MOUSED(8) FreeBSD システム管理者マニュアル MOUSED(8)
名称
moused − マウスデータをコンソールドライバに渡す |
書式
moused [−DPRacdfs] [−I file] [−F rate] [−r resolution] [−S baudrate] [−V [−U distance]] [−a X[,Y]] [−C threshold] [−m N=M] [−w N] [−z target] [−t mousetype] [−l level] [−3 [−E timeout]] −p port |
moused [−Pd] −p port −i info |
解説 |
moused ユーティリティとコンソールドライバは協力し、テキストコンソールや ユーザプログラムにおけるマウス操作をサポートします。マウスの仮想化とユー ザプログラムへのマウスデータの提供は標準フォーマットにて行われます (sysmouse(4) を御覧ください)。 マウスデーモンはマウスデータの読みとりのために指定されたポートを監視し、 解釈したデータを ioctl を介してコンソールドライバに渡します。マウスデーモ ンは、移動、ボタンの押し/離しイベント、存在するならばローラやホイールの移 動も報告します。ローラ/ホイールの移動は ‘‘Z’’ 軸での移動として報告されま す。 マウスポインタが vidcontrol(1) によって有効にされていれば、コンソールドラ イバはマウスポインタをスクリーンに表示し、カットとペーストの機能を提供し ます。 sysmouse(4) をユーザプログラムがオープンすると、コンソールドライバ はマウスデータをこのデバイスに送るので、ユーザプログラムはこのデータを使 用できます。 マウスデーモンがシグナル SIGHUP を受けとると、マウスポートを再オープン し、自己を再初期化します。システムがサスペンドされている間にマウスの挿抜 を行なった場合に有用です。 以下のオプションがあります: |
−3
2 ボタンマウスで 3 番目(中)のボタンをエミュレートします。物理的な ボタンで左と右のものを同時に押すとエミュレートされます。 −C threshold −D −E timeout −F rate −I file −P −R −S baudrate −V −a X[,Y] −c −d −f −i info port moused ユーティリティは要求された情報を判別できない場合、 ‘‘unknown’’ か ‘‘generic’’ を表示します。 −l level −m N=M −p port −r resolution −s −t type このオプションでプロトコルタイプを指定した場合、前記 −P オプショ ンが暗示され、プラグアンドプレイ COM デバイス列挙処理が無効になり ます。 また、マウスを PS/2 マウスポートに接続している場合、常に auto か ps/2 を選択すべきです。これは、マウスのブランドやモデルとは関係あ りません。同様に、マウスをバスマウスポートに接続している場合、 auto か busmouse を選択してください。これらのマウスではシリアルマ ウスプロトコルは動作しません。 USB マウスでは、プロトコルは auto であることが必要です。他のプロ トコルは USB マウスで動作しません。 このオプションにおける有効なタイプを以下に列挙します。 シリアルマウス: バスおよび InPort マウス: PS/2 マウス: USB マウスでは、 auto が使用可能な唯一のプロトコルであり、ブラン ドにかかわらず USB マウスにはこれを指定すべきです。 −w N −z target 2 番目のホイールの動きは、負の向きが N3 にマップされ、正の向 きが N4 にマップされます。ボタン N3 および N4 がマウスに実在 する場合、このアクションは検出されません。 水平移動や 2 番目のローラ/ホイールの動きは常に検出されるわけ ではないことに注意してください。なぜなら、これらをエンコード するための受け入れられた標準が無いように見えるからです。 また、水平方向において、左が負であると考えるマウスもいれば、 逆だと考えるマウスもいることにも注意してください。更に、2 個 のホイールが両方とも垂直に搭載されており、一方の方向がもう一 方の方向とはマッチしないものもあります。 マウスデーモンの構成 次に決めねばならないことは、インタフェースのために使用するポートです。バ ス、InPort、PS/2 マウスでは、選択肢はありません: バスおよび InPort マウス は常に /dev/mse0 を使用し、 PS/2 マウスは常に /dev/psm0 を使用します。シ リアルマウスの場合、接続可能なポートが複数ありえます。多くの人が組み込み のシリアルポート /dev/cuaa0 をマウスに割当てます。複数の USB マウスをシス テムまたは USB ハブに接続可能です。それらは /dev/ums0, /dev/ums1 のように アクセス可能です。 ~ シンボリックリンク /dev/mouse でマウスの実際のポート を指すようにして、どのマウスポートか後で簡単に分かるようにするのが良いか もしれません。 次に適切なマウスプロトコルを選択します。 moused ユーティリティはマウスタ イプを自動決定可能かもしれません。 moused ユーティリティを −i オプション を付けて実行し、表示を見ます。コマンドがプロトコルタイプを識別した場合、 あなたは何も調べる必要はありません。プロトコルタイプを指定せずにデーモン を起動可能です (使用例) を参照。 コマンドは、マウスドライバが sysmouse プロトコルをサポートする場合、 sysmouse と表示するかもしれません。 −i オプションで表示される type と model は、対象のポインティングデバイス の製品名では必ずしもありませんが、互換性のあるデバイスの名前でしょう。 −i オプションがなにも表示しない場合、 moused ユーティリティに対して −t オ プションを使用し、プロトコルタイプを指定する必要があります。予測して試行 する必要があります。以下に経験則を示します: 1. バスおよび InPort マウスはブランドに依らず
