で指定できます。

(
b
|c) config_file
代わりの config_file を使用します。この引数はコマンド行の最後 に指定された config_file によって上書きされます。デフォルトの 値は /etc/namedb/named.conf です。

−f
このプロセスを表で動かし、 fork(2) やデーモン化をしません (デ フォルトではデーモン化をします)。

−q
named
が QRYLOG を定義してコンパイルされている場合に、すべて の問い合わせのトレースを行ないます。

: 設定ファイルの ‘‘logging’’ 宣言で ‘‘queries’’ logging category する方が賛成され、このオプションは反対されています。 更なる情報は、この BIND 配布物に含まれる設定ファイルガイドを 参照してください。

−r
再帰的なネームサーバの問い合わせを抑止します。問い合わせに対 してはローカルゾーン (プライマリもしくはセカンダリ) からのみ 回答されます。この指定はルートサーバにて使用することができま す。デフォルトでは再帰的な問い合わせを行ないます。

: このオプションは設定ファイルの ‘‘options’’ 宣言の ‘‘recursion’’ 節によって上書きされ、またそちらのほうが推奨さ れています。

−v
バージョンを報告し、終了します。

−u user_name
ユーザを指定すると、初期化後のサーバがこのユーザで動作しま す。値はユーザ名または数字のユーザ ID どちらでも構いません。 ‘‘−g’’ フラグが指定されていなかった場合、指定されたユーザのプ ライマリグループがグループ ID として使用されます (initgroups() が呼ばれるため、ユーザの所属するすべてのグルー プがサーバに渡されます)。

−g group_name
グループを指定すると、初期化後のサーバがこのグループで動作し ます。値はグループ名または数字のグループ ID どちらでも構いま せん。

−t directory
サーバがコマンド行引数を処理したらすぐに chroot() するべき ディレクトリを指定します。

−w directory
サーバの作業ディレクトリを設定します。設定ファイルの ‘‘options’’ 宣言の ‘‘directory’’ 節はコマンド行で指定したあら ゆる値を上書きします。デフォルトの作業ディレクトリはカレント ディレクトリ (‘‘.’’) です。

それ以外の引数は上で述べたとおり、古い実装との互換性のために、設定ファイ ルの名前として扱われます。この引数は ‘‘−b’’ または ‘‘−c’’ フラグを使用し て指定される config_file を無効にします。特に引数が与えられなければ、デ フォルトの設定ファイルが使用されます (/etc/namedb/named.conf) 。

マスタファイル形式
マスタファイルは制御情報とゾーン中のオブジェクトの資源レコードのリストか らなり、次の形式を取ります。

$INCLUDE <filename> <opt_domain>
$ORIGIN <domain>
$TTL <ttl>
<domain> <opt_ttl> <opt_class> <type> <resource_record_data>

ここで、

       domain

ルートの場合は ‘‘.’’ を、現在の起点の場合は ‘‘@’’ を、それ ら以外では通常のドメイン名を指定します。 domain が ‘‘.’’ で 終って いない通常のドメイン名である場合は、現在の起点がドメ インに追加されます。ドメイン名が ‘‘.’’ で終っている場合は変 更されません。

opt_domain
このフィールドにはインクルードファイル中のデータの起点を定 義します。これはインクルードファイルの最初の行の前に $ORIGIN 宣言を置くことと等価です。このフィールドはオプショ ナルです。 opt_domain フィールドやインクルードファイル中の $ORIGIN 宣言はそのファイル自身の現在の起点を変更することは ありません。

ttl
明示的な TTL (time-to-live) を持たない将来のレコードのため のデフォルトの TTL を、整数値で指定します。

opt_ttl
このフィールドはオプションであり、 time-to-live を整数値で 指定します。設定されない場合、TTL は最後の $TTL 文から取得 されます。 $TTL 文が存在しない場合、SOA の最小値が使用さ れ、警告が生成されます。

opt_class
オブジェクトのアドレスの型を指定します。現在は DARPA イン ターネットに接続するオブジェクトである IN のみがサポートさ れています。

type
このフィールドには以下のトークンのうちひとつが含まれます。 括弧中におのおの resource_record_data フィールドに指定すべ きデータを示しています。

A
ホストアドレス (4つ組ドット IP アドレス)

NS
権威があるネームサーバ (ドメイン)

MX
メールエクスチェンジャ (ドメイン) 優先順位 (0..32767) に引続き指定します。優先順位は 小さい値が優先順位の高いことを示します。

CNAME
別名に対応した正式名 (ドメイン)

SOA
オーソリティゾーンデータの開始を示します。 (ホストの属するドメイン、メンテナのドメイ ンアドレス、シリアル番号、その後にリフレッ シュ、リトライ、有効期限、最小 TTL (RFC 883 と RFC 2308 を参照) の各値を秒で指定し たパラメータが続く)。

NULL
ヌルリソースレコード (形式やデータはありま せん)

RP
いくつかのドメイン名の責任者 (メールアドレ スか参照できるテキスト)

