FreeBSD カーネルモジュール Accept Filter accp_http.cを読み解く

このドキュメントの内容は、以下の通りです。

• 概要
• 流れ
• sohashttpget()
• soparsehttpvers()
• soishttpconnected()
• soisconnected()
• メモ

Apacheの性能を向上させるための FreeBSDのカーネルモジュール Accept Filter(accf_http.ko) の中身が気になっていたので、適当に accf_http.c を読みました。

accp_http.c は、 FreeBSD の /usr/src/sys/netinet/accf_http.c にあります。
http://www.jp.freebsd.org/cgi/cvsweb.cgi/src/sys/netinet/accf_http.c

概要

socketプログラミングでは、接続を待ち受け、リクエストを読み込むタイプのデーモンは、accept()システムコールで接続を待ます。accept()が返ったら、今度は、リクエストを読み込むためにread()システムコールでデータを受信します。データが分割されて送信される場合には、何度もread()システムコールを呼び出す必要があります。

httpサーバの場合、accept()システムコールの呼び出しが返ったら、HTTPリクエストヘッダを読み込まなければなりません。
すべてのリクエストヘッダのデータ受信を終えるまでにread()システムコールを何度も呼び出してしまう場合、プロセス(httpd)とOSのスイッチングコンテキストが何度も発生してしまいます。このスイッチングは無駄以外の何者でもありません。

そこで、Accept Filterでは、HTTPリクエストヘッダが到着するまで、accept()が返らず、accept()システムコールが返ったときには、HTTPリクエストヘッダが到着しているので、1回のread()システムコールの呼び出しで、すべてのデータを受け取ることが可能になります。

流れ

sohashttpget()でリクエストの到着を待ちます。
GETかHEADのリクエストのみに対応しています。
parse_http_version(HTTPバージョンのパース処理)が1のときは、soparsehttpvers()を呼び出して、HTTPのバージョンを受信します。
その後、soishttpconnected()が呼び出され、すべてのリクエストヘッダの到着を待ちます。

今のところ HTTPパースバージョンは、HTTP/1.0かHTTP/1.1だけしか対応してません。
ハードコードされているので、バージョンが増えるたびに、ソースとバイナリを更新しないといけません。
もちろん、プロトコルバージョンが上がったときに、リクエストの内容に変更がおきれば、受信処理も変わってくるかもしれません。

sohashttpget()

"GET "
"HEAD "
のデータが到着したか確認する。
parse_http_versionが１なら
soishttpconnected()を呼び出す。
そうでなければ、
soparsehttpvers()を呼び出す。

soparsehttpvers()

"HTTP/1.0"
"HTTP/1.1"
のどちらかを受信していたらsoishttpconnected()を呼び出す。
"HTTP/1."までしかデータが届いてなかったら、再度呼び出されるようにして関数を終了する。

soishttpconnected()

\n\n か \n\r\n が到着するのを待つ。つまり、リクエストヘッダの終了を待つ。
到着してなければ、readmore処理に入る。

soisconnected()

soisconnected()は uipc_socket.c に定義されている。
/usr/src/sys/kern/uipc_socket.c

void soisconnected(struct socket *so);

メモ

GET/HEADのみの対応なので、POSTでは使えないということなのでしょうか。

とあるどっかの組織で聞いた話だとAccept FilterをLinuxにも移植しようとしたけど、mbufがないから、綺麗な実装ができなくてあきらめたとか言っていたような。

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