busmouse プロトコルを使用 します マウスのために選択したプロトコルタイプが正しいかどうかテストする目的で、 現在の仮想コンソールでマウスポインタを有効にします。 vidcontrol -m on マウスデーモンをフォアグラウンドで開始します。 moused -f -p _selected_port_ -t _selected_protocol_ マウスポインタがマウスの移動に伴い、正しく移動することを確認してくださ い。そして、カットとペーストの機能を左、右、中のボタンを使用して確認して ください。 ^C をタイプすると、コマンドは停止します。 複数のマウス 関連ファイル |
/dev/consolectl
コンソール制御デバイス 使用例 |
moused -p /dev/cuaa0 -i type |
moused ユーティリティにシリアルポート /dev/cuaa0 に接続されたマウスのプロ トコルタイプを識別させます。成功すると、コマンドはタイプを表示しますが、 失敗すると ‘‘unknown’’ が表示されます。 |
moused -p /dev/cuaa0 |
vidcontrol -m on |
moused ユーティリティが指定されたポートのマウスプロトコルタイプを識別可能 な場合、 −t オプション無してデーモンを起動可能であり、前記のようにマウス ポインタをテキストコンソール上で有効にできます。 |
moused -p /dev/mouse -t microsoft |
vidcontrol -m on |
シリアルポート /dev/mouse に対してマウスデーモンを起動します。プロトコル タイプは microsoft を −t オプションにて陽に指定しています。 |
moused -p /dev/mouse -m 1=3 -m 3=1 |
物理ボタン 3 (右ボタン) を論理ボタン 1 (論理的に左) に、物理ボタン 1 (左 ボタン) を論理ボタン 3 (論理的に右) に、それぞれ割当てます。左右のボタン を事実上交換します。 |
moused -p /dev/mouse -t intellimouse -z 4 |
Z 軸 (例えばマウスホイール) における負の移動をボタン 4 が押されたものと し、 Z 軸 (例えばマウスホイール) における正の移動をボタン 5 が押されたも のとします。 |
警告
moused ユーティリティは現在別のコンソールドライバ pcvt(4) では動作しませ ん。 パッドデバイスの多くは、ユーザがパッド表面を ‘‘タップ’’ した場合に最初の( 左) ボタンが押されたものとします。また、ALPS GlidePoint および Interlink VersaPad のモデルによっては、タップ動作を 4 番目のボタンのイベントとして 扱います。このようなモデルでは、オプション ‘‘-m 1=4’’ を使用して、他の パッドデバイスと同様の効果を得られます。 仮想コンソールでのカットとペーストの機能は、マウスに 3 ボタンあることを仮 定しています。論理ボタン 1 (論理的に左) は、コンソールのテキスト領域を選 択してカットバッファにコピーします。論理ボタン 3 (論理的に右) は、選択さ れた領域を拡張します。論理ボタン 2 (論理的に中) は、選択されたテキストを テキストカーソル位置にペーストします。マウスに 2 つしかボタンが無い場合、 中央の ‘ペースト’ ボタンは使用できません。ペースト機能を使用するために は、 −3 オプションを使用して中ボタンをエミュレートするか、 −m オプション を ‘‘-m 2=3’’ のように使用して物理右ボタンに論理中ボタンを割当てます。 |
関連項目
kill(1), vidcontrol(1), keyboard(4), mse(4), pcvt(4), psm(4), screen(4), sysmouse(4), ums(4) |
規格
moused ユーティリティは ‘‘Plug and Play External COM Device Specification’’ の一部をサポートし、PnP シリアルマウスをサポートします。 しかしながら、シリアルマウスごとに仕様充足の度合が異なりますので、標準の バージョン 1.0 に完全に従ってはいません。このように厳密さを欠いた方法で も、シリアルマウスの適切なプロトコルタイプを常に決定できるわけではありま せん。 |
作者
moused ユーティリティは、 Michael Smith 〈msmith@FreeBSD.org〉 によって書か れました。このマニュアルページは Mike Pritchard 〈mpp@FreeBSD.org〉 によっ て書かれました。コマンドとマニュアルページを、 Kazutaka Yokota 〈yokota@FreeBSD.org〉 が更新しました。 |
歴史
moused ユーティリティは、 FreeBSD 2.2 ではじめて登場しました。 FreeBSD 10.0 April 1, 2000 FreeBSD 10.0 |