PTR
ドメイン名のポインタ (ドメイン)

HINFO
ホスト情報 (CPUタイプ、OSタイプ)

通常は行末でリソースレコードは終了しますが、左括弧と右括弧で囲まれた場合 は複数行にまたがることが可能となります。セミコロンから行末まではコメント として扱われます。

: ここには示されていませんが、このほかのタイプのリソースレコードも存在 します。リソースレコードのすべてのタイプを知るには BIND Operations Guide (‘‘BOG’’) を参照する必要があるでしょう。新しい RFC にていくつかのリソース タイプが標準化されていますが、このバージョンの BIND ではまだ実装されてい ません。

SOA レコード形式
各マスタゾーンファイルはそのゾーンの SOA レコードで始まらなければなりませ ん。以下に SOA レコードの例を示します。

@ IN SOA ucbvax.Berkeley.EDU. rwh.ucbvax.Berkeley.EDU. (

1989020501

; serial

10800

; refresh

3600

; retry

3600000

; expire

86400 )

; minimum

SOA ではシリアル番号 (serial) を指定します。シリアル番号はマスタファイル を更新するたびに増加する必要があります。シリアル番号は小数点つきの数字を 指定することもできますが、整数への変換は乗算や加算ではなく文字列としてつ なげて行っているため、 あまり賢い方法とはいえません。年月日と 0〜99 のシ リアル番号を使用することで、このフィールドのサイズである符号なしの 32 ビット以内に収まります。 (このやり方は 4294 年には考え直す必要があること は確かですが、それについては心配する必要はないでしょう)。

セカンダリサーバは秒で指定されたリフレッシュ時間 (refresh) の間隔でシリア ル番号をチェックします。シリアル番号に変更があれば、新しいデータを読み込 むためにゾーン情報が転送されます。リフレッシュ時間が過ぎてもマスタサーバ に接続できない場合は、リトライ時間 (retry) の間隔でリフレッシュが試みられ ます。期限切れ時間 (expire) が過ぎてマスタサーバに接続できない場合は、セ カンダリサーバはそのゾーンのすべてのデータを破棄します。

ブートファイルでの ‘‘domain’’ と ‘‘suffixes’’ の指定は廃止され、もっと便 利なリゾルバベースの実装、すなわち部分的な形のドメイン名 (partially-qualified domain names) の接尾辞に置き変えられました。以前のメ カニズムでは多くの状況下で失敗することがあり、特にローカルネームサーバが 完全な情報を持っていない場合に失敗しました。

以下に各シグナルを kill(1) コマンドによってサーバに送った場合の効果を示し ます。

       SIGHUP

サーバは named.conf を読み、データベースをロードし直します。 サーバがコンパイルオプションの FORCED_RELOAD を定義されてコンパ イルされている場合は、 SIGHUP を送るとサーバはすべてのセカンダ リゾーンのシリアル番号もチェックします。通常、シリアル番号は SOA 中に指定された間隔でのみチェックされます。

SIGINT
現在のデータベースとキャッシュの内容を ‘‘/var/tmp/named_dump.db’’ または _PATH_DUMPFILE の値にダンプし ます。

SIGILL
サーバが -DSTATS 付きでコンパイルされていれば、統計データを named.stats にダンプします。統計データはこのファイルの末尾に追 加されます。

SIGSYS
サーバがプロファイリング (サーバの fork, chdir と exit) を有効 にされてコンパイルされていれば、プロファイリングデータを /var/tmp にダンプします。

SIGTERM
更新されたデータが存在すればこれを保存し、サーバをシャットダウ ンします

SIGUSR1
デバッグ機能を有効にします。 SIGUSR1 が送られるたびにデバッグレ ベルが上がります。 (
SIGUSR1 がない古いシステムでは SIGEMT が 使われます。)

SIGUSR2
デバッグ機能を完全に無効にします。 (
SIGUSR2 がない古いシステ ムでは SIGFPE が使われます。)

SIGWINCH
すべてのサーバに入力される問い合わせの syslog(3) によるログ採取 の有無を切り替えます。 (ログ採取はサーバが QRYLOG オプションを 指定されてコンパイルされている必要があります。)

関連ファイル

       /etc/namedb/named.conf

デフォルトのネームサーバの設 定ファイル
/var/run/named.pid (_PATH_PIDFILE)
プロセス ID
/var/tmp/named_dump.db (_PATH_DUMPFILE)
ネームサーバデータベースのダ ンプ
/var/tmp/named.run (file: _PATH_DEBUG)
デバッグ出力
/var/tmp/named.stats (file: _PATH_STATS)
ネームサーバの統計データ

関連項目

named.conf(5), gethostbyname(3), hostname(7), kill(1), resolver(3), resolver(5), signal(3), RFC 882, RFC 883, RFC 973, RFC 974, RFC 1033, RFC 1034, RFC 1035, RFC 1123, RFC 2308 ‘‘Name Server Operations Guide for BIND’’

4th Berkeley Distribution February 1, 1996 4th Berkeley Distribution